海外ギタリストのスゴ技が光る、80年代シティ・ポップの名曲 Part.2 海外ギタリストのスゴ技が光る、80年代シティ・ポップの名曲 Part.2

海外ギタリストのスゴ技が光る、
80年代シティ・ポップの名曲 Part.2

2022年に公開して好評を博した「海外ギタリストのスゴ技が光る、80年代シティ・ポップの名曲」。その第二弾をお届けします! 今回登場するギタリストも、ロベン・フォードやジェフ・バクスター、マイケル・ランドウなど、現代の大御所ギタリストばかり! 日本の音楽シーンを彩った、海外名手たちのプレイをご堪能あれ。

選盤・文:金澤寿和

大橋純子『黄昏〜Postcard Fantasy』(1982年)

大橋純子『黄昏〜Postcard Fantasy』

駆け出しのポール・ジャクソンJr.も参加

大橋純子の初海外録音は、L.A.での82年盤。アース・ウインド&ファイアーのホーン隊や当時のイエロージャケッツの面々、ギタリストにはロベン・フォードやまだ駆け出しのポール・ジャクソンJr.が参加して、華やかなウェストコースト・サウンドを聴かせている。

AOR系ミッド・チューン「ヴェニスの女」ではカルロス・リオスが流麗なソロを決め、「Looking For Love」や「愛の踊り場」ではロベンが変幻自在のプレイを披露するなど、聴き処多々。

水越恵子『アイム・ファイン』(1982年)

水越恵子『アイム・ファイン』

スティーヴ・ルカサーとAOR請負集団

再発CDのクレジットは解読不能だが、実はこの7作目はTOTOの結成メンバー5人とビル・チャンプリン、リチャード・ペイジらが大挙参加したAORチックな1枚。元来シティポップ系の軽やかさとは無縁のシンガー・ソングライターながら、ここではアレンジの大村雅朗とのコラボで狙い澄ました都会派スタイルを披露する。

ギターは当然スティーヴ・ルカサーが活躍。ドライブ感ある「Dear Summer Time」、「愛するmusic」で、彼らしいプレイが楽しめる。

安部恭弘『MODERATE』(1984年)

安部恭弘『MODERATE』

ジノ・ヴァネリのサウンドを追従

ジノ・ヴァネリ『NIGHTWALKER』に感化されて準備したという2作目。先行シングル曲を除きL.A.録音で、ヴィニー・カリウタ、ニール・スチューベンハウスというジノと同じリズム隊を起用。

ギターはマイケル・ランドウで、「Rainy Day Girl」や「Tight Up」でソロが炸裂する。もう1人のギタリストは、ジェフ・ポーカロ制作の作品があるバンド、“ザ・ストランド”出身のスコット・シェリー。アレンジはチャーリー・カレロで、管弦の編曲にその手腕が発揮された。

小田裕一郎『O=D=A』(1984年)

小田裕一郎『O=D=A』

日米トップ・ギタリストが彩った名作曲家のソロ作

サーカス「アメリカン・フィーリング」を皮切りに、デビュー直後の松田聖子や石川優子、杏里、田原俊彦らに多くのヒットを提供した作曲家。自身にもソロ・アルバムやプロジェクト作があるが、その出発点がコレだ。

ジョージ・デュークがゲスト・プロデューサーに就き、2曲でポール・ジャクソンJr.やルイス・ジョンソン(b)を擁す彼のバンドが参加。ほかの曲でも今剛、松原正樹とラリー・カールトンの共演など、日米トップ・プレイヤーの交流が楽しめる。

尾崎亜美『AIR KISS』(1981年)

尾崎亜美『AIR KISS』

ランドウの多彩さが楽しめる国内録音作

TOTOファミリーとのL.A.録音作『HOT BABY』に次ぐ、2作連続のデヴィッド・フォスター制作モノ。今度はフォスターがマイケル・ランドウやドラムのマイク・ベアードを伴って来日し録音された。

ベースはフォスターのシンセ・ベースがメインだが、若きランドウも演奏を担当。ギターはすべてランドウによるもので、前作のスティーヴ・ルカサー以上に多彩なギター・ワークが堪能できる。「グラスのルージュ」での甘美なオクターブ奏法など、当時の彼には珍しいものだ。

杏里『Trouble In Paradise』(1986年)

杏里『Trouble In Paradise』

プログレ香る、“夏の女王”のロンドンRec

夏オンナというイメージ通りL.A.録音が多い杏里だが、これは井上鑑のアレンジ&プロデュースによる異色のロンドン録音盤。

ギターはピーター・ガブリエルのバンドで弾いていたデヴィッド・ローズ、アラン・パーソンズ・プロジェクトで活躍のイアン・ベアンソン(元パイロット)で、随所にモダンかつエッジィなギター・ワークが覗く。ドラムではビル・ブルフォードやサイモン・フィリップスの名も。作曲にも久保田利伸、原田真二、佐藤博など豪華絢爛。

飯島真理『Miss Lemon』(1988年)

西海岸ロックの風を取り入れた6作目

アニメ主題歌のヒットでアイドル的人気を持つ実力派シンガー・ソングライター6作目。この時のL.A.録音が、彼女の拠点を米西海岸へ移すキッカケとなった。

参加したのはケニー・ロギンス・バンドのリズム隊だったトリス・インボーデン(のちシカゴ)とジョージ・ホーキンスほか。ギターは元ペイジスでジョージ・デューク・バンドでも活躍したチャールズ・イカルス・ジョンソン。トリッキーなフレーズを絡めつつ、エモーショナルなプレイを展開する。

斎藤誠『Mah Mah Mah』(1989年)

ジェフ・バクスターの攻撃性を引き出した名手

ソロ活動の傍ら、現在は大学の先輩である桑田佳祐およびサザンオールスターズのサポート・ギタリストとしてお馴染み。このソロ6作目は、書き下ろしの新曲を今はなきMZA有明でホール・レコレーディングしたものだ。

ゲストにはジェフ・バクスターやチャド・ワッカーマン(d)、グレッグ・マティソン(k)らが参加。ジェフはクリーン・トーンのギター・ワークで活躍し、4曲でスリリングなソロを弾き倒す。こんな攻撃的な彼のソロはほかにないかも。

河内淳一『Sweet』(1989年)

西海岸のスター・ギタリストたちが彩る1枚

セッション・ギタリスト出身で、後にKUWATA BANDでも活躍する河内淳一の2ndソロ。L.A.録音で、ビル・チャンプリン&ジェイソン・シェフ、ボビー・キンボール、ジョン・ロビンソン、シーウインド・ホーンズなど、現地スター・プレイヤーが勢揃い。TOTO系のロック色濃厚なAORサウンドを聴かせる。

ギターはマイケル・ランドウと河内自身で、スティーヴ・ルカサーのソロが5曲。ルカサーはほとんど手癖一発のプレイだが、当時はそれが最も輝いていた。

※2023年5月22日追記:河内淳一さんの『Sweet』をご紹介した項目の見出し部分に、フォーマットとして利用した別記事の内容「角松敏生プロデュースのLA録音盤」がそのまま掲載されておりました。なお、見出し部分の設定は編集部によるものです。見出し内容の修正とともに、読者ならびに関係者の皆さまにご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。