毎年恒例となっている高中正義の全国ツアーが開催中。今回のタイトルは“Rainbow Finger Dancin’”。ここでは12月5日に行なわれた中野サンプラザ公演の模様をレポートしよう。
文=近藤正義
サプライズで“ミミちゃん”も登場。
絶好調の高中“Rainbow Finger Dancin’”ツアー。
毎年恒例の初秋から冬にかけての全国ツアー。昨年の“ブルー・ラグーン40周年”ツアーに続き、“Rainbow Finger Dancin’”と銘打たれた今年のツアーは、全国11会場における11公演。東京ではすでに10月24日の日比谷野外音楽堂が開催済み。この野音コンサートを皮切りにこの時点で5公演を消化しており、今夜はツアー開始後に決まった追加公演である。
このところ、『ブラジリアン・スカイズ』40周年、「ブルー・ラグーン」40周年、と推移してきたのだが、2020年の40年前といえば、30cmジャンボ・シングル「Finger Dancin’」とアルバム『T-WAVE』がリリースされた年だ。そこで、今年のツアー・タイトルは“Rainbow Finger Dancin’”。Rainbow とは、来年迎える “虹伝説40周年”への布石であろう。
ツアー初日の日比谷野外音楽堂はコロナ禍という状況ながら、インストゥルメンタルの音楽であることや野外であることから規制が緩和され、通常通りの発券で満員。大いに盛り上がったことは言うまでもない。そして東京での2日目となる本公演は程よく演奏がこなれてきた、ツアーの中で最も勢いの出るタイミングだ。初日はまだ硬さも感じられたメンバー全員が、今夜は楽しんで演奏しているのが伝わってくる。この数年はコーラスでレギュラー出演のアマゾンズも、バンド・サウンドをゴージャスにグレードアップさせている。
セットリストは今年のハイライトである『T-WAVE』からの5曲と「Finger Dancin’」からの2曲、そのほかに初期のナンバーや東芝時代の曲も交えたベストな選曲。使用ギターは、日比谷野音の公演でヤマハSGをメインに弾いていたのとは打って変わって、本日の公演ではストラトキャスターと懐かしのベスタックスが大活躍。エフェクターの使用は、コンプレッサーをキツめにかけた伸びやかなクリーントーンが、これぞ高中サウンドと呼べる絶品。また、歪ませた時のバリエーションはいくつかあるのだが、今年は角の取れた耳に痛くないディストーションがメインとなって聴きやすかった。モジュレーション及び空間系では、いつもながらディレイの使い方が素晴らしい。さらに昨年までよく使っていたバイ・フェイズは影を潜め、音像を左右に振るパンニング・エフェクトの使用頻度が上がった。ソロが盛り上がって、ここぞという場面でのこの派手なエフェクトはなかなか効果的だ。
そして、この公演だけのサプライズがあった。40年前の当時のバンド・メンバー、小林 “ミミ”泉美のゲスト出演だ。高中正義との共演も、まさに39年ぶりである。ロンドン在住の彼女がたまたま自身のライブで帰国していたタイミングと、彼女のバンドに高中バンドの現キーボード奏者である井上薫が在籍していたことがこのサプライズを実現させた。
この日は『T-WAVE』に収録されていた彼女の曲「PALM STREET」を共演。存在感のある彼女のキーボード・サウンドと踊るようなアクションで軽やかに弾く姿を見て、当時を知るファンの脳裏には40年前のステージがオーバーラップしたことだろう。この夜、来場していたファンは本当にラッキーだったと思う。
さあ、今年のツアーも中盤に突入し、いい感じに調子が上がってきた。これは後半戦、さらに期待できそうである。
高中正義“Rainbow Finger Dancin’”ツアー日程
◎12/19(土) 札幌 カナモトホール(札幌市民ホール)
開場16:30/開演17:00
チケット購入>
問い合わせ:WESS(☎011-614-9999)
◎12/23(水) 東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
開場17:45/開演18:30
チケット購入>
問い合わせ:キョードー東京(☎0570-550-799)
◎12/26(土) 福岡・福岡市民会館大ホール
開場16:30/開演17:00
チケット購入>
問い合わせ:キョードー西日本☎0570-09-2424
◎1/24(日) 神奈川 神奈川県民ホール
開場16:15/開演17:00
チケット購入>
問い合わせ:キョードー横浜☎045-671-9911