バディ・ガイの爆発的なエモーショナル・プレイを愉しむ15選 バディ・ガイの爆発的なエモーショナル・プレイを愉しむ15選

バディ・ガイの爆発的なエモーショナル・プレイを愉しむ15選

毎週、1人のブルース・ギタリストに焦点を当てて深掘りしていく新連載『ブルース・ギター・ヒーローズ』。今週はバディ・ガイの名演を堪能する、全15曲入りのプレイリストをお届け!

文=久保木靖

たじろぐほど爆発的なエモーショナル・プレイ15選

ソリッド・ギターによる鋭利なトーン、畳みかけるチョーキング、魂まで震えるようなビブラート、ロック・ギタリスト顔負けの手数とパワー……そんな直情型プレイでブルース界トップに登りつめたバディ・ガイ。少なくともB.B.キング亡きあとはブルースの代名詞的存在と言っていい。そんなバディのエモーショナルなプレイが聴ける名演を15曲選んでみた。

【プレイリスト収録曲】
①「I Smell A Rat」
②「Are You Losing Your Mind」
③「Stone Crazy」
④「First Time I Met The Blues」
⑤「Let Me Love You Baby」
⑥「Leave My Girl Alone」
⑦「Mary Had A Little Lamb」
⑧「The Things I Used To Do」
⑨「I Had A Dream Last Night」
⑩「Messin’ With The Kid」
⑪「Vietcong Blues」
⑫「Ships On The Ocean」
⑬「Rememberin’ Stevie」
⑭「My Time After Awhile」
⑮「Cognac」

①「I Smell A Rat」②「Are You Losing Your Mind」は、“あまりに激情的すぎる”との理由で敬遠されることもあるという『Stone Crazy!』(1979年)から。切羽詰まったボーカルから一気にギター・ソロで爆発するが、そこには極度の緊張感が漂う。

次の3曲はチェス初期の音源を収録した『I Was Walking Through The Woods』(1970年)から、出世作とも言える代表曲。
③「Stone Crazy」④「First Time I Met The Blues」はバディ・スタイルの代名詞的なスロー・ブルースで、後者ではオブリガートでB.B.キングの名フレーズを借用している。

ウィリー・ディクソンのペンによるキャッチーな⑤「Let Me Love You Baby」は、ジェフ・ベック(改作)やスティーヴィー・レイ・ヴォーンを始め、カバー・バージョン多数。

⑥「Leave My Girl Alone」は『Left My Blues In San Francisco』(1968年)からで、1弦のルート音をトップ・ペダルにしたブルージィなハーモニー・プレイが全編で響き渡る。

ファンキー・テイストの⑦「Mary Had A Little Lamb」は『A Man And The Blues』(1968年)からで、やはりレイ・ヴォーンのカバーも有名だ。

次の2曲は初のライブ・アルバム『This Is Buddy Guy!』(1968年)から。

⑧「The Things I Used To Do」はバディのヒーロー、ギター・スリムの代表曲。バディにしてはおとなしめで、原曲の再現に努めているようだ。
スロー・ブルース⑨「I Had A Dream Last Night」のギター・ソロではまさに感情が爆発。呼応するバック勢も見事だ。

盟友ジュニア・ウェルズとの名コンビも忘れてはならない。
⑩「Messin’ With The Kid」は名コンピ『Chicago/The Blues/Today! Vol.1』(1966年)からで、ロリー・ギャラガーのカバーでも知られたアップ・テンポのリフ・ナンバー。

同アルバムからの⑪「Vietcong Blues」と『Hoodoo Man Blues』(1965年)からの⑫「Ships On The Ocean」はともに、バディによる虫が蠢くかのような陰湿フレーズが異様な空間を作っている。

『Damn Right, I’ve Got The Blues』(1991年)のラストに収められた⑬「Rememberin’ Stevie」は、レコーディング直前に亡くなったレイ・ヴォーンに捧げられたインストで、連続チョーキングやチキン・ピッキングなど多彩なテクニックが惜しげもなく披露されている。

⑭「My Time After Awhile」は『Live : The Real Deal』(1996年)からのセルフ・カバー。ピアニッシモからフォルティッシモまで、ダイナミクス豊かに吠えまくるプレイに注目したい。

ラストは『The Blues Is Alive And Well』(2018年)から、ジェフ・ベックとキース・リチャーズが参加した⑮「Cognac」だ。バディも含めた三者三様のスタイルによる“会話”があって、これはもう夢心地!


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