クリープハイプ『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』のRECで使用された、尾崎世界観と小川幸慈の機材 クリープハイプ『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』のRECで使用された、尾崎世界観と小川幸慈の機材

クリープハイプ『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』のRECで使用された、尾崎世界観と小川幸慈の機材

2024年12月4日にリリースされた、クリープハイプの3年ぶりとなる最新アルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』。1月10日発売の本誌『ギター・マガジン 2025年2月号』では、小川幸慈(g)のインタビューに加えて、小川と尾崎世界観(vo,g)がおもにライブで使用しているメイン機材を紹介しているが、ここでは本誌に掲載しきれなかった、レコーディングで活躍した2人のギター&アンプを紹介しよう。

取材・文=奥田悠哉 写真=八島崇

Ozaki’s Guitar

1965 Fender
Telecaster

1965 Fender
Telecaster
1965 Fender
Telecaster

小川もレコーディングで使用する
貫禄の65年製テレキャスター

尾崎世界観が所有するフェンダー・テレキャスター。シリアル・ナンバー“L88884”、ヘッドのスパゲッティ・ロゴやパテント・ナンバーなどから、1965年製と思われる1本だ。ネックやボディには塗装のはがれや打痕が見られたりと、長年の使い込みによる風合いを感じられるルックスで、パーツ類はほぼオリジナルそのままのように見られる。本器は小川幸慈もレコーディングで使用しているそうで、本作の「星にでも願ってろ」はホワイト・ファルコンとのコンビで録音されたようだ。

Ozaki’s Amplifier

SHINOS
Luck6V

SHINOS
Luck6V

ライブでも活躍する国産アンプ

SHINOSは2006年に篠原勝氏が立ち上げたアンプ・メーカーで、山下達郎や星野源などが愛用していることでも有名だ。本機はSHINOSの創設から発売されてきた“Luck6V”のコンボ・タイプ。各コントロールには目印のシールが貼られており、TONE SELECTとBOOSTのスイッチは下側が選択されている。

Ogawa’s Guitars

Fender Custom Shop
1961 Stratocaster Reissue

Fender Custom Shop
Stratocaster 1961 Reissue
Fender Custom Shop
Stratocaster 1961 Reissue

「あと5秒」で演奏された
オリンピック・ホワイトのストラト

フェンダーカスタムショップ製の61年リイシュー・ストラトキャスター。2022年頃、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテが使用していたオリンピック・ホワイトのストラトと同じカラーの本器を見つけ、記念に入手したという1本だ。今回のレコーディングでは登場する機会が少なかったようだが、「あと5秒」は本器で演奏されており、 “この曲は確かフロントで弾いたんですけど、丸っこい温かみのある、良いストラトのトーンを出せたと思います”と語ってくれた。


Gretsch
G6136T-59 ’59 Falcon

Gretsch
G6136T-59 '59 Falcon
Gretsch
G6136T-59 '59 Falcon

知人から借り受けた
パンキッシュなファルコン

2008年製と思われるホワイト・ファルコン。レコーディングのために知人より借り受けている1本とのことで、もとから様々な改造が施されていたという。ヘッドのメタル・プレートがドクロ柄に、コントロール・ノブがピストルのシリンダー(回転弾倉)風に変更されているが、これらは知人による自作アクセサリーとのこと。チタン製のナットは原宿のリペア&クラフト店、松下工房で取り替えたそうだ。ロカビリーな雰囲気のサウンドを目指した「星にでも願ってろ」は本器で録音されている。


1970’s Gibson
Les Paul Custom

Gibson
Les Paul Custom
Gibson
Les Paul Custom

長年の使い込みを感じさせる
ビンテージ・カスタム

レコーディングで使用されたという、ギブソンのレス・ポール・カスタム。 ヘッドのギブソン・ロゴの“i”にドットがないことや、ソンブレロ・タイプのコントロール・ノブ、ネック・ボリュートなど、1969年〜1970年代前半の仕様が見られる。ヘッド裏にはKluson 501VXのペグが付いていたネジ穴の跡があり、現在はGroverのロトマチック・タイプに変更されている。

Ogawa’s Amplifiers

Bogner
Duende & 1×12 Cabinet

Bogner
Duende & 1×12 Cabinet

今作でのメイン・アンプ

今回のレコーディングのメインで使用されたという、BognerのDuendeと1×12のマッチング・キャビネット。白色の革をベースにしたデザインは特注品のようだ。小川曰く、“ヘッドのゲインはフェンダーの感じに近いんですけど、もう少し歪みの感覚がタイトな印象”とのことで、スッキリと抜ける音色がお気に入りだと語ってくれた。


String Driver
Custom Made 2×12 Cabinet

String Driver
Custom Made Cabinet

新たに入手したキャビネット

2001年創業のキャビネット専門メーカー、String Driver。本器はレコーディングの途中で入手し、BognerのDuendeと組み合わせて使用したそうだ。2019年のNAMMショウで発表された 、12インチ・スピーカー2発のSD212Nに近い仕様だが、カバリングやパイピングなどが異なっており、カスタム・メイド品と思われる。


Marshall
JCM2550 & 1960A

Marshall
JCM 2550&1960A

希少なマーシャルの組み合わせ

マーシャル創立25周年を記念して1987年に発売された“2555 Silver Jubilee”をベースに、ブラック・カバリングとゴールド・パネルに変更して再発売されたのが、このJCM2550。キャビネットは4×12仕様の1960Aで、フレット・クロスがかなり褪色しており、ロゴ・プレートもマスキング・テープで補強されている。


1970’s Fender
Deluxe Reverb Head

Fender
DELUXE REVERB

銀パネのデラリバ・ヘッド

Deluxe Reverbのヘッドが販売されているのを見つけて購入したという本器。67年後期頃から導入された“シルバー・パネル(フェイス)”仕様や、フェンダー・ロゴの文字に下線が入っていないことから、78年頃までのものと思われる。String DriverやDr.Zなどのキャビネットと合わせて使用したそうだ。


Dr.Z
2×12 Black Cabinet

Dr.Z
2×12 Black Cabinet

キャビネット単体で活躍

12インチ・スピーカーを2発搭載したキャビネット。小川は同メーカーのヘッド・アンプ、Prescription RX ESも所有しているが、本作では使用しなかったそうだ。今回はBognerのDuendeと組み合わせてレコーディングしたようで、アルバムの「インタビュー」でそのサウンドを聴くことができる。

小川幸慈のインタビュー&ギア、尾崎世界観のライブ機材を掲載した
『ギター・マガジン2025年2月号』(1月10日発売)はこちら!

ギター・マガジン2025年2月号
表紙/特集

常田大希(King Gnu/MILLENNIUM PARADE
〜鬼才に宿るギタリストとしての遺伝子

2025年1月10日(金)発売

作品データ

『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』
クリープハイプ

『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』
クリープハイプ

ユニバーサル
UMCK-1786
2024年12月4日リリース

―Track List―

  1. ままごと
  2. 人と人と人と人
  3. 青梅
  4. 生レバ
  5. I
  6. インタビュー
  7. べつに有名人でもないのに
  8. 星にでも願ってろ
  9. dmrks
  10. 喉仏
  11. 本屋の
  12. センチメンタルママ
  13. もうおしまいだよさようなら
  14. あと5秒
  15. 天の声

―Guitarists―

尾崎世界観、小川幸慈