川谷絵音が礼賛で使用する2枚のペダルボードを解説! 1つはアコギ用で、“二階建て”の巨大なボードがエレキ用だ。その巨大なサウンド・システムの詳細を隅々まで見ていこう。
取材・文=伊藤雅景 機材撮影=大谷鼓太郎
川谷絵音のペダルボード
川谷が礼賛のライブで使用するペダルボード。写真右側がアコギ用、エレキは中央のシステムだ。ここからはボードごとに解説していこう。
エレキ用ボード
【Pedal List】
①用賀製作所 / 1ループ・ジャンクション・ボックス
②FREE THE TONE / ARC-3(プログラマブル・スイッチャー)
③EarthQuaker Devices / Avalanche Run(ディレイ/リバーブ)
④BOSS / FA-1(プリアンプ)
⑤FREE THE TONE / ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)
⑥CULT / Ray(オーバードライブ)
⑦Bondi Effects / Del Mar Overdrive mk2(オーバードライブ)
⑧Ceriatone / Centura(オーバードライブ)
⑨UNION Tube & Transistor / More(ブースター)
⑩BOSS / VB-2(ビブラート)
⑪BOSS / DD-6(ディレイ)
⑫Electro-Harmonix / POG(ピッチ・シフター)
⑬用賀製作所 / ブースター
⑭用賀製作所 / 3ループ・ボックス
⑮DigiTech / Whammy 4(ピッチ・シフター)
⑯BOSS / CE-3(コーラス)
⑰用賀製作所 / ブースター
⑱strymon / blueSky V1(リバーブ)
⑲TC Electronic / Flashback V1(ディレイ)
⑳strymon / DECO V1(テープ・サチュレーション)
㉑the King of Gear / MINI GLITCH(グリッチ・ペダル)
㉒BOSS / TU-3s(チューナー)
㉓FREE THE TONE / PT-2D(パワーサプライ)
㉔strymon / Zuma(パワーサプライ)
㉕strymon / Zuma(パワーサプライ)
㉖FREE THE TONE / MC-3(MIDIコントローラー)
セパレート・ループを駆使したシステム
2台のスイッチャー(②ARC-3と⑤ARC-53M)を駆使して音色をコントロールするボード。②ARC-3には空間系、⑤ARC-53Mには歪み系が接続されており、②ARC-3はダイレクト・モード、⑤ARC-53Mはプログラム・モードを使用。
まず、ギターの信号は①1ループ・ジャンクション・ボックスのインプットへ入力される。①にはイン、センド、リターン、アウトという4つの入出力端子が搭載されており、①のセンド/リターンにボード内のすべてのペダルがループされている。①のアウトからボード外の㉑MINI GLITCHを経由してアンプに向かう。
①のセンド端子からは、②ARC-3のセパレート・ループのIN-8(L8)へ接続される。L8のループには③Avalanche Runをセット。L8のOUT-8の次は④FA-1へ。④は以前から愛用しているプリアンプで、川谷のシグネチャー・サウンドとも言える1台だ。
④FA-1のアウトからは、歪みペダルがまとめられた⑤ARC-53Mのセパレート・ループのIN-5(L5)へ向かう。L5には⑥Rayと⑦Del Marが入っているが、礼賛で使用するのは⑥Rayのみ。アンプのクリーンに⑥Rayをかけたオーバードライブ・サウンドがコード・プレイの際に使用する音色となる。L5のOUT-5から出力される信号は⑤ARC-53MのINへ向かっており、L3には⑧Centuraが、L4には⑨Moreがそれぞれつながれている。
このような接続順にすることで、L5(⑥Ray、⑦Del Mar)のうしろで、L3とL4のペダルを重ねがけすることが可能になる。なお、礼賛ではL1とL2は使用していない。
ダイレクト・モードで多種多様な空間系ペダルを使い分け
⑤ARC-53MのOUTからは、②ARC-3のIN-Aへ向かう。②で使用するペダルは下記のとおりだ。
- L1(VIBRATO)=⑩VB-2
- L2(DELAY)=⑪DD-6
- L3(POG)=⑫POG → ⑬ブースター
- L4(WHAMMY)=⑭3ループ・ボックス(Loop 1に⑮Whammy 4、Loop 2に⑯CE-3、Loop 3に⑰ブースター)
- L5(REVERB)=⑱blueSky V1
- L6(FLASHBACK)=⑲Flashback V1
- L7(DECO)=⑳DECO V1
- L8(DLY/REV)=③Avalanche Run
基本的には1ループにつきペダル1台が接続されているが、L3とL4に関しては複数台がつながれている。
L3は⑫POGのうしろに⑬ブースターが接続されている。テック曰く“⑫POGは音量を上げて使いたいが、本機のINPUT VOLUMEを上げると音が濁ってしまうため、後段の⑬ブースターでボリュームを稼いでいる”とのこと。
L4には4台のペダルが接続されており、楽曲ごとに⑭3ループ・ボックスのスイッチを踏んで使用するペダルを切り替えている。
そして、②ARC-3のOUTから①1ループ・ジャンクション・ボックスのリターンに戻り、①のアウトプットから㉑MINI GLITCHを経由して、アンプ・セクションへと信号が向かっている。
アコギ用ボード
【Pedal List】
①テック作 / ライン・トランス
②Pete Cornish / Acoustic Preamp/DI/Mute(プリアンプ/DI)
③BOSS / TU-3s(チューナー)
④用賀製作所 / 電源タップ
⑤FREE THE TONE / PT-3D(パワーサプライ)
アコギからの信号を受けるのは、テック自作の①ライン・トランス。本機はピエゾ・ピックアップの“ハイが張り付く感じ”を軽減させるためにつないでいる。②Acoustic Preamp/DI/Muteはプリアンプとミュート・スイッチを兼ねており、本機のチューナー・アウトには③TU-3sを接続。ちなみに、③TU-3sの上に置かれている9V電池は③への給電用で、パワーサプライを使用しない(電源タップをボードの近くに用意できない)ステージの際に活躍する。
LIVE INFORMATION
礼賛 ONEMAN TOUR 2024 「ダイヤモンドゴリラダイバー」
日程/会場
- 2024年10月3日(木)/愛知県 DIAMOND HALL
- 2024年10月4日(金)/大阪府 GORILLA HALL OSAKA
- 2024年10月10日(木)/東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
※情報は記事公開時のものです。最新のチケット情報や詳細は礼賛公式HPをチェック!
作品データ
「曖昧なBEACH」
礼賛
配信
2024年7月31日リリース
―Track List―
- 曖昧なBEACH
―Guitarists―
川谷絵音、木下哲