エジマハルシのタイトでコシのあるサウンドを実現するエフェクター・ボード&アンプ エジマハルシのタイトでコシのあるサウンドを実現するエフェクター・ボード&アンプ

エジマハルシのタイトでコシのあるサウンドを実現する
エフェクター・ボード&アンプ

ポルカドットスティングレイのタイトでコシのあるリード・ギターのサウンドを実現する、エジマハルシのサウンド・システムをご紹介。基本的に空間系はマルチ・エフェクターでまかない、歪みはこだわりのコンパクト・ペダルを使い分け、クリーンの土台はアンプでしっかりと作り込むというのがエジマ流だ。そのサウンド・メイクの技を解説していこう。

取材/文=伊藤雅景 写真=星野俊

Pedalboard

エジマハルシのエフェクターボード全景。

【Pedal List】
①One Control/Iguana Tail Loop 2(スイッチャー)
②TC Electronic/PolyTune 2 mini(チューナー)
③strymon/COMPADRE(コンプレッサー/ブースター)
④ANALOG.MAN/KING of TONE(オーバードライブ)
⑤SOURCE AUDIO/SPECTRUM ENVELOPE FILTER(エンベロープ・フィルター)
⑥Fulltone/OCD(オーバードライブ)
⑦Z.VEX/Fuzz Factory(ファズ)
⑧Line 6/HX EFFECTS(マルチ・エフェクター)
⑨One Control/Minimal Series AB BOX(ABボックス)
⑩strymon/BigSky(リバーブ)
⑪Eventide/TimeFactor(ディレイ)
⑫strymon/blueSky(リバーブ)
⑬Carol-Ann/AMPLIFIER CONTROLLER AC-4(チャンネル・セレクター)
⑭VOODOO LAB/Pedal Power 2 Plus(パワーサプライ)
⑮VITAL AUDIO/POWER CARRIER VA-08 MKII(パワーサプライ)

エジマの足下はボード2枚+アンプのチャンネル・セレクター(⑬)という構成。基本的なサウンド・メイクは、⑬でアンプ側のクリーン/クランチを切り替え、その音色に各種ペダルを重ね掛けするスタイルだ。

ギターからはスイッチャー①、①のアウトからABボックス⑨へと向かい、2台のアンプへと振り分けられる。①に接続された②〜⑧、そして⑨以降の⑩〜⑫については以下で解説しよう。まずはどちらのアンプにも作用する共通のボード(上写真右)から。

エジマハルシのエフェクターボード①。

スイッチャー①につながれたループの内訳は以下のとおり。

L1:③
L2:④+⑤
L3:⑥
L4:⑦
L5:⑧

③のコンプは常時ONの状態で、④はアンプのクランチ・チャンネルをプッシュするような用途で使用。ギター・ソロの際は⑥や⑦を使う。

⑧にはコーラス、ディレイ、オクターバー、音量のブーストなどのプリセットが組まれており、楽曲によって様々なパラメーターが用意されていた。

そして、①のアウトプットからは⑨のABボックスへと向かう。エジマの足下左にあるボードでの出力先の振り分けが、彼のサウンド・メイクのキモとなる部分だろう。

エジマハルシのエフェクターボード②。

エジマはライブでストラトキャスターとTLタイプの2本を適宜持ち替えており、その際に使用するギターに合わせてアンプを切り替えている。

TLタイプ使用時は⑨からそのままアンプへ向かう。⑩と⑪はアンプのセンド/リターンに接続され、クリアな空間系サウンドを生み出している。

そしてストラトキャスター使用時は、⑨→⑫→アンプという接続順。前述のセンド/リターン掛けよりも“エグくエフェクトが掛かる”そうだ。

なおシールド/パッチ・ケーブルもこだわりの仕様で、驚くことに映像用に使用される同軸ケーブルを楽器用にチューニングして使っている。エジマを支えるギター・テックがオリジナルで作成したもので、メーカーや線材の詳細は不明だが、このシールドの恩恵により“抜群の音の解像度とスピード感を得ることができた”という。

Amplifier

Carol-Ann/OD3r

エジマハルシの使用アンプ、Carol-Ann/OD3r

エジマのコシのあるサウンドを支える名機

エジマがナッシュギターズのTLタイプを使用する際のメイン・アンプがCarol-Ann OD3r。いわゆるダンブル系に分類されるモデルだが、テックによって内部配線に改造が施されている。サウンドについてエジマは“クリーンがとてもナチュラルなのに太く、なおかつエフェクト乗りも抜群に良く弾きやすい”と語る。

Settings

エジマハルシの使用アンプ、Carol-Ann/OD3rのセッティング。
エジマハルシの使用アンプ、Carol-Ann/OD3rのセッティング。

クリーン〜クランチ・サウンドがアンプのA/B/Cチャンネルにそれぞれ振り分けられているが、どの音色もトレブル、プレゼンスがかなり抑えめに設定されていることがポイントだ(上部ツマミ写真参照)。また、キャビネットは前述のテックが製作を手掛けたワンオフのアイテムだ。

作品データ

『踊る様に』
ポルカドットスティングレイ

ユニバーサル/UMCK-1720/2022年9月7日リリース

―Track List―

01.SHINOBI-NAI (雫カリウタver.)
02.青い
03.どうでもいいよ
04.ダイバー
05.dude
06.hide and seek
07.SURF
08.ショートショート (踊る様にver.)
09.恋愛論
10.トーキョーモーヴ
11.ツキカゲ
12.リドー
13.夕立
14.odoru yo-ni

―Guitarist―

エジマハルシ