ムック『チャーリー・クリスチャンで始める最強のジャズ・ギター入門』が、2025年1月20日(月)にリットーミュージックより発売される。
チャーリー・クリスチャンは、1930〜1940年代のごく短い活動期間の中でモダン・ジャズの基礎を築いたと言われる伝説的なギタリストだ。
わずか25歳で夭折したが、彼の演奏はその後のウェス・モンゴメリー、ジム・ホール、バーニー・ケッセル、タル・ファーロウ、グラント・グリーンといった偉大なギタリストたちに大きな影響を与えた。
また本書の著者である久保木靖は、チャーリー・クリスチャンを自身のフェイバリット・ミュージシャンとして挙げるライター/エディターで、これまでの著書には『レジェンド・オブ・チャーリー・クリスチャン』、『中牟礼貞則 孤高のジャズ・インプロヴァイザーの長き旅路』などがある。
そして本書は、チャーリー・クリスチャンについての著者の研究を、ギターの教則本としてまとめ上げたものとなった。
その内容は次のとおり。
『チャーリー・クリスチャンで始める最強のジャズ・ギター入門』の内容
PROLOGUE 楽譜と理論の基礎知識
(1)五線と指板の関係
(2)変化記号(調号、臨時記号)
(3)音程(インターヴァル)
(4)スケール
(5)コードとテンション
(6)ダイアトニック・コードとコードの機能
(7)アドリブの基本は[ドミナント→トニック]の流れ
(8)CAGED システムの活用
Chapter 1 トニック・フレーズ
①メジャー・フォーム1[E 型]
②メジャー・フォーム2[C 型]
③メジャー・フォーム3[G 型]
④メジャー・フォーム4[A 型]
⑤マイナー・フォーム1[Em 型]
⑥マイナー・フォーム2[Am 型]
⑦ブルース・スケール
⑧メジャー・ペンタトニック・スケール
⑨トニック・ディミニッシュの挿入
Chapter 2 ドミナント・フレーズ
①ドミナント・フォーム1[A7 型]
②ドミナント・フォーム2[E7 型]
③ドミナント・フォーム3[D7 型]
④ドミナント・フォーム2[E7 型]と3[D7 型]の連結
⑤ 9th コードのアルペジオ
⑥ 13th コードのアルペジオ
⑦サブドミナント・マイナーの活用
⑧ミクソリディアン・スケール
⑨ホールトーン・スケール
⑩オーギュメントでアウト・フレーズ
Chapter 3 様々なアプローチ法
①ペダル・フレーズ
②クリシェ・フレーズ
③アンティシペーションとディレイド・リゾルヴ
④リズミック・アプローチ
⑤オクターヴ奏法
⑥コード・ソロ
⑦バッキング
⑧イントロ
Chapter 4 スコア&アナライズ
「Rose Room」
「Honeysuckle Rose」
「Poor Butterfly」
「Jammin’ In Four」
「Profoundly Blue」
「Honeysuckle Rose(Up On Teddy’s Hill)
「Tea For Two」
「Pagin’ The Devil」
コラム
チャーリー・クリスチャンの生涯
ディスク・ガイド
独特のグルーヴを生む、チャーリー・クリスチャンの運指
チャーリー・クリスチャンの使用機材
エレキ・ソロの原点!〜チャーリー・クリスチャンの影響力〜
ごらんのとおりChapter2以降は、チャーリー・クリスチャンのトニック・フレーズ→ドミナント・フレーズ→様々なアプローチ方法→スコア&アナライズという段階的な構成になっている。
読者は本書を読み進めるうちに、クリスチャンのフレーズや奏法を身につけるとともに、クリスチャンがその礎を築いたモダン・ジャズ・ギターの原点を知ることもできる。
またクリスチャンのフレーズの面白いところとして、トニックはT-ボーン・ウォーカーやB.B.キングと共通点の多いブルージィなフレージングで、ドミナントだけが今で言うジャズ・フレーズ的になっている、ということが挙げられる。本書ではクリスチャンのフレーズをそのように分解して提示しているので、ブルース系やロック系のギタリストにもとっつきやすいのではないだろうか。
これからジャズ・ギターに真剣に取り組みたいと思っている人や、過去に何度か挑戦したがコツがつかめず挫折したという人にも、本書はお薦めだ。
最後に本書の編集担当者のコメントを紹介しよう。
一般的なジャズ・ギター教則本とは異なり、スケール&アルペジオの練習や、ツー・ファイヴ・フレーズは登場しません。というのも、チャーリー・クリスチャンの時代には「スケールやアルペジオを数オクターブに渡って上下する」、「コードをツー・ファイヴに分解して弾く」といったアドリブ法は開発されていなかったからです。だけど、クリスチャンの演奏を聴いて「ジャズっぽくないな〜」と感じる人はいないはず。それは、上記のような手法はジャズの方法論の一部であって、すべてではないからです。
ジャズのスタンダードは、極論すればトニックとドミナントの繰り返しで成り立っています。これをフレーズとして表現できればジャズを感じさせるアドリブが可能です。実際、チャーリー・クリスチャンのアドリブはそのような構造になっています。本書は彼が愛用したフレーズを「トニックで弾くフレーズ」と「ドミナントで弾くフレーズ」に大別し、コード・フォームと紐付けて学んでいきます。トニックとドミナントを2〜3種類ずつ身につけて、実際の演奏キーに合わせて弾くことができれば、もうジャズ・アドリブが弾けているはず!
本書の嬉しい副次効果として、チャーリー・クリスチャンが残した名演がさらに素晴らしく聴こえるというものがあります。今から80年以上前にこんなすごい演奏をしているとは……やはり早世の天才でしたね。
──編集担当/橋本修一
久保木靖(くぼき・やすし) プロフィール
1969年、茨城県生まれ。中学時代にギターを始め、ロックやブルースに夢中に。ジャズに開眼したのは大学時代。現在はライター/エディターとして活動。得意分野はジャズ、ブルース、カントリー、ロックなどのギター・ミュージックと、なぜかハワイアン。オールタイム・フェイヴァリットはチャーリー・クリスチャンとセロニアス・モンク。著書に『中牟礼貞則 孤高のジャズ・インプロヴァイザーの長き旅路』、『レジェンド・オブ・チャーリー・クリスチャン』、『不世出の天才ジプシー・スウィング・ギタリスト ジャンゴ・ラインハルト』、共著に『ジャズのすゝめ』、『ディスク・ガイドJAZZ Guitar』などがある。趣味は海外釣行、読書(ミステリー)。珈琲と猫をこよなく愛す。
『チャーリー・クリスチャンで始める最強のジャズ・ギター入門』
久保木 靖(著)
歴史が証明した最もシンプルで応用力のあるメソッド
品種 | ムック |
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仕様 | A4変形判 / 112ページ / CD付き |
発売日 | 2025.01.20 |
ISBN | 9784845642045 |