初代MOODを含め、自身の音楽活動の中でChase Blissの製品を多用する西田修大にMKⅡのインプレッションを聞いた。YouTube連動の試奏動画も合わせてチェックしてほしい。
取材・文:田中雄大 撮影:山川哲矢
※本記事はギター・マガジン2023年9月号にも掲載されています。
西田修大による試奏コメント
“質感を足す”ことに特化したペダルだと思う。
西田さんは初代MOODから愛用しているかと思いますが、MKⅡになって進化したと感じるポイントは?
個人的には3つあって、まずは空間系エフェクトの音質。初代は良くも悪くも金属的で変わった音だったんですよ。それはそれでカッコ良いんですけど、ちょっとテクスチャーが特殊で使いどころを選んだのが、MKⅡはより広い場面で使えると思います。
MOODならではのサウンドや機能を使わない場面では、単純に良質なディレイやリバーブとして使うのもアリですよ。
2つ目は?
ルーパーで録音できる時間が長くなったことですね。初代はちょっとした短い音くらいしか録れなかったんですが、MKⅡはフレーズ感を出すことができる長さまでループしてくれるんです。
オーバーダブもできるようになったので、どんどん質感を重ねてそれを“CLOCK”ツマミで変化させたり。テクスチャー・ルーパーとしての能力がグンと上がっていると思います。
そして、3つ目はステレオで入出力ができるようになったこと。今回の試奏動画のようにアンプ2台を鳴らして空間を作れるし、シンセやサンプラーにも使いやすいですよね。あと、PC上のあらゆる録音データに対してMOODをかけられるということにもなるんですよ。先代と比べて用途が増えました。
ツマミやスイッチが多く扱いが難しい印象を受ける人もいるかと思います。愛用者としてはいかがでしょうか?
たしかに提示してくれていることが多いエフェクターなので、全部汲み取ろうとすると混乱しますよね。でも、最初は気に入った音を1つ使うだけでも良いと思うんですよ。例えば“リバーブをかけてCLOCKを回した時の音が好き”とか、“ルーパーの音に対してCLOCKをガッと上げた音が楽しい”とか。
自分自身、今回の機会に改めてマニュアルを読み直してみたら知らなかった機能がたくさんありました(笑)。それでも色々な現場で使ってきたし、何年も飽きないんですよね。
まずは単にちょっと飛び道具っぽいことができる空間系として使うくらいのところから始めて、そこから深く掘っていくのがオススメです。
MOOD MKⅡの好きなところは?
これはChase Blissの製品に共通して言えることで、まず音自体やパラメーターを変えた時に起こる変化が現代的でオシャレなんですよね。
MOODに関しては“質感を足す”ことに特化しているのが好きなポイントです。例えば曲のサビでコード・プレイを際立たせたい時、歪ませるとちょっと違うしクリーンだと弱いって場面があったとして、そういう時にMOODを踏むと解決することが多いんですよね。歪みや一般的な空間系で音を作るのとは別の選択肢として、質感を加えるという手段を作れるんですよ。
何か面白いテクスチャーを鳴らしたい人や、偶発性のあるアプローチが好きな人はぜひ選択肢に入れてほしいエフェクターです。
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Chase Bliss
MOOD MKII
【スペック】
●コントロール:
<共通コントロール>MIX、CLOCK、ROUTING、PRESETS、dipスイッチ×16個
<ウェットch>TIME、MODIFY、MODE(REVERB/DELAY/SLIP)
<マイクロ・ルーパーch>LENGTH、MODIFY、MODE(ENV/TAPE/STRETCH)
●入出力端子:インプット(STEREO)、アウトプット(STEREO)、EXP/CV、MIDI/EXT、Micro USB Type-B
●電源:9Vアダプター
●外形寸法:74(W)×124(D)×60(H)mm
●重量:375g
【価格】
65,890円(税込)
【問い合わせ】
アンブレラカンパニー TEL:042-519-6855 https://umbrella-company.jp/