ギタマガWEBで情報解禁当初から動向を追い続けている、フェンダーとファイナルファンタジーXIV(以下:FFXIV)のコラボで生まれたFINAL FANTASY XIV Stratocaster。今回、本器制作チームから“メイキング映像を公開する”という情報を事前に入手。ここに最速動画紹介記事をお送りする。
文=福崎敬太
始まりは2020年12月9日。今回のプロジェクトを進めるFFXIVチームとして、ゲームのオフィシャル・バンド=THE PRIMALSのギタリストである祖堅正慶とGUNNが、都内某所にあるアーティスト専用のショールーム=“Fender Music Backstage”へと出向いた。
そして動画は、FINAL FANTASY XIV Stratocaster(以下:FFXIVストラトキャスター)に搭載するピックアップを選定するシーンから始まる。
多様なユーザーのニーズに応えるサウンドを求めて
ピックアップの選択肢には、アメリカン・プロフェッショナル・シリーズにも搭載されているフラッグシップ・モデルとしてV-Mod Stratocaster、ビンテージ・サウンド代表としてカスタムショップ製Custom ’69、そしてモダンでパワーのあるDeluxe Driveという、キャラクターの異なる3種類が用意された。
演出の都合上、“2 hours later…”と端折られているが、どれも素晴らしく悩みに悩んだ結果、最初に試したV-Mod Stratocasterピックアップに決定した。本人談では、“5〜6種類試して、V-Modに決まったんです”とのことで、THE PRIMALSで使えるサウンドであることと、多種多様なユーザーが使えるサウンドの幅広さが決め手となったそうだ。
そして、ピックアップの決定後、本器最大の特徴である“リミット・ブレイク・スイッチ”に関して話しているシーンに移る。これは、プッシュ/プッシュ式のトーン・ノブを押すことで、リア&センター・ピックアップがシリーズ接続となり、ハムバッカー・サウンドが得られるというもの。しかし、この開発についても、動画では描かれていないエピソードがある。
ピックアップがV-Modに決まった際に、祖堅が“FFXIVは戦うだけじゃなくて、色んな人に向けたゲームだから、V-Modは色んな人が楽しめるギターになる気がするんです”とフェンダー・チームに説明しているが、その観点から“リミット・ブレイク・スイッチを押した状態でも音にバリエーションを持たせるべきか”という論争が生まれた。
これについてはフェンダーとFFXIVチームで熱く議論が重ねられた結果、“「リミット・ブレイク」というのは必殺技で、そこに「弱も強もない」”という、ワードが持つ世界観を優先し、トーン・コントロールが効かない漢らしい仕様に落ち着いた。
完成品を目の当たりにした2人は……
時は流れ、2021年4月20日、再びバックステージへと集まるTHE PRIMALSチーム。2人の前に完成版がお披露目された。ホーン部とロウワー・エンドにレジンで特殊な加工を施し、FFXIVの象徴である“光と闇”のクリスタルを表現したボディ、12フレットのメテオラ・インレイなどの見た目に感動する2人だが、動画で祖堅が“意外とメイプルじゃなくてよかったかもね”と発言している。
メイプル指板好きである祖堅は、当初フェンダーにもその仕様を希望していた。が、ゲームの世界観を汲んだフェンダー・チームから、“FFXIVの「光と闇」という表現では、ローズウッドのほうが良い”と強くプッシュされたそう。それに対し、“ちゃんと黒のイメージが出せるのであれば”というFFXIVチームからの要求があり、フェンダーは色味を厳選したセレクテッド・ローズウッドを用意した。
これに祖堅は、“明るめのローズウッドだと、FFXIVストラトキャスターのストーリーと合わなくなってしまうと思ったんです。でも、フェンダーさんがすごく頑張ってくれて、結果的にすごく良い感じになりました”と絶賛していた。
ここに書いたエピソードも踏まえ動画を見て、ぜひ楽器店などで実際にFFXIVストラトキャスターを鳴らしてみてほしい。
また、THE PRIMALSが制作を手がけた「ENDWALKER 7-inch Vinyl Single」のミュージック・ビデオでは、祖堅が本器を弾いていることが確認できる。
なお、本器がお披露目されたTHE PRIMALSのライブのレポートと、祖堅&GUNNが実際に使用するFFXIVストラトキャスターの実器写真を掲載した記事もギタマガWEBでぜひチェックを!