【会員限定】バディ・ガイが愛したストラトキャスター、入手のきっかけと水玉模様の理由 【会員限定】バディ・ガイが愛したストラトキャスター、入手のきっかけと水玉模様の理由

【会員限定】バディ・ガイが愛したストラトキャスター、入手のきっかけと水玉模様の理由

毎週、1人のブルース・ギタリストに焦点を当てて深掘りしていく新連載『ブルース・ギター・ヒーローズ』。長いキャリアにおいて様々なギターを手にしてきたバディ・ガイ。強烈な印象を残す水玉模様の個体を始め、フェンダーのストラトキャスターを弾いているイメージが強いのではないだろうか。ということで、フェンダー製の名器を中心にチェックしてみよう。

文=久保木靖 Photo by Getty Images

1950’s Fender Stratocaster

バディ・ガイ(Photo by David Redfern/Redferns)
Photo by David Redfern/Redferns

最初のストラトは、1950年代終盤に入手したメイプル・ネックでサンバースト・フィニッシュの1958年製(バディは1957年製と称している)。ストラトを選んだ理由はギター・スリムが弾いていたことと、天候に影響されない頑丈さを気に入ったから。

ただ、当時のバディにはそれをポンと買えるだけの金銭的な余裕はなく、ブルース・クラブを経営していた女性からお金を借りて買ったという。

このギターは盗難に遭う1970年代半ばまでメイン楽器として活躍しており、チェス時代初期の名演でそのサウンドを聴くことができる。ストラトは御存知のとおり、テレキャスターに続いてフェンダーが世に放ったソリッド・ギターで、カントリー・ミュージックでの演奏を想定したものだったが、バディの使用によりブルース・フィールドにも認知が広まった。

1960’s Fender Stratocaster

バディ・ガイ(Photo by Walter Iooss Jr./Getty Images)
Photo by Walter Iooss Jr./Getty Images

1969年のジャック・ブルース&バディ・マイルスらと出演した『Super Session』では、ローズウッド指板でサンバースト・フィニッシュの1960年代製を手にしている。

『D. J. Play My Blues』(1982年)の1984年リイシュー版のジャケットでは、メイプル・ネックでべっ甲のピックガード、ブロンド・フィニッシュの個体が見られるが、よく見るとピックアップがレース・センサー。ただし、レース・センサーのフェンダー搭載が始まるのは1987年のため、ジャケット写真の時期とは合わない。レース・センサーの試作品を搭載した個体を支給されたか、手持ちのストラトのピックアップをレース・センサーの試作品に交換したか、どちらかであろう。

1989 Fender Custom Shop Stratocaster

バディ・ガイ(Photo by Jim Steinfeldt/Michael Ochs Archives/Getty Images)
Photo by Jim Steinfeldt/Michael Ochs Archives/Getty Images

そして近年のメイン・ギターが、1989年にフェンダーカスタムショップが作ったメイプル・ネックでハニー・ブロンドの個体。エリック・クラプトンのシグネチャー・モデルをベースとしたもので、ソフトVシェイプのネック、21フレット、プリアンプ内蔵、3基のゴールド・レースセンサー・ピックアップ(2000年代初頭にフェンダー製Noiselessに交換)という仕様となっている。

1995 Fender Custom Shop Stratocaster(Buddy Guy Standard Stratocaster)

バディ・ガイ(Photo by SGranitz/WireImage)
Photo by SGranitz/WireImage

そして1995年、水玉模様が印象的なシグネチャー・モデルが登場。やはり、エリック・クラプトン・モデルをベースとした仕様だ。バディの個体はアッシュ・ボディで、ブラックやレッド、イエローなど色違いで7本ある。

一般に市販されたものは“Buddy Guy Standard Stratocaster”と名付けられたアルダー・ボディでブラック・フィニッシュのモデル。こちらはメキシコ工場製だ。

バディが水玉模様にこだわった理由は、亡き母親との“がっつり稼いで、水玉模様のキャディラックで帰ってくる”という約束を覚えていたから。

Others

そのほか重要なギターを挙げておく。1950年代半ばに入手した最初のエレクトリック・ギターは、ギブソンのレス・ポール。デビュー・セッションの「Sit And Cry」などで使われたが、その直後に盗難に遭ってしまう。

チェス初期の名演を集めた『I Was Walking Through The Woods』(1970年)のジャケットで見られるのはホワイト・フィニッシュのギブソンのSG。

1970年代、愛用のストラトが盗難に遭ったときにエンドース契約を結んで使用したのがギルド製ギターで、セミ・ホロウのStarfire ⅣやNightingaleなどが使われた。

『I Was Walking Through The Woods』(1970年)のジャケット。

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