12月10日(火)に新宿LOFTで開催された、サバシスターの忘年会企画「さばちゃんといっしょ2024」。本公演でステージに用意されていた、るみなす(g)のギター3本を本人のインタビューと共にご紹介。
取材・文=伊藤雅景 機材撮影=西槇太一
Ruminasu’s Guitars
2023 Gibson USA
SG Standard ‘61
2024年からのメイン・ギター
るみなすのメイン・ギターは、61年の仕様を踏襲したSG Standard ‘61。今年の2月、それまでのメイン・ギターだったSG Standard 120th Anniversaryに不調が出てきたため、そのタイミングで導入したという。
るみなす曰く“出る音域が広いですね。音の抜けも良いし、下も出てくれる”とのこと。改造点はなく、フル・オリジナルの状態で使用している。ピックアップはフロントとリア共にギブソンの60s Burstbuckerを搭載。ピックアップ・ポジションはリアがメインだ。
この日のライブでは、「よしよしマシーン」、「リバーサイドナイト」、「ジャージ」を除く全曲で本器を使用。
弦はすべてのギターに、なち(vo,g)と同様、D’AddarioのRegular Light(.010〜.046)を張っている。チューニングはレギュラーだ。
2014 Gibson USA
SG Standard 120th Anniversary
一番長い時間を共にした相棒
この日のライブでは、サブ・ギターとしてスタンバイされていた120th AnniversaryのSGスタンダード。るみなすが高校生時代から使用しているSGで、“一番長い時間を共にしている”と語る愛器。当時、KEYTALKの小野武正(g)に憧れてラージ・ピックガードのSGを探していたところ、本器と出会い“即購入した”という1本だ。
このSGはギブソン創立120周年を記念し、全世界800本限定で生産されたアニバーサリー・モデル。12フレットのインレイに特別なデザインが施されているところがポイント。
ピックアップにはフロントにギブソンの490R、リアに498Tがマウントされている。ピックアップはリアをチョイスしているが、現在のメイン・ギターを導入する以前はフロント・ポジションをメインで使用していたとのこと。サウンドは“メインと比べて艶っぽく、上品な音がする”と語っていた。
ESP学園生徒作
Original Model “Ruminasu Wood”
マホガニーの杢がド派手なオリジナル・ギター
この日、初披露されたニュー・ギター。ESPギター・クラフト科とのコラボレーションで生まれたモデルで、るみなすより“Ruminasu Wood”と名づけられた、世界に1本だけのギターだ。
ボディとネックはマホガニー、指板はローズウッドという材構成で、るみなすの要望により、杢を活かしたシースルーのフィニッシュに仕立て上げられている。ちなみに、木材もるみなすが実際に手に取ってチョイスしたものだそうだ。ボディ・シェイプから見て取れるとおり、本器はESPのViperをもとに作られているが、インレイやヘッドのデザインなど、細部まで彼女のこだわりが詰め込まれている。
ピックアップは2基共Seymour Duncan製で、ノーマルのViperとは異なるSH-2n Jazz(フロント)とSH-11(リア)が搭載されている。また、EvertuneのF Modelが採用されており、チューニングの安定性も高い。トーン・ノブはプッシュ/プルが可能で、プル状態でコイル・タップが適用される。
この日のライブでは、「よしよしマシーン」、「リバーサイドナイト」、「ジャージ」で本器が登場。今後の活躍が楽しみな1本だ。
Interview
実際にESPに行って、
使う木材から決めさせてもらったんです。
メイン・ギターのSG Standard ‘61から詳細を聞かせて下さい。
2024年の2月あたりに導入したSGです。もともとは黒いSG(SG Standard 120th Anniversary)を使っていたんですけど、インレイが浮いてきたり、メンテナンスに出さなきゃいけない状態になっちゃって、その時期に出会った1本ですね。なので、まだ使い始めて1年も経っていないです。
ピックアップはどのポジションを使いますか?
リア・ピックアップですね。黒いSGを使っていた時まではずっとフロントで弾いていたんですけど、最近はもう少し元気な感じが欲しくなってリアを使うようになりました。
このSG Standard ‘61のお気に入りのポイントは?
出る音域が広いところですね。音の抜けも良いし、下も出てくれる。リアを使うようになったからそう感じているのかもしれないんですけど、めっちゃ元気なサウンドです。あと、色(笑)!
ボディの杢の感じが絶妙ですね!
めっちゃかっこいいですよね! ボディの模様が凄くキレイ。野外フェスとかの太陽に当たるステージだと、もっとかっこいいんです!
SG Standard 120th Anniversaryは、るみなすさんが昔から使っているギターですよね。
そうです。こいつは私が高校生の時から使っていて、一番長い時間を共にしているギターですね。昔に組んでいたバンドでも使ってました。さっきも話したように、こっちのSGではずっとフロント・ピックアップを使っていたんですけど、最近はメインのSGと音色を合わせるためにリアを使ってます。今はサブ・ギターとして置いているんですけど、メインを使い始めてから、こっちも良い音だなと改めて感じましたね。実は最近のレコーディングでも活躍しています。
SG Standard ‘61と比べてどういった印象ですか?
艶っぽいですね。上品な感じの音がするSG。昔からそういうところが好きだったんですけど、サバシスターのロック・サウンドとなると、少し元気さが足りないところもあって。でも、アンプやエフェクターのセッティングで全然カバーできるから、これからも活躍してもらいたい!
手を加えているポイントはありますか?
まったくしていないんですけど、トーン・ノブが割れちゃったので交換しています。しかも、まさかの他社のノブ(笑)。
そして、このESPのギターは今日のライブで初お披露目なんですね。
ESPの学生さんが卒業制作の一環で作ってくれたんです! 受け取ったのは本当に最近で、今年の11月とか。その時に音は出したんですけど、ステージで使うのは今日が初めてです。
ヘッドにサバシスターのロゴが!
これヤバいですよね! 入れちゃいました。モデル名は“Ruminasu Wood”です(笑)。ESPのViperをもとにして作ってもらったんですが、そこから私の好きな仕様にしてもらいました。Evertuneを載せているので、自分が持っているほかのSGよりボディが厚いんです。
シースルーの杢もキレイですね。
実際にESPに行って、使う木材から決めさせてもらったんです。そこから学生さんたちに一番良い状態の部分を選んでもらいました。なので、ボディの見た目は“杢をそのまま活かしてほしい”とオーダーさせてもらっていて。ヘッドも、“波みたいな形にしてほしい”と伝えて、形をイチから考えてくれたんです。
インレイも波のデザインになっていますね。
そうなんです! 12フレットだけお魚の形になってます(笑)。