ソロ名義での活動を再開したネオソウル・ギターの旗手、トム・ミッシュ。それを祝福して、ギタマガWEBでは全3回にわたるインタビュー特集を展開中だ。今回は、トム・ミッシュが現在の制作環境について語る!
インタビュー/翻訳=トミー・モリー Photo by Andy Sheppard/Getty Images
『Geography』のギター・サウンドはDuetでできているんだ。
最近の制作環境についても聞かせて下さい。使用しているオーディオ・インターフェースは何ですか?
今、キャンピング・カーでずっと旅をしているんだけど、ApogeeのDuetを持ってきているんだ。かなり小さくて軽い、シンプルなオーディオ・インターフェースだよ。電源が必要なくて、ノート・パソコンにつなげばそれだけで電力が供給されるのが気に入っているよ。実は『Geography』でも使っていて、あのアルバムのギター・サウンドはDuetでできているんだ。サウンド・クオリティと持ち運びのしやすさ、その両方を満たしてくれているね!
お気に入りのVSTプラグインはありますか?
SoundtoysのEchoBoyがお気に入りのディレイだね! Soundtoysのものなら何でも好きだよ。
ここ1年くらいで購入した機材があれば教えてください。
ナイル・ロジャースのシグネチャー・ストラトキャスターを手に入れて、とっても気に入っている。かなりクールだよ。僕は長らくジョン・メイヤー・モデルのストラトキャスターを使ってきたけど、ジョンのシグネチャーは暖かみがあって太いサウンドが持ち味なゆえに、ファンキーなフレーズでは音が強すぎることが時々あったんだ。一方でナイル・ロジャースのモデルはミックスの中でかなり抜けてくる。それがお気に入りなんだよね。
あとは、新しくフェンダーのムスタング・ベースも手に入れたよ! とても小さくて、ギター・プレイヤーが楽しく弾けるものだね。違和感なく手軽に扱えるのがグッドなポイントだ。
ちなみに今年3月に来日したedblことエド・ブラックにインタビューしたのですが、ロンドンで活動する彼にとって、あなたは“ヒーローのような存在”とのことでしたよ。
本当なら良い気分になるものなんだろうけど、僕は今ライブをしていないし、ソーシャル・メディアからも遠ざかっているから、そもそもそういったお褒めの言葉をもらう場面に出くわすことがほとんどないんだ。そういうのって、ツアーをしている時や、アクティブに活動している時にもらえることがほとんどでさ。でもやっぱり、本心では本当に良い気分になるね(笑)。
そして、今の自分が作る新しい音楽で人々にインスピレーションを与えられたらと思うとさらに興奮するし、それこそが最も興味のあることなんだ。多くの人たちが『Geography』を好きになってくれて、僕が当時やっていたことを愛してくれているようだけど、そこからかなり進化しているからね。
また、昨年からジョン・メイヤーがソロ・ツアーを行なっています。先日のロンドン公演には行きましたか?
もちろん観に行ったよ! 彼のソロ・ライブは、僕が今まで観てきたライブの中で最高なものの1つだった。本当にアメイジングだったよ。最初から最後まで集中して観るために、かなりのエネルギーを使ったね。アコースティック・ギターとボーカルだけでのパフォーマンスのためにアレンジし直された楽曲たちは凄くダイナミックで、本当に特別なものになっていたんだ。
ああいった1人でのライブ・パフォーマンスに興味はありますか?
あれをやるためには相当な勇気が必要だと思う。いつの日かやれたらいいなとは思うけど、今の僕はもっとギターを弾いて練習をしなくちゃね。ああいったことができるような場所にすら全然いないよ。何よりもまず、そういう状態に自分を持っていくことから始めないといけない。
でも、やれたとしたらクールなことだろう。僕ならまずはルーパーを使ってみるかな。スタジアムではなく、小さなジャズのカフェみたいなところから始めたいね。
では最後に、最近注目している音楽などがあれば教えてください。
ケイトラナダがニュー・アルバムを出したばっかりなんだけど、それが気に入っているよ。「Dance Dance Dance Dance」っていう曲が特に好きだね。ほかだとアンディー・シャウフというシンガー・ソングライターがいて、「The Magician」や「Early To The Party」という曲が大好きだ。それと、クルアンビンのニュー・アルバムにはかなり刺激を受けたよ。ミツキ・ミヤワキやケイシー・マスグレイヴスも好きだね。今は本当に色んな音楽を聴いているんだ。