菊地英昭(THE YELLOW MONKEY)が新作『Sparkle X』と東京ドーム公演で使用した、4本のフライングV 菊地英昭(THE YELLOW MONKEY)が新作『Sparkle X』と東京ドーム公演で使用した、4本のフライングV

菊地英昭(THE YELLOW MONKEY)が新作『Sparkle X』と東京ドーム公演で使用した、4本のフライングV

5年ぶりにリリースされたTHE YELLOW MONKEYの10枚目のアルバム『Sparkle X』。ギタリストの菊地英昭が本作のレコーディングと、4月27日(土)に行なわれた東京ドーム公演『SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”』で使用した4本のフライングVを紹介しよう。

取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊

菊地英昭

EMMA’s Guitars

1958 Gibson
Flying V

1958 Gibson/Flying V(前面)
1958 Gibson/Flying V(背面)

異質なサウンドを持つ初年度コリーナV

2017年頃に入手した、初年度の58年製コリーナ・フライングV。ピックアップは2基共オリジナルだが、ポットがすべて交換されていたり、ヴァイブローラ・ユニットを搭載した際に空けられたと思われる穴があったり、左側のボディの肩にはストラップ・ピンの穴を埋めた痕があったりと、以前の持ち主によってかなり手が加えられた1本。ヘッドは日焼けにより変色してしまっているそうだ。菊地曰く“サウンドはかなり異質で、Vっぽさが全然ないんです”とのこと。『SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”』では、「聖なる海とサンシャイン」、「BURN」、「ROCK STAR」、「WELCOME TO MY DOG HOUSE」で使用された。

ストラップ・ピンを増設した痕。
ストラップ・ピンの穴を埋めた痕。
ヴァイブローラ・ユニットを取り付けた痕と思われる穴が空いている。
ヴァイブローラ・ユニットを取り付けた痕と思われる穴が空いている。

SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”での使用楽曲

  • 「聖なる海とサンシャイン」
  • 「BURN」
  • 「ROCK STAR」
  • 「WELCOME TO MY DOG HOUSE」

1969 Gibson
Flying V

1969 Gibson/Flying V(前面)
1969 Gibson/Flying V(背面)

『Sparkle X』で重宝したソリッドなフライングV

東京ドームでのライブでは「JAM」で使用された69年製フライングV。2016年に入手した1本だ。ネックはスティンガー仕様にリフィニッシュされている。ボディはバーガンディ・ミストが退色してゴールドのような色味になっているが、こちらもリフィニッシュされている可能性があるという。菊地曰く“サウンドはチャリチャリ。ハイ・ミッドが薄いけど、ロー・ミッドがあるからカッティングやアルペジオに合う。歪ませると音がまとまる感じです。それとネックが自分の手癖と相性が良いみたいで、フレーズが弾きやすい”と語る。今作『Sparkle X』のレコーディングでは「罠」や「ホテルニュートリノ」などで使用された。

SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”での使用楽曲

  • 「JAM」

2008 Gibson Custom
Historic Collection 1967 Flying V Reissue

2008 Gibson Custom/Historic Collection 1967 Flying V Reissue(前面)
2008 Gibson Custom/Historic Collection 1967 Flying V Reissue(背面)

ビンテージより太い音がする67年リイシュー

2018年頃に入手にした、2008年製Historic Collectionの67年リイシュー・フライングV。67年の特徴である17フレット・ジョイント仕様で、ショート・ヴァイブローラが搭載されている。ピックアップはBurstbuckerのType 2(フロント)とTypr 3(リア)を搭載。今作『Sparkle X』のレコーディングでは使用機会がなかったというが、「ホテルニュートリノ」と「罠」のMVでは登場している。サウンドに関しては“ビンテージに近いような倍音がありつつ、ビンテージよりも音が太いので使いやすい”とのことで、東京ドームでのライブでは「ホテルニュートリノ」で使用された。

SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”での使用楽曲

  • 「ホテルニュートリノ」

Bizen Works
BURNED FV

Bizen Works/BURNED FV(前面)
Bizen Works/BURNED FV(背面)

コリーナVを意識したカスタム・モデル

愛知県の工房、Bizen Worksが製作した58年スタイルのVタイプ。ボディはコリーナ、指板はハカランダが使用されている。以前、菊地が同メーカーのBURNED EXPを購入したことでメーカーとつながりができ、“ちょうど今Vタイプを作っているんです”という話になったそうで、カラーをペルハム・ブルーに指定して本器を製作してもらったという。ネックの角度は50年代のフライングVに近いとのこと。左側のボディ・エンドにはPick GripsのPGL100が貼られている。東京ドームでのライブでは「ソナタの暗闇」、「天道虫」、「太陽が燃えている」で使用された。

SUPER BIG EGG 2024 “SHINE ON”での使用楽曲

  • 「ソナタの暗闇」
  • 「天道虫」
  • 「太陽が燃えている」

ギター・マガジン2024年8月号
カッティング“超”至上主義 featuring コリー・ウォン

7月12日(金)発売のギター・マガジン2024年8月号では、菊地英昭の『Sparkle X』アルバム・インタビューを掲載!

作品データ

『Sparkle X』
THE YELLOW MONKEY

ワーナーミュージック・ジャパン
WPCL-13560(通常版)
2024年5月29日リリース

―Track List―

01.SHINE ON
02.罠
03.ホテルニュートリノ
04.透明Passenger
05.Exhaust
06.ドライフルーツ
07.Beaver
08.ソナタの暗闇
09.ラプソディ
10.Make Over
11.復活の日

―Guitarist―

菊地英昭