Positive Grid Spark40は、小型ギター・アンプに先進のデジタル機能をぎっしり詰め込んだ、自宅練習に最適のアイテム。今回は、スマホ・アプリと連携させたSpark40を活用した練習の楽しみ方を紹介します。
文=ワタナベダイスケ 写真=小原啓樹
自動作曲やコード分析までやってのける超・未来派アンプ。それが“Spark40”
前回はデジタル・アンプとしての基本機能を中心に解説した、Positive Grid Spark40の入門特集をお届けした。
今回はその第2弾として、スマホ・アプリ経由でのネット連携ができるからこそ可能となった、便利な2つの機能を紹介しよう。
それが、自分の演奏を機械学習して伴奏を自動生成してくれる“Smart Jam(スマート・ジャム)”と、YouTubeや音楽配信サービスにある楽曲をコード分析して練習に活用できる“Auto Chord(オート・コード)”だ。
いずれも従来のギター・アンプの枠には収まらない、デジタル時代の機材らしい新機能だが、実際の使い勝手はアナログ派ギタリストでもすぐにフル活用できるくらいにシンプル。
普段の練習はもちろん、耳コピーや作曲のお伴としても、活躍してくれることだろう。
Sparkの“Smart Jam(スマート・ジャム)”ってどんな機能?
ユーザーの演奏スタイルに合わせ、自動でバッキング・トラックを生成してくれる伴奏機能が、SparkシリーズのSmart Jamだ。
練習したいテンポや音楽ジャンルを設定できるだけでなく、楽曲としてきちんとした展開のあるトラックが何度でも生み出されるため、とにかく飽きがこないのが最大の特徴と言える。
まるで本物のミュージシャンが自分のためにセッションしてくれているような気分で、つい時間を忘れて楽しめてしまう。
3ステップで手軽に遊べる! Smart Jamの使い方
さっそく、Smart Jamでバッキング・トラックを作る過程の一部始終を紹介していこう。
手順は“ジャムる相手(ジャンル)を決める”、“BPMを決める”、“4小節だけ演奏する”という、たった3ステップだけ。
ステップ1:ジャムる相手(ジャンル)を決める
ステップ2:BPMを決める
ステップ3:4小節だけ演奏する
ユーザーが弾いた演奏をSparkが機械学習して自動生成するトラックは、比較的ストレートな作曲の「Ganerated」3曲と、ちょっとヒネリの効いた「Inspired」3曲の計6パターン。
単調なバッキングではなく、きちんとイントロ、バース、コーラスといった展開のある曲を作ってくれるところが、特筆すべきポイントだろう。
できあがったトラックを試聴して、気に入ったものを選べば、あとはベースとドラムの伴奏がループ再生される。
トラックの再生中はスマホの画面上にコードの進行とダイアグラムが表示されるから、アドリブ・ソロの練習にももってこいだ。トラックのBPMとコード進行のトランスポーズ(転調)、そしてベース音のオン/オフは、必要に応じて画面右上の設定アイコンから変更できる。
なお、ジャム相手にJarvisを選んだときのみ、再生中の画面インターフェースが異なり、Smart Jam中のギターの演奏に合わせてリアルタイムにドラム演奏を変化させてくれる。よりダイナミックなジャムを楽しみたいときにおすすめだ。
いつでもどこでも無限に新しいトラックを生成してくれるSmart Jamだが、気に入ったトラックを再利用したい場合は、データを保存しておくのをくれぐれもお忘れなく。
Sparkの“Auto Chord(オート・コード)”ってどんな機能?
続いて、YouTube上にある楽曲のコード解析をしてくれるツール“Auto Chord”を紹介しよう。
Auto Chordは、YouTubeにあるミュージック・ビデオやライブ映像といった動画から楽曲のコードを自動分析してくれる機能だ。分析済みの動画は、Sparkアプリ内で再生しながらコード進行やコード・ダイアグラムをリアルタイムで確認できる。
もちろんSmart Jam同様に分析は全自動で行なわれるし、分析スピードもなかなかの速さ。耳コピー支援ツールとして非常に頼れる存在となるはずだ。
YouTubeにある楽曲を自動分析
YouTubeにアップされている動画のコード分析をする場合、まずはアプリ内の検索アイコンをタップして、楽曲名を検索してみよう。
検索結果の一覧画面でコード名が表示されているのは、すでに誰かがAuto Chordで分析済みの楽曲。
選択すると、SparkアプリがYouTubeの動画を再生しながら、曲の進行に合わせたコード進行と指板図のコード・ダイアグラムを表示してくれる。
一方、一覧画面でコード名ではなく“分析リクエスト”と表示されているのは、まだコード分析が実施されたことのない音源だ。
とはいえ、楽曲を選択すると自動的に分析が実行されるから、実用上では特に気にする必要はないだろう。
ミュージック・ビデオだけでなくライブ映像も数多くアップされているYouTubeを分析元とするだけに、同一の楽曲であっても異なるバージョンの弾き比べができるのが面白いところだ。
飽きずに遊び感覚でギター練習を継続できるSparkアプリ
かつてならギターアンプに内蔵されるような機能ではなかったであろう、スマート・ジャムやオート・コード。
飽きずにギターを楽しめるのはもとより、YouTubeとコードを同じ画面に表示してくれるといった工夫に“そうそう、こういう練習がしたかったんだよね!”と目から鱗が落ちた人も多いのでは。
次回はこれまでの紹介したSpark40の機能をまとめながら、ハードウェア面の作りこみやクラウド機能にも詳しく触れていきたい。
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