ムーンライダーズの新作『Happenings Nine Months Time Ago in June 2022』のレコーディングで、鈴木慶一(vo,g)が使用したギターとエフェクターをご紹介。長年メイン器として君臨するジャズマスター&鈴木こだわりのペダルボードを深く掘り下げて解説していこう。
取材/文=伊藤雅景 機材写真=星野俊
鈴木慶一の使用ギター
Fender/Jazzmaster
幾重にも改良が施された日本製ジャズマスター
“Jシリアル”を持つ、1989〜90年に生産された日本製のジャズマスター。購入時はサンバーストだったが、本体の鳴りを向上させる目的で、ボディをリフィニッシュしている。オリジナルと比べて、かなり薄い塗装になっているのがポイントだ。
また、ブリッジ・サドルをムスタング用のパーツに交換し、トーン・コントロールのコンデンサーはオレンジ・ドロップを搭載、ピックアップは鈴木の好みの音色になるようリペア・ショップでリワインドしているというこだわりよう。
ピックアップはセンター or フロントの使用頻度が高く、リアは“ぺっけんぺっけんになるからあまり使わない。それはそれで良い音なんだけど”と鈴木談。使用弦はアーニー・ボールのSKINNY TOP HEAVY BOTTOM(.010-.052)で、チューニングはレギュラーでセッティングされている。
鈴木慶一のペダルボード
【Pedal List】
①MOTU/ZBox(インピーダンス・マッチング・デバイス)
②Electro-Harmonix/Mel9(メロトロン・シミュレーター)
③Zoom/G5(マルチ・エフェクター)
④Line 6/DL4(ディレイ)
⑤Empress Effects/ZOIA(モジュラー・ペダル)
⑥Nivram重永剛氏製作/ハウリング・ファズ
⑦Electro-Harmonix/OCEANS 12(リバーブ)
鈴木がライブ/レコーディングで使用するペダルボード。接続順は①〜⑦まで番号順で、⑦のアウトからアンプのインプットへと向かう。
ギターからの信号が入力される①のインピーダンス・マッチング・デバイスは、ギターからのハイ・インピーダンス信号を、ロー・インピーダンスに変換するためのもの。
このデバイスを導入してから“音が暖かく豊かになった”とのこと。鈴木は、“CDとLPの違いっていうのが近いかも”と語ってくれた。その①を通過したあとは、メロトロン・シミュレーター②へ信号が向かう。
マルチ・エフェクター③は、おもにクランチの歪みやトレモロのエフェクト、カスタマイズしたアンビエント系を使用し、ディレイ④はテープ・エコー風のサウンドが複数プログラムされている。③④はともにルーパーとしても使用しているそうだ。鈴木曰く“どちらも重いけどこれにしかない魅力があって手放せないペダル”だそうだ。
モジュラー・ペダル⑤は、筐体に配置されたスイッチを組み合わせ、エフェクティブな効果を生み出すペダルだ。今作では「SKELETON MOON (Session1)」のレコーディング時に使用した。
作品データ
『Happenings Nine Months Time Ago in June 2022』
ムーンライダーズ
コロムビア/COCB-54351/2023年3月15日リリース
―Track List―
- Ippen No Shi (Session3)
- SKELETON MOON (Session1)
- Work without Method (Session4,Ver2)
- Stairway to Peace (Session8)
- Chamber Music for Keytar (Session4)
- Jam No.2 in Z Minor and Major (Session10)
―Guitarists―
白井良明、鈴木慶一