ギター・マガジン2022年2月号の特集『ブリティッシュ・フォークの迷宮。』では、60年代初頭から70年代のロック・シーンに少なからず影響を与えてきた英国フォークの世界を深堀り! 今回はその入門編として、特集内で取り上げた21枚の必聴名盤から5枚をピックアップしてお届けしよう。また、ブリティッシュ・フォークの魅力が味わえるプレイリストも作ったので、ぜひ名手たちのプレイを聴きながら記事を読んでほしい。
文:小川真一 選曲:錦織文子 写真:shuhe
※本記事はギター・マガジン2022年2月号『ブリティッシュ・フォークの迷宮。』より、一部抜粋/再編集したものです。
60s〜70s頃のブリティッシュ・フォークの入門として必聴の25曲を厳選してプレイリストにした。音源を聴きながら記事を読み進めてもらえたら幸いだ。ちなみに、誌面で紹介している必聴作品の中にはサブスク解禁されていないものも含まれているので、気になる方はレコード・ショップなどで探してほしい。
60年代ブリティッシュ・フォーク必聴名盤を紹介。
『The Guitar Player』(1963)
Davy Graham
卓越した指弾きで華麗にジャズ曲をカバー
63年に発表されたデイヴィ・グレアムのソロ作。ソニー・ロリンズやデイヴ・ブルーベックのジャズ曲をフィンガーピッキングでカバーするというアイディアは斬新。英国中のギタリストたちがその卓越したテクニックに仰天した。華麗なプレイは今聴いても凄まじい。
『Bert Jansch』(1965)
Bert Jansch
ヤンシュのデビュー作は故郷を出て初の録音
自身の生まれの地であるグラスゴーからロンドンへ出て、エンジニアのビル・リーダーと出会い、彼の自宅で録音したテープがこのデビュー作に。ジョン・レンボーンと比べ、ギターも歌も繊細なテイストが彼の特徴で、本作は特に英国フォーク的な色合いが濃い印象がある。
『Another Monday』(1966)
John Renbourn
クラシックとトラッドが絶妙に調和した会心作
クラシック・ギターを学んでいたが、デイヴィ・グレアムの演奏に衝撃を受け、フォークに転向した彼の2作目。クラシックの素養とトラッドな旋律がうまく調和。中世的な題材や古楽を取り入れた独特の音楽性も感じられ、ブルースやジャズのスパイスも盛り込まれている。
『Spiral Staircase』(1969)
Ralph McTell
名曲「Streets Of London」のオリジナル版を収録
SSWであり、敏腕アコギ弾きのラルフ・マクテルの2nd。本作に収められている「Streets Of London」がオリジナル録音だが、74年にもう一度レコーディングしたバージョンがシングルとして発売されて大ヒット。英国的な気品を持った歌声が彼の持ち味だ。
『Wizz Jones』(1969)
Wizz Jones
英国流儀のほどよい湿り気を加味
スキッフルの感がある曲やチェット・アトキンスのカバー、米国のグッドタイム・ミュージックらしい楽曲などが揃うが、そこに英国流儀のほどよい湿り気を感じさせる旋律が映える。ヤンシュはウィズのことを “最も過小評価されているギタリストの1人”と評している。
ギター・マガジン2022年2月号
『レイド・バック期のエリック・クラプトン』
本記事はギター・マガジン2022年2月号に掲載された『ブリティッシュ・フォークの迷宮。』から一部抜粋/再編集したものです。特集では、その特徴や歴史、注目ギタリストの紹介など、英国フォークの知られざる魅力をたっぷりと紹介しています。