ジミ・ヘンドリックスが使った“スパゲティ・ロゴ”のストラトキャスターに迫る連載企画。今回紹介するのは、1967年の2月頃からメイン・ギターとして起用され、ナポレオン・ジャケットとのマッチングが印象的なサンバーストの1本。
文＝fuzzface66 Photo by Bob Baker/Redferns/Getty Images
※文中のギターの年式表記は、各スペックから推測される最も近い年式を採用している。
1964 Fender Stratocaster 3 Tone Sunburst
- フィニッシュ：3トーン・サンバースト
- 指板：ラウンド貼りローズウッド
- 使用期間：1967年2月頃～1967年5月頃
ラウンド貼りのローズウッド指板で、12フレットのポジション・マークの間隔が狭く、1弦側のピックガード・ビスがセンターPU近くに位置していることから、スパロゴ最終期の1964年製とみられる3トーン・サンバースト・ボディのモデル。
写真や映像に多く残っているデビュー初期のメイン器
1967年2月20日のザ・パビリオンあたりからステージで使われ始め、それまでの65年型オリンピック・ホワイト・モデルと入れ替わる形でメイン・ギターとなったモデル。
やはりメインだけあって、この時期に撮られたステージ写真や映像に必ずと言っていいほど映っている。アンティークの豪勢なナポレオン・ジャケットをまとったジミの姿とともに、この3トーン・サンバースト・モデルを記憶している人も多いだろう。
また、ファースト・アルバム『Are You Experienced』収録曲のうち、この時期にレコーディングされた「Manic Depression」、「I Don’t Live Today」、「May This Be Love」、「Remember」、「Are You Experienced」なども、このモデルが使用された可能性がある（ジミはレコーディングでも、ステージとほぼ同じギターを使用していたため）。
なお、この3トーン・サンバースト・モデルとまったく同じ仕様の物を、ジミは少なくとももう1本所有していた。
それぞれを使い分けながらギグをこなしていた様子が確認できるが、ジミが初めてギターに火を付けたと言われる1967年3月31日のアストリア公演以降、片方のモデルはまったく見かけなくなる。筆者はその片方のモデルがアストリアで燃やされたのではないかと推測している。
そして、もう片方のモデルは、最終的にトーン・コントロールやスイッチのノブを、コンソール用と思われる黒い物に交換して1967年5月中頃まで使用されていたことが確認できる。
