名盤『Trippin’ With Cal Green』に3作品を加え、カル・グリーンのプレイが味わえる必聴盤を合計4作品紹介しよう。ジャズファンク外伝ということで選出はしていないが、彼に興味を持った方はハンク・バラードの諸作品も聴いてみてほしい。
文=久保木靖
Brother Jack McDuff
『Tobacco Road』
多くの新人ギタリストを輩出したボス的オルガン奏者の1枚で、ジャズファンク仕様にシフトしたカルが聴ける最初のアルバム。全9曲中5曲に参加しており、「Alexander’s Ragtime Band」など2曲でソロがフィーチャーされている。合いの手のようなコンピングも◎。
Charles Kynard
『Professor Soul』
ゴスペル色濃厚なオルガン・トリオ作。音域を幅広く使ってラインを紡ぎ、ここぞという時にオクターブ奏法へ切り替えるなど、カルのソロ構成はかなり堂に入ったもの。ケニー・バレルの愛奏でも知られる「Song Of Delilah」でのプレイなど神がかりの鋭さだ。
Cal Green
『Trippin’ With Cal Green』
初リーダー作。これでもかと活用されるオクターブ奏法はウェス・モンゴメリーを意識したものだろうが、ところがどっこい、ヘタウマ感を味方につけて高揚感たっぷりに弾きまくる様は、まさにモンスター級のジャズファンクだ。
「Trippin」ほかの自作曲のキャッチーさも抜群なら、スティーヴィー・ワンダーの「My Cherie Amour」を取り上げるセンスも無双。グラント・グリーン的コテコテ満載の「Johnny’s Gone To Vietnam」もたまらない。ベースのトレイシー・ライトは初期デヴィッド・T・ウォーカー作品にも参加していた人物。
Clarence & Cal Green
『Jumpin’ Houston Guitarists』
兄クラレンスとカップリングされたブルース期のコンピだが、ジャズファンクへの過渡期的な面があり選出。カルは『Blues Discography』では6曲(ライナーでは3曲)で、すべて1960年代録音。「Sawdust Floor」でのジャズ・ラインとブルース・リックのせめぎ合いが興味深い。
ギター・マガジン2017年3月号
『進撃のジャズファンク』
ジャズファンクに興味のある方は、ぜひギター・マガジン2017年3月号も電子版などでチェックを! 本特集の始まりである『進撃のジャズファンク』では、グラント・グリーン、メルヴィン・スパークス、ブーガルー・ジョー・ジョーンズ、オドネル・リーヴィー、ジョージ・ベンソンなど、ジャズファンクの名手を紹介しています。