『Standards from film』
マイク・モレノ
古き良き時代の映画音楽に思いを馳せたジャズ・スタンダード集
マイク・モレノの新作はジャズ・スタンダードを集めたアルバム。収録曲がジャズ・スタンダードとなる前、40〜60年代ごろの映画で使われた当初のアレンジ、およびフランク・シナトラらの過去の演奏でのアレンジを参考にし、ピアノを加えたカルテットで演奏している。
映画やブロードウェイの楽曲はジャズでの定番になっていく過程で、ツー・ファイブが増えるなどのジャズメンが演奏しやすいように変化が加えられていく。今となっては原曲を知らずにこれらの曲を演奏している人も多いが、オリジナルは代え難い魅力があるものだ。
モレノはエレキとアコギの両方を弾き、独奏やアコギ+エレキをレイヤーしたアレンジなど、カルテットの枠にとらわれない多彩なアプローチを採る。ディレイ+リバーブによる広がりあるサウンドは、原曲のストリングスにも近い雰囲気を醸し出していると言えるだろう。
要所で映画のセリフや原曲の一部が引用される演出もニクい。
(今井悠介)
【参加クレジット】
マイク・モレノ(g)、マット・ブリューワー(b)、サリヴァン・フォートナー(p)、オベッド・カルベアー(d)
【曲目】
①Beautiful Love
②You Stepped Out Of A Dream
③There Will Never Be Another You
④Stella By Starlight
⑤Laura
⑥I Fall In Love Too Easily
⑦On Green Dolphin Street
⑧My Foolish Heart
⑨Invitation
⑩Days Of Wine And Roses
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