Petit Brabanconの新EP『Seven Garbage Born of Hatred』でantzが使用したギター Petit Brabanconの新EP『Seven Garbage Born of Hatred』でantzが使用したギター

Petit Brabanconの新EP『Seven Garbage Born of Hatred』でantzが使用したギター

DIR EN GREY、L’Arc~en~Ciel、MUCCなど、長いキャリアを持つバンドのメンバーが集い、新たな表現を追求するプロジェクト=Petit Brabancon(プチ・ブラバンソン)。彼らの新EP『Seven Garbage Born of Hatred』が2024年8月7日にリリースされた。本記事では、ギタリストであるantzがレコーディングで使用したギターについてインタビュー。

取材・文=村上孝之 写真=Victor Nomoto (METACRAFT)/尾形隆夫 (尾形隆夫写真事務所)/河本悠貴

自分はずっと6弦にこだわっていたけれど
今は本当に気に入った7弦を手に入れたい。

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今作のギターを録るにあたって大事にしたことは?

Petit Brabanconでは、基本的にミヤさんと1発録りで“せーの!”で録っているんです。

今回もそうだったんですね。

たぶん今後もそうだと思います(笑)。

2人でピッタリ合わせるフレーズはよりタイトになりつつ、それぞれの微妙なタイム感の違いを活かしてウネリを出しているところもありますよね。

そこに関しては、ライヴやレコーディングをやってきて、何が大事なのか、何を大事にしているのか、大事にしてもらいたいのか……というのを、お互いがよりわかってきた気がするんですよ。だから今回は前みたいに、“もうちょっとこういう感じで”みたいなことはあまりなかったです。先に噛み砕いて、“きっとこうなるに違いない”というところまで持っていって、すぐにライヴができるくらいのテンションでレコーディングに行きました。で、“ザァーッ”と弾いたあとに、“ここはこう”という微調整だけして、あとは“せーの!”でレコーディングするという。

ライヴ録りをしながら、その場で落とし込むというのは凄いです。

至近距離で向かい合って弾きますからね。アイコンタクトとかはないですけど、弾いている姿が感じられるから合わせやすいんです。それにTokyo Shoegazerとか、ほかのバンドでもアナログ・テープを回して“せーの!”でバンドでベーシックを録ることはずっとやっていたから違和感はないし、やっぱりそういう緊張感がないと、とは思いますね。同じフレーズをピッタリ合わせ過ぎたり、きちっとやり過ぎると、どんどんこじんまりしていってしまいますから。

わかります。整っていく代わりに、大事なものが失われていくといいますか。

そう。だから“ビシッ!”と合っている場所と、2人のリズムが“グチャッ”となっている粗い場所、その両方があるのが良いと思っています。

今作のギター・プレイで特に印象の強い曲を挙げるとしたら?

ミヤさんの「眼光」という曲ですね。この曲は一聴するとずっと同じリフを弾いているように聴こえるけど、実はパターンが微妙に違っていたりするんです。ミヤさん曰く、“同じリフでも少し変えることで、ちょっと暗い感じ、明るい感じになって、それを使い分けている”と。それを聞いて“なるほどな!”と思った反面、デモでは違うリフのパターンが交互に出てくるから、“これを数日後にレコーディングするのか……”と戦慄しました(笑)。だけど、蓋を開けたらパートごとに違っていたので、“ああ、よかった、よかった”という(笑)。

では、レコーディングで使用した機材を教えて下さい。

メイン・ギターは、前回のツアーあたりから使っているBalaguer Guitars(バラゲール・ギターズ)の7弦です。「Mickey」だけはフェンダーのバリトン・テレキャスターで、リフを思い切り弾きました。あのギターは“僕、これしか出ません”みたいに偏っているんですよ。(笑)。それが良いんです。バリトン・テレキャスターは1stアルバムをレコーディングする前から持っていて、当時はドロップAチューニングにしていたんですね。そのあと7弦ギターを弾くようになってからは、7弦をドロップA用にして、バリトン・テレキャスターはドロップGまで下げて使っています。

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ビンテージのSGスペシャルも使用したと聞きましたが?

