現代サザン・ロックの旗手、マーカス・キングが2023年4月にビルボードライブ東京で来日公演を開催。そこで彼が使用した4本のギターを紹介しよう。
文=福崎敬太 撮影=八島崇
Gibson
Marcus King Signature ES-345 Custom
マーカス・キングの歴史を紡ぐシグネチャー・モデル
マーカス・キングが祖父から譲り受けた1962年製ES-345をモチーフに、彼らしさを加えて製品化もされたシグネチャー・モデル。ネイティブ・アメリカン風の意匠を取り入れたピックガードやトラスロッド・カバー、サイドウェイ・ヴァイブローラの採用などが特徴だ。近年のライブでは、オリジナルの1962年製の代わりとしてメインで使用。来日公演(筆者が観た4月17日のビルボードライブ東京公演1stセット)では、「Pain」や「Danny Boy」、「Wildflowers & Wine」などで本器を弾いていた。
Gibson
1958 Les Paul Custom w/1970s Neck
来日公演ではメイン級の活躍を見せた“ブラック・ビューティ”
1958年製のボディに1970年代製のネックを取り付けた、ギブソンのレス・ポール・カスタム。ブリッジもナイロン・サドルを搭載したものにあとから変更され、ビグスビーも増設された。来日公演ではメイン級の活躍を見せ、看板曲「It’s Too Late」やB.B.キングのカバー「Guess Who」で枯れたビンテージ・トーンを奏でた。シュアのガイコツ・マイク=55SHでボーカルをとるマーカスの、ビンテージ指向なサウンドの好みに非常にマッチするギターだ。
Fender Custom Shop
1963 Custom Telecaster Reissue
最近よく見るお気に入りのカスタム・テレ
来日公演でも「Goodbye Carolina」ほか数曲で登場した、フェンダー・カスタムショップのカスタム・テレキャスター1963年製リイシュー。マーカス曰く“ビンテージのテレキャスターを持っていなくて、いつかは欲しいと思っている”とのこと。また“かなり用途の定まったサウンド”と語っていたが、近年この姿を見ることは多く、「Scuttle Buttin’」や「The Sky is Crying」など、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのカバーでは本器が登場する。
Banker Guitars
Ironman Custom
米ハンドメイド・ブランドによるビンテージ・リイシュー
マシュー・ヒューズが設立した、アメリカはジョージア州のハンドメイド・ギター・ブランド、ベイカー・ギターズ。彼らが手掛けたIronman Customは、3ピックアップでサイドウェイ・ヴァイブローラが付いたSGタイプだ。レス・ポール・カスタムのサブとして用意されており、来日公演では未使用。マーカスはほかにも、VタイプやEXPタイプなど、バンカー製ギターを多く愛用している。
作品データ
『Young Blood』
マーカス・キング
Easy Eye Sound/輸入盤/2022年8月26日リリース
―Track List―
- It’s Too Late
- Lie Lie Lie
- Rescue Me
- Pain
- Good and Gone
- Blood on the Tracks 7
- Hard Working Man
- Aim High
- Dark Cloud
- Whisper
- Blues Worse Than I Ever Had
―Guitarists―
マーカス・キング、アンドリュー・ガバード、ダン・オーバック