若きサザン・ロックの巨人=マーカス・キングが、2023年4月にビルボードライブ公演を開催。その東京公演のリハーサル現場に潜入し、彼がライブで使用したアンプ・システムとペダルボードを撮影した。彼の骨太なロック・サウンドを生み出す、サウンド・システムを見ていこう。
文=福崎敬太 撮影=八島崇
Amplifier
Orange/MK Ultra & Rockerverb 100 MkIII w/PPC-412 Cabinet
マーカス・キングが来日公演時に使った、アンプ・セット。左が彼のシグネチャー・モデルであるオレンジのMK Ultraで、右がRockerverb 100 MkIIIだ。キャビネットが4基並んでいるが、マーカスが使用するのはそれぞれが乗せられた上段2台のみ。
下段2台には、サイド・ギターであるドリュー・スミザース(Drew Smithers)のサウンドをモニターするために、ドリュー側のアンプの信号が入力されている。
MK Ultraはクランチ気味にセッティングされ、そこにRockerverb 100 MkIIIでリバーブ・サウンドをミックスするように、2台を常に同時に鳴らしている。各ツマミのセッティングは以下のとおりだ。
また普段は、10インチ8発のキャビネットを使っているが、日本でレンタルできなかったため、今回は12インチ4発のキャビネットで対応したそう。
なお、いつものライブでは、Rockerverb 100 MkIIIの役割をフェンダーのBandmaster ReverbやShowmanが担っている。
Pedalboard
【Pedal List】
①Jim Dunlop/DVP5 Volume (X) 8(ボリューム・ペダル)
②Jim Dunlop/GCB95 Cry Baby (ワウ・ペダル)
③Tru-Fi/Two Face(ファズ)
④Ibanez/TS9(オーバードライブ)
⑤MXR/Booster(ブースター)
⑥MXR/Bass Envelope Filter(エンベロープ・フィルター)
⑦MXR/Micro Chorus(コーラス)
⑧MXR/Reverb(リバーブ)
⑨Jim Dunlop/EP103 Echoplex(エコー)
⑩Tru-Fi/Ultra Tremolo(トレモロ)
⑪MXR/Phase 100(フェイザー)
⑫Jim Dunlop/JD4S Rotovibe(ロータリー・スピーカー・シミュレーター)
⑬TC Electronic/Polytune 3(チューナー)
⑭Voodoo Lab/Pedal Power 3 Plus(パワー・サプライ)
マーカス・キングのペダルボード。ギターからの信号は①から⑫まで番号順に送られる。⑫のアウトからボード外のラジアルShotgun(スプリッター)に送られ、2台のアンプへと信号が振り分けられる。
ファズ③は69年製と70年製のファズフェイスのサウンドを切り替えることができる1台。写真では69年側がセレクトされていたが、マーカスは“どっちのモードになっているのかを覚えていないんだ(笑)。オンにしてみて気に入ったところで使っているだけだ”と語っていた。
オーバードライブ④とブースター⑤は「Whisper」や「Pain」、「Too Late」などで使用しているが、シーンによっては2台をかけっぱなしにすることもあるそうだ。④はクランチ程度にセッティングされ、それを⑤でプッシュしている。
またライブで印象的だったのは、リバーブ⑧の使い方。上下のオクターブが追加されるPADモードを選択し、かなり深めのリバーブに設定されている。「Confessions」のアウトロで空間を埋め尽くすようなリバーブが会場を支配し、そのまま次の「Pain」につなげる手法には、彼のライブ巧者っぷりを感じた。
作品データ
『Young Blood』
マーカス・キング
Easy Eye Sound/輸入盤/2022年8月26日リリース
―Track List―
- It’s Too Late
- Lie Lie Lie
- Rescue Me
- Pain
- Good and Gone
- Blood on the Tracks 7
- Hard Working Man
- Aim High
- Dark Cloud
- Whisper
- Blues Worse Than I Ever Had
―Guitarists―
マーカス・キング、アンドリュー・ガバード、ダン・オーバック