INABA/SALASのスティーヴィー・サラスが語る、ボーカリスト=稲葉浩志の偉大さ INABA/SALASのスティーヴィー・サラスが語る、ボーカリスト=稲葉浩志の偉大さ

INABA/SALASのスティーヴィー・サラスが語る、ボーカリスト=稲葉浩志の偉大さ

B’zの稲葉浩志とギタリストのスティーヴィー・サラスによるINABA/SALASが、3rdアルバム『ATOMIC CHIHUAHUA』を引っ提げた全国ツアーを敢行、各地で大きな反響を巻き起こした。ミック・ジャガーやスティーヴン・タイラーなど、数多くのスーパースターと共演してきたスティーヴィーに、ボーカリストとしての稲葉の魅力について語ってもらった。

取材/文=鈴木伸明

スティーヴィー・サラス

ロッド・スチュワートやミック・ジャガーなどと同じ感覚が、
(稲葉)浩志の歌からも伝わってくる。

これまでにロッド・スチュワートやミック・ジャガーを始め、数多くの偉大なボーカリストたちと共演してきたあなたですが、INABA/SALASでのボーカリストとしての稲葉浩志さんの魅力について改めて聞かせてもらえますか。

ロッド・スチュワートやミック・ジャガーのほかにも、スティーヴン・タイラー、テレンス・トレント・ダービー、シール、INXSのマイケル・ハッチェンスなど、たくさんの偉大なシンガーたちと一緒にプレイしてきたよ。彼らには共通した特徴があってね。それは、歌声が直接体に響いてくることだ。言葉で説明するのは難しいけど、歌のパワーが振動になってこちらの体に伝わってくるというかね。スピーカーを通してなくても、EQをかけてるわけでもなく、声がバンっと体に当たってくる感じがする。

そして、それと同じ感覚が浩志の歌からも伝わってくるんだ。浩志が歌っていると、声の振動が直接体に響いてくるんだ。オレも歌うことがあるけど、残念ながらそういう才能はないね(笑)。さっき名前をあげた素晴らしいボーカリストたちも、そして浩志も、共通してそういった歌の力を持っている。浩志は、世界的に見ても、紛れもなく特別な才能を持ったボーカリストだと思うよ。

ギタリストとして、共演するボーカリストの魅力を引き出すコツはあるのですか?

自分じゃわからないけど、何かあるのかな? ただ、キャリアの最初に出会った偉大なミュージシャンたち……ジョージ・クリントンにしても、ブーツィー・コリンズにしても、天才プロデューサーでもあるウォズ(ノット・ウォズ)のドン・ウォズにしても、オレが彼らから教わったのは、グルーヴの重要さだった。とにかくグルーヴが大事ってことを叩き込まれて、心の底からグルーヴを求めるようになったんだ。それにサミー・ヘイガーにもリズムの重要さを教えてもらったよ。“リズムだ、リズムだ!”って言われながらね。

ギタリストが誰かと一緒に演奏する時は、右手が重要だ。右手のリズム・ギターだよ。左手のテクニカルなことよりも、重要なのは右手で刻むリズムだ。偉大なシンガーと一緒にやる場合は、なおさらリズムを重要視することだね。良いグルーヴが出せれば自然に体が動いて、歌にも良い影響が出るはずだよ。

稲葉浩志

世界中を見渡しても、
稲葉浩志のようなボーカリストはいないよ。

最新作『ATOMIC CHIHUAHUA』から、稲葉さんのボーカリストとしての魅力が最も感じられる曲を教えてもらえますか?

1曲を選ぶのは難しいな……彼は常にチャレンジをしていて、色んな歌い方をするからね。例えば1stアルバム『CHUBBY GROOVE』(2017年)の「OVERDRIVE」では、まるでパンク・ロッカーのような激しい一面を見せているし、「AISHI-AISARE」で聴ける抑揚のついた表現力は完璧なものだ。

新しいアルバム『ATOMIC CHIHUAHUA』の「YOUNG STAR」でのエネルギッシュな勢いにはオズモンド・ブラザーズのようなポップ感があるし、「DRIFT」はまるでソウル・シンガーのような美しい深みがある。これまでなかったような曲のアイディアを投げかけてみると、どんな場合も想像以上に魅力を増した歌で返してきてくれる。

その昔、オレは『アメリカン・アイドル』というオーディション番組に関わっていて、歌の上手い人を何人も見てきた。若いのにマライア・キャリーそっくりに歌える人がたくさんいたよ。ただ、技術的に上手く歌えても、その歌に自分らしさがない場合が多い。浩志はどんな歌い方をしても、浩志だけの個性がそこにある。彼だけの歌の世界が確立されているんだ。世界中を見渡しても、彼のようなボーカリストはいないよ。

作品データ

ATOMIC CHIHUAHUA
INABA/SALAS

VERMILLION RECORDS
BMCV-8074
2025年2月26日リリース

―Track List―

  1. YOUNG STAR
  2. EVERYWHERE
  3. Burning Love
  4. DRIFT
  5. LIGHTNING
  6. ONLY HELLO part1
  7. ONLY HELLO part2

―Guitarist―

Stevie Salas

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