1957年創業のケーブル・メーカー、モガミ電線。1970年代よりオーディオ・ケーブルの製造へ着手し、ブランド“MOGAMI”のケーブルはライブ・ステージやレコーディング・スタジオ、放送局など、国内外問わず多くの場所・人々に愛用されている。そんなMOGAMIが2022年に発売したギター・ケーブルが3368だ。どのような性能を持つギター・ケーブルになっているのか、取締役の中里京之氏へのインタビューとともに紐解いていこう。
取材・文:今井悠介 写真:小原啓樹(*を除く)
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MOGAMI/3368
限りなく低静電容量を実現したギター・ケーブル。半導電層という、導体と絶縁体の間の層を設けることで外来ノイズの影響を受けにくくなり、伝送特性を改善している。シールドはしなやかさが出るように編み組まれており、ステージ上での取り回しも良くなっている。プラグはNeutrik製を採用し、堅牢性も確保した。
MOGAMI/2524
直径が6mmと、3368よりも少し細いケーブル。シールドは横巻きで、しなやかさを高めている。3368は中低域の表現に優れており、2524はより素直な特性を持つため、自身のギターやエフェクターに合わせて、両ケーブルを使い分ける/組み合わせると効果的だろう。
モガミ電線の取締役、中里京之氏が語る“3368”
ノイズを抑える構造で、音の太さを保てるケーブルです。
3368とはどのようなケーブルでしょうか?
3368は1980年代より製造しているロング・セラーのケーブルです。もともとはプラグが付いていない状態でしたが、各販売店などでプラグが取り付けられ、完成品のケーブルとして出されていることも多かったです。そのため、知らないうちに3368のサウンドを体験していたというギタリストの方は多いかもしれません。
長年愛用されてきた理由の1つはコスト・パフォーマンスだと思います。ケーブルは奥が深く、その種類も価格帯も幅広いですが、3368は求めやすい価格と優れた音質を兼ね備えています。そんな3368ケーブルにNeutrikのプラグを付けてパッケージしたギター・ケーブルを昨年より販売開始しました。
サウンドの良さの秘訣は?
素材とシールドの編み込み、空間構造です。3368には半導電層というものがあり、これによって物理的な空間がケーブル内に作られています。マイクロフォニックスという、ケーブルへの衝撃から生まれるノイズがあるのですが、これを抑えることができる構造なんです。
また、3368の外径は8mmと少し太いのですが、低静電容量を実現し、ギターの周波数特性をしっかりとキープしてアンプへ届けることが可能になっています。ケーブルの製造というのは実にシンプルなので、その分長年のノウハウが生きてくるのです。
太いケーブル=音が良いというイメージがありますが、使い勝手の面も気になるところです。
外装の材質、シールドの編み込み方で柔らかさを保ちました。楽器用ケーブルではしなやかさも重要ですし、ステージでの取り回しのしやすさというのも考慮した製品になっています。
3368のほかに2524というケーブルもあり、こちらは直径が6mmなのでさらに取り回しやすいでしょう。3368は中低域をしっかりと表現し、高域はロールオフしない特性で、2524はもう少し素直なサウンドです。例えば、ギターとエフェクター間は2524、エフェクターとアンプ間は3368にするという使い方もよいと思います。
どういったギタリストや音楽性に3368はマッチしていますか?
ロックな歪んだサウンドにも合いますし、セミアコで使うとフルアコ的なより豊かな響きになります。弦のゲージを少し太くしたような印象になるんです。エフェクターを多く使う人も、音の太さを保ったままサウンドをアンプへ送ることが可能です。ぜひ試してみて下さい。
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