LAセッション・シーンの顔役、アレン・ハインズのシグネチャー・ペダル、AH BoosterがXoticより世界限定1,000台で発売される。ここでは発売に先駆けて、アレン本人がその魅力を語ったインタビューをお届けしよう。また、2024年5月に行なわれた来日公演での使用機材もあわせてご紹介。ペダルボードの中にはもちろんAH Boosterが組み込まれており、実際のステージでどのように使ったのかも教えてくれた。
取材=トミー・モリー 写真提供=PCI JAPAN
アレン・ハインズの最新シグネチャー・ペダル
Xotic / AH Booster
アレン・ハインズが長く愛用してきたXoticのAC-COMPをベースに作られた、最新のシグネチャー・ペダルがこのAH Booster。
3つの異なるコンプレッション・モードをギターやアンプの特性に合わせて選択でき、滑らかなサウンドだ特徴だ。
DC9-18V駆動にも対応し、昇圧時にはパンチの効いたサウンドが得ることができる。
Xotic
AH Booster
【スペック表】
外形寸法:W60mm x D110mm x H40mm
重量:270g(バッテリーを除く)
最大消費電流:9VDC/8mA-18VDC/11mA
バッテリータイプ:9VDC(006P)
AC Adapter(Optional):9VDC-18VDC, センターマイナス(レギュレーテッド)
入力インピーダンス:1MΩ
出力インピーダンス:10Ω
【価格】
30,800円(税込)
【問い合わせ】
PCI Japan
https://xotic.jp/effects/ah-booster/
AH Boosterは僕にとって
ナンバーワンのメイン・オーバードライブ。
ではさっそく、新たなシグネチャー・ペダルであるAH Boosterについて教えて下さい。そもそもこれはブースターですか? それともコンプレッサーなんでしょうか?
これは僕のAC-COMPへの愛から始まったんだ。XoticのAC-COMPはもう廃番になってしまい入手が困難になっているけど、僕はいまだに手放せなくてね。あれを使うとどんなアンプもグッドなサウンドになるんだよ。このAH Boosterは昔のAC-COMPと同じサウンドを持っているだけでなく、さらに優れたパーツとコントロール性を備えているんだ。
AH Boosterの完成にあたり、最も重視したポイントは?
AC-COMPとまったく同じドライブ・サウンドを目指しながらも、より明瞭さがあって、さらにボリュームとゲインをコントロールしやすくしたいと思っていたよ。
ツマミやスイッチの数は既存のAC-COMPと同じように見えます。
基本的にコントロールはAC-COMPと同じだ。違いとしては、AH Boosterのほうが優れたパーツを使っているし、コントロールがより緻密な挙動をしているはずだよ。
来日公演(2024年5月15日/東京・コットンクラブ)でもAH Boosterを使っていましたね。どのようなセッティングにしていましたか?
AH Boosterにはコンプレッションのレベルが選べるトグル・スイッチが付いているんだけど、これは厳密にはコンプレッサー/リミッターではなくて、サチュレーションが起こってつぶれたサウンドだと言えるね。僕は最もコンプレッションが薄いセッティング、つまりスイッチを真ん中にしているんだ。これは古いTube Screamerを改良したイメージだよ。Tube Screamerよりもロー・エンドがあって、よりクリーミーなオーバードライブ・サウンドだ。
さらに今回のジャパン・ツアーでは、AH BoosterのうしろにEP Boosterをつないだんだ。これが上手くいって、凄くナチュラルだったよ。まるでグレイトなアンプを大音量で鳴らしたみたいだった。
今のところ、AH Boosterは僕にとってナンバーワンのメイン・オーバードライブだと言えるね。
あなたのペダル・ボードは常にマイナー・チェンジをくり返しています。どういったポイントを重視して、新しいペダルを選んでいますか?
この数年、ボリューム・ペダルとオーバードライブは常に同じだよ。何年か前にXoticのオーバードライブで“自分のサウンド”を見つけたからね。ディレイ、リバーブ、コーラスは時折入れ替わっているけど、それはちょっとしたインスピレーションによって変えているんだ。それと今は、Xoticの新しいワウ・ペダルもお気に入りだよ。これはシグナルの最初に配置しているんだ。
では、あなたがペダルに求めるポイントは何ですか?
グッドなフィーリングとグッドなサウンド。それらを持ったものを見つけることが秘訣だよ。そう簡単には見つからないんだけどね。
ギター・マガジンの読者にオススメしたいAH Boosterの使い方はありますか?
ボリューム・ペダル、AH Booster、そしてEP Boosterという接続順で使うことをオススメしたいかな。僕にはそれが上手くいくんだ。
また、今回の来日公演では3本のXoticのギターを使っていましたね。
青いギター(下写真)は僕のために作られたXoticのXSC-AHで、カラーとネックが特にお気に入りだ。リアにはハムバッカーを搭載している。ちなみにセンターのピックアップは使わないから結線していないし、マグネットも入っていないよ。
そして僕の1952年製エスクワイアをかなり忠実に再現したのがXTC-AH(写真右)。ピックアップは2つだけど、ネックは本当に僕のエスクワイアみたいな感じなんだ。
もう1本の黒いギターXSC-2(写真左)はスライド用だね。ブリッジを固定して、ヘヴィなゲージの弦を張っている。チューニングはドロップDで、スライドのために弦高を高くセッティングしているんだ。