米ワシントンD.C.を拠点に活躍する世界最先端のプログレッシブ・メタル・インスト・バンド=アニマルズ・アズ・リーダーズが、新作『PARRHESIA』を引っ提げた来日ツアーを2023年4月に開催。今回は、4月13日(木)@渋谷 Spotify O-EASTで行なわれたワンマン公演でトシン・アバシ(g)が使用した機材を撮影させてもらった。超重厚なのにどこまでもクリアなサウンドを生むギアの数々をご紹介しよう。
取材/文=伊藤雅景 機材写真=小原啓樹
Guitars
Abasi Concepts/Larada 8
来日公演で最も活躍した、トシン・アバシのメイン・ギター
今回の来日公演で全15曲中9曲で使用されたメイン・ギターがこちら。自身がプロデュースするブランド=Abasi ConceptsのLarada 8だ。トシンのSNSなどに投稿される写真では、このLaradaシリーズを使用している姿が頻繁に確認できる。2023年現在の彼のプレイ・スタイルに最もマッチしているモデルなのだろう。ピックアップにはフィッシュマン製のFluenceが2基搭載されており、煌びやかなクリーン・トーンから凶悪なジェント・サウンドまで幅広い音色を生み出す。
Abasi Concepts/ĒMI 8 Strings Model
2022年に初お披露目されたSSHレイアウトの8弦モデル
こちらは2022年のNAMMショウで発表された、ĒMIシリーズの8弦モデル。ĒMIシリーズはLaradaの兄弟的ポジションに位置づけられたラインナップだ。本器の特徴は、SSH構成のピックアップと8弦の組み合わせ。リアに搭載されているハムバッカーはフィッシュマン製Fluenceで、センター&フロント・ピックアップはハビエル・レイエス(g/アニマルズ・アズ・リーダーズ)の好みに合わせたサウンドにチューニングされたものだそう。
Ernie Ball Music Man/Kaizen 7 Spectraflare
トシンのプレイ・スタイルに合わせて開発された7弦ギター
アーニーボール・ミュージックマンとトシン・アバシのコラボレーション・モデル=Kaizenの7弦モデル。今回のライブでは「Tooth and Claw」、「Thoughts and Prayers」、「The Woven Web」の3曲でスペクトラフレア・カラー(トレモロ・アームが装着されている側)のKaizenを使用。また、バック・ステージにはMintフィニッシュのKaizenも控えていた。
Rick Toone/Blur 8XR
サイバー・パンクなビジュアルが目を惹くカスタム・メイド・モデル
この異様で型破りな雰囲気を纏う8弦ギターは、アメリカのビルダー=リック・トゥーン氏が製作した1本だ。ステンレスとブロンズ・パーツを組み合わせたIntonation Cantileverブリッジ、正確なピッチを実現するPositional Constant String Pitch Control System、レース製Alumitoneおよび、ベア・ナックル製Nailbombピックアップを搭載している。
Pedalboard
【Pedal List】
①MesaBoogie/High-Wire Dual Buffer & Output Boost(プリアンプ/ブースター/ジャンクション・ボックス)
②BOSS/ES-8(プログラマブル・スイッチャー)
③BOSS/NS-2(ノイズ・ゲート/リダクション)
④Friedman BE-OD DELUXE(ディストーション)
⑤Planet Waves/Chromatic Pedal Tuner(チューナー)
⑥Origin Effects/Revival DRIVE(オーバードライブ/ディストーション)
⑦Bogner/Harlow(ブースター/コンプレッサー)
⑧Friedman BE-OD(ディストーション)
⑨Abasi Concepts/Pathos(オーバードライブ/ディストーション)
⑩Origin Effects/Halcyon(オーバードライブ)
⑪strymon/TIMELINE(マルチ・ディレイ)
⑫strymon/Mobius(マルチ・モジュレーション)
⑬Boomerang/III Phrase Sampler(ルーパー/サンプラー)
⑭TRUETONE/1SPOT PRO(パワーサプライ)
トシン・アバシのライブ用ペダルボード。プログラマブル・スイッチャー②を基幹としたシステムだ。
ギターからの信号は、本ボード外に設置された、以下のマルチ・エフェクター=Eventide H9を経由して、プリアンプ/ブースター/ジャンクション・ボックス①のインプットへ送られる。
メイン・ボードは歪みペダルが6台(④、⑥、⑦、⑧、⑨、⑩)組み込まれている点が大きな特徴。使用ギターや楽曲、フレーズごとに細かく音色を使い分けているのだろう。
対して空間系のペダルは⑪、⑫の2台。⑪と⑫はプログラマブル・スイッチャー②のMIDI機能でプリセット内容を管理している。また、ライブ中はルーパー/サンプラー⑬を頻繁に操作しており、複雑なレイヤー効果を生み出していた。
Amplifier
MesaBoogie/Triple Rectifier Solo Head & 4×12 Cabinet
クリスタル・クリーン & ヘヴィ・ディストーションを演出した名機
今回の来日公演で使用したメイン・アンプ。アンプ側のセッティングは完全なクリーンで、クランチ〜ディストーションはすべてエフェクターを使用して音を作っていくのがトシンの基本スタイル。使用チャンネルはCH 1で、トグル・スイッチはCLEANに設定。ツマミ位置はGAIN=9時、MASTER=10時過ぎ、PRESENCE=9時、TREBLE=14時過ぎ、MID=11時、BASS=11時過ぎ。なお、本機の右側に置かれていたベース・アンプは、同期音源を出力する用途でセッティングされていたもの。