『感覚は道標』
くるり
結成当初のオリジナル・メンバーで挑んだ旧くて新しい、くるりの音
結成時メンバーの森信行をドラマーに迎えた(録音には約20年ぶりの参加!)、14枚目のアルバム。
収録曲すべての制作がジャム・セッションから始まったというその生感、空気感、ドライブ感には同時に、かつて3人が共にあった時間の濃さもにじんでいるようで感慨深い。
バンドの名曲「ばらの花」を彷彿させる静かなブリッジ・ミュートから始まる③のギター・ソロは、森脱退後に初めてリリースされた「How To Go」を思わせ、同曲の“いつかは僕達も離ればなれになるのだろう/いつかは想像を超える日が待っているのだろう”という歌詞に書かれた不安と希望が、ここにきて結ばれたかに思え胸に沁みる。
こうしてバンドのルーツをたどりながら聴くのも愉しいし、ロック・トリオ=くるりとしてのギター・サウンドに耳を傾けてもまた愉しい。
愛用の61年製テレキャスター(×66年製VOX AC30)の揺れる音に浸れる⑪は、旧くて新しい、くるりの名曲。
(辻昌志)
【参加クレジット】
岸田繁(vo, g, p, k, perc, prog)、佐藤征史(b, perc, etc)、森信行(d, perc, etc)、他
【曲目】
①happy turn
②I’m really sleepy
③朝顔
④California coconuts
⑤window
⑥LV69
⑦doraneco
⑧馬鹿な脳
⑨世界はこのまま変わらない
⑩お化けのピーナッツ
⑪no cherry no deal
⑫In Your Life (Izu Mix)
⑬aleha
ギター・マガジン2023年12月号
『岸田繁とくるりとギター。』
2023年11月13日(月)発売