『エヴリ・ルーザー』
イギー・ポップ
“リスナーを叩き潰す”ほどの迫力とイギーの危なっかしいダークネス
R&Rのカリスマである。それゆえに、彼の活動は一貫して無鉄砲一本槍とも受け取られがちだ。しかし実はここ数年だけをみても巨匠ミシェル・ルグランのクリスマス・アルバムに参加したり、エルヴィス・コステロと共演したり、モリッシーと共演したりとその幅は広い。
そのモリッシーとの共演は本作プロデューサーのアンドリュー・ワットが仲を取り持ったものであり、ジョシュ・クリングホッファー&チャド・スミスというレッチリ人脈(共にモリッシーの新作にも参加)を引っ張ってきたのもワットだ。
彼らに加えてダフ・マッケイガン(元ガンズ&ローゼズ)、テイラー・ホーキンス(フー・ファイターズ/昨年3月に他界)、デイヴ・ナヴァロ(ジェーンズ・アディクション)といった大物をも新たに呼び込み、強烈な“R&Rの嵐”で埋め尽くされた本作。多重に積層するロックンロール・ギター・リフの中でも、一番存在感を放つのは、危なっかしいイギーのダークな世界観にほかならない。
(大久達朗)
【参加クレジット】
ジョシュ・クリングホッファー/デイヴ・ナヴァロ/ストーン・ゴッサード/クリス・チェイニー(g)、イギー・ポップ(vo)、ダフ・マッケイガン/エリック・エイヴァリー(b)、チャド・スミス/テイラー・ホーキンス/トラヴィス・バーカー(d)、他
【曲目】
①フレンジー
②ストラング・アウト・ジョニー
③ニュー・アトランティス
④モダン・デイ・リップ・オフ
⑤モーニング・ショウ
⑥ザ・ニュース・フォー・アンディー
⑦ネオ・パンク
⑧オール・ザ・ウェイ・ダウン
⑨コメンツ
⑩マイ・アニムス・インタールード
⑪ザ・リージェンシー
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