エリック・クラプトンが2023年4月の来日公演で使用した機材の最後は、彼のシンプルな足下を見ていこう。
取材・文=菊池真平 撮影=星野俊 協力=ダン・ディアンリー(https://www.dandguitars.com/)、前むつみ
Jim Dunlop GCB-95F & Leslie 122 XB Foot Switch
エリック・クラプトンの足下は非常にシンプルだった。ワウ・ペダルの代表モデルと言える、ジム・ダンロップのGCB-95Fクライベイビーが置かれていたのみ。隣は、レスリー・スピーカーをオンにするためのスイッチだ。
足下のワウは、通常のGCB-95F Cry Babyです。
とダンが言うとおり、特別なワウではなく、特に改造等も施されていないようだ。エフェクターを多用せず、エレクトリック・ギターとチューブ・アンプのみのシンプルなセッティングで、ピュアなトーンを生んでいる。
深く歪ませないクランチ・サウンドのため、タッチにセンシティブに反応する音作りだが、その分ミスもわかりやすい。それを絶妙にコントロールしフレーズに表情を出すのは、まさに神の技と言えるだろう。
そして、エリック・クラプトンの機材で欠かせないのが、レスリー・スピーカーだ。
今回セットされていたモデルは“122XB”。レスリー・スピーカーは1940年代にドナルド・レスリーが開発したアンプを内蔵したスピーカー・ユニットで、当時はレスリー・ユニットと呼ばれていた。
内部に設置されたホーン・ローターとロワー・ローターが別々に回転し、ドップラー効果による独特な揺らぎサウンドが得られる。おもにハモンド・オルガンと組み合わせて使うが、数々のロック・ギタリストも愛用。
今回のツアーでは、アコースティック・セット後に再びエレクトリック・ギターに持ち替えて演奏された「Badge」で、使用されたと思われる。
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さて、ここまでの記事の執筆にあたり取材に協力してくれた、クラプトンの機材を支えるダン・ディアンリー。彼はこの大役をどのようにとらえているのだろうか。最後に聞いてみた。
エリックの仕事に対する姿勢を尊敬していますし、彼のような偉大なギタリストの下で働けるのは、とても幸運だと思っています。
エリックは驚異的なプレイヤーであるだけでなく、人間的にも素晴らしい人です。
音楽が大好きな僕にとって、彼が卓越したミュージシャンたちと作る音楽を、直接体験できるのは本当にスリリングなことです。
アコースティック・ギター・マガジン2023年9月号 SUMMER ISSUE Vol.97
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DanD Guitars公式HP
https://www.dandguitars.com/
エリック・クラプトンのギター・テックを務めるダン・ディアンリーは、ギター・ルシアーとしても活躍している。彼が手掛けるダンDギターズ(DanD Guitars)の12弦モデルは、クラプトンもライブ作品『Lady In The Balcony: Lockdown Sessions』で使用した。