「Mickey」のコード・パートで使いました。実は「Mickey」にはエスニックっぽい音が入っていて、SGのクランチ・トーンでオープン・コードをかき鳴らしているんですよ。そのSGはミヤさんが借りてきたもので、話によるとBUCK-TICKのレコーディングとかでも使われていて、かなり重宝しているギターらしいです。

Petit Brabanconのようなバンドで、トラディショナルなSGやテレキャスターを弾いているのがカッコいいですね。

僕は全然そういうギターでいいんですけど、Petit Brabanconで音の幅と表現したいことを考えると7弦がベストなんですよね。7弦は6弦の感覚でヘヴィなアプローチができるから、凄く良いんです。自分はずっと6弦にこだわっていたけど、今は逆に“本当に気に入った7弦を手に入れたい”という欲があるほどになりました。見た目が伝統的なシェイプの7弦がいいんですけど、売っていないんですよね。だからどうしようかなと思っています。

アンプやエフェクターは何を使いましたか?

アンプはMesa/BoogieのDual Rectifier Road King。ずっとこのアンプを使っていて、もう自分の一部みたいな感じになっていますね。ゲインは10時~11時くらいで、オーバードライブでプッシュして、という感じで使っています。オーバードライブはPGS(Papa Goriot Studios)というメーカーの2台をギターに合わせて使い分けていて、MONOLITHというベースに特化したモデルが7弦用。ADVENTというシルバーのモデルは、バリトン・テレキャスターがちょっと重めというかローが強いので、それを使ってバランスを取っています。どうもアンプの歪みだけだとモッサリ感が取れないなと思っていた時、PGSを試させてもらったら“キタッ!”という感じがしたんですよね。

モジュレーション系や空間系などは?

今回はそこまでトリッキーな音はなくて、使ったのは歪みと空間系。あとピッチ・シフターくらいだった気がしますね。

ディレイはレコーディングではあとがけですか?

いえ、かけ録りしています。録ったあとに、もう少し強めたくてあとからディレイをプラスしたところもありましたけど、基本的にはかけ録り。ちなみにアンプのセンド/リターンも使っていません。思いっきりプリアンプを通った汚い音(笑)。あれが良いんですよ。

『Seven Garbage Born of Hatred』は、Petit Brabanconならではのラウドさが詰め込まれた作品になりました。9月に行なわれるツアーも楽しみです。

ツアーでは揉みくちゃになりたいですね。そういうバンドだと思うんで、観るほうも演奏するほうも汗まみれ、なんだかよくわからない……みたいな(笑)。ただ、それを強要する気はない。さっきも言ったように、そこをルールにしたいわけではなくて、自然とそうなればいいなと思っています。だから、フルで出し切った先に楽しいがあればいいな。そして、そこでまた自分が“何を感じることができるかな?”ということも楽しみにしています。

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LIVE INFORMATION

Petit Brabancon Tour 2024 「BURST CITY」

Petit Brabancon

【スケジュール】
2024年9月5日(木)@東京・Spotify O-EAST
2024年9月6日(金)@東京・Spotify O-EAST
2024年9月12日(木)@広島・CLUB QUATTRO
2024年9月13日(金)@福岡・BEAT STATION
2024年9月15日(日)@大阪・GORILLA HALL
2024年9月20日(金)@神奈川・CLUB CITTA’ KAWASAKI
2024年9月21日(土)@愛知・DIAMOND HALL NAGOYA

【チケット情報】
スタンディング : ¥6,500(税込)

ツアーの詳細は公式HPまで
https://www.petitbrabancon.jp/

作品データ

『Seven Garbage Born of Hatred』
Petit Brabancon

MAVERICK DC
DCCA-130
2024年6月14日リリース

―Track List―

  1. move
  2. dub driving
  3. BATMAN
  4. 眼光
  5. a humble border
  6. Mickey
  7. Vendetta

―Guitarists―

ミヤ、antz