ジミ・ヘンドリックスが使った“スパゲティ・ロゴ”のストラトキャスターに迫る連載企画。今回は、1967年5月に使用されたフィエスタ・レッドの1本。使われたのは短期間かと思いきや、実はのちにロック史に語り継がれる伝説のモデルだった可能性が……?
文=fuzzface66 Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images
※文中のギターの年式表記は、各スペックから推測される最も近い年式を採用している。
1964 Fender Stratocaster Fiesta Red
- フィニッシュ:フィエスタ・レッド
- 指板:ラウンド貼りローズウッド
- 使用期間 : 1967年5月頃
ラウンド貼りのローズウッド指板で12フレットのポジション・マークの間隔が狭く、ピックガード・ビスがセンターPU寄りに位置していることから、スパロゴ最終期の1964年製とみられるフィエスタ・レッド・ボディのモデル。
短期間の使用かと思いきや……!?
1967年5月中頃のヨーロッパ・ツアーあたりから使い始めたモデルで、同じ時期に使い始めたスモール・ヘッド貼りメイプルのキャンディ・アップル・レッド・モデル(そちらはトランジション・ロゴ)との赤色2本態勢で、このツアーをこなしていた様子が確認できる。
また、ツアー中に出演したドイツのジャーマンⅢ・テレビの番組『Beat Beat Beat』では、「Stone Free」、「Hey Joe」、「Purple Haze」を、このモデルでライブ演奏している。
だが、ツアー終了後の翌6月からは、モンタレー・ポップ・フェスティバルでのメイン使用で有名となる1965年型ブラック・モデルに持ち替えているので、このモデルを含めた2本の赤いストラトキャスターは半月ほどの使用と短命に終わっている……と、言い切ってしまいたいところだが、実はこの赤い2本、それぞれとあるステージで再登場していたフシがある。
特に本記事のフィエスタ・レッド・モデルは、ジミのキャリアはもちろん、ロック・ミュージックの歴史を語るうえでも欠かすことのできない“あのギター”の正体だった可能性が……!?