結成30周年を迎え、2025年2月に7枚目となる最新アルバム『viraha』をリリースしたBRAHMAN。本作に伴う全国ツアー、“BRAHMAN tour viraha”を3〜7月の4ヵ月にわたって敢行している。6月12日(木)に行なわれたZepp Hanedaにて、KOHKI(g)の使用機材を撮影することができた。本記事ではペダルボードを本人の解説と共にご紹介しよう。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=八島崇
KOHKI’s Pedalboard

『viraha』に合わせて導入したペダルに注目
【Pedal List】
①BOSS / FZ-1W(ファズ)
②BOSS / OC-5(ピッチ・シフター)
③One Control / Crocodile Tail Loop(プログラマブル・スイッチャー)
④One Control / Lemon Yellow Compressor(コンプレッサー)
⑤Ibanez × VEMURAM / TSV808(オーバードライブ)
⑥Xotic / EP Booster(ブースター)
⑦NUX / Mod Core Deluxe MKⅡ(マルチ・モジュレーション)
⑧Electro-Harmonix / Small Clone Mod.(コーラス)
⑨strymon / TIMELINE(ディレイ)
⑩DigiTech / HardWire RV-7(リバーブ)
⑪Providence / P-4E(ABボックス)
⑫BOSS / PS-2(ピッチ・シフター)
⑬UNION Tube & Transistor / More(ブースター)
⑭Handmade / Junction Box
⑮EX-pro / PS-1(パワー・サプライ)
⑯Noah’sark / AC/DC-1(パワー・サプライ)
⑰KORG / DTR-2000BL(チューナー)
ギターからの接続順は、まず①〜②を通って③Crocodile Tail LoopのINPUTへ。③Crocodile Tail Loopの各ループに接続されているペダルは下記のとおり。
・Loop 1=④Lemon Yellow Compressor
・Loop 2=⑤TSV808
・Loop 3=⑥EP Booster
・Loop 4=⑦Mod Core Deluxe MKⅡ
・Loop 5=⑧Small Clone
・Loop 6=⑨TIMELINE
・Loop 7=⑩RV-7
・Tuner Out=⑰DTR-2000BL
③Crocodile Tail LoopのOUT8からは⑪P-4Eにインプットされ、ここで信号がAとBの2つに分かれる。Aは⑫PS-2と⑭ジャンクション・ボックスを経由し、歪み用アンプのSoldano SLO-100へ。Bは⑬Moreと⑭ジャンクション・ボックスを経由し、クリーン用アンプのフェンダー’59 Bassman LTDへ。

つまり⑪P-4Eで歪み用/クリーン用のアンプを切り替えており、⑫PS-2はSLO-100のみに有効で、⑬Moreは’59 Bassman LTDのみに有効。⑬Moreはノブがゼロの位置で常にかけっぱなしにしており、クリーン・サウンドにハリとツヤを与えている。

⑰DTR-2000BLはSLO-100の上に置かれており、③Crocodile Tail Loopのチューナー・アウトから⑭ジャンクション・ボックスを経由して接続。

KOHKIは基本的にアンプのサウンドをメインにしているため、各エフェクトはそれを補う役割のものが多い。①FZ-1Wはギター・ソロや単音を弾く際、SLO-100のブースターとして使用。Modernモードに設定されており、音抜けを考えてTONEノブはMAX近くまで上げられている。この日は「賽の河原」のソロ、「charon」のソロ、「BASIS」のイントロ、「Slow Dance」のソロ、「Ace Of Spades」のソロ、「知らぬ存ぜぬ」のソロなどでオンにしていたのが確認できた。
②OC-5はPOLYモードにセッティング。RANGEノブが和音の最低音のみに効果がかかるLOWESTに、そして+OCT LEVELノブがゼロに設定されており、「Slow Dance」のソロ、「星の少年」と「最後の少年」のリフ、「笛吹かぬとも踊る」のソロなど、オクターブ下のみを出す際に使用している。逆に⑫PS-2はオクターブ上のみを出す用途という使い分け。しかしモーターヘッドのカバー曲「Ace Of Spades」のソロでは、なんと②OC-5と⑫PS-2の2台を同時に踏んで上下のオクターブを出してるとのこと。
⑫PS-2は長年使い続けているモデルで、BRAHMANに欠かせない1台となっている。KOHKIは、“これは自分の前のギタリストがピッチ・シフターを使っていたから、それを再現するために使い始めて、そのままになってる(笑)”とコメント。かなり古いモデルだが、逆に本機のピッチの不安定さが気に入っているという。モードは5番(+1oct)にセッティングし、「賽の河原」、「BEYOND THE MOUNTAIN」、「ICONOCLASM」のリフなどでオンに。

④Lemon Yellow Compressorはカッティングでまとまり感が欲しい時にオンにするが、使用頻度はあまり高くないそうだ。
⑤TSV808はSLO-100のブースターとして使用することもあれば、’59 Bassman LTDのクリーン・サウンド時にクランチの歪みとして使うこともあるという。特にクリーンでアルペジオを弾く際は“アンサンブルの中で抜けてくる”という理由からオンにすることが多いとのこと。
⑥EP BoosterはSLO-100のブースターとして使用しており、ブリッジ・ミュートで音圧が欲しい時などにオン。

⑦Mod Core DeluxeはU-VIBE CHOモードに設定し、「ANSWER FOR…」のイントロでモジュレーション効果を演出していた。

⑧Small Cloneはオンにすると音量が下がってしまう問題があったそうで、KOHKIの友人がモディファイを行ないVOLUMEノブとDEPTHノブを増設。しかしノブを上げると歪んでしまうため、どちらもゼロにセッティングされている。この日のライブでは「charon」と「SURVIVOR’S GUILT」で使用された。ちなみにこの2曲のレコーディングではBOSS / CE-1が活躍したという。本当はボードに入れたいそうだが、故障のリスクを考えると導入は難しいとのこと。

⑨TIMELINEはディレイ・タイム違いで2つのdTAPEモードのセッティングをプリセットしている。片方はショート、もう片方はミディアムで、「charon」のイントロ、「SURVIVOR’S GUILT」のソロ、「Slow Dance」のイントロ、「笛吹かぬとも踊る」のイントロ、「ANSWER FOR…」など、おもにクリーン・トーンでオンに。

⑩RV-7はReverseモードとSpringモードを楽曲によって切り替えて使用。この日は「WASTE」のラストで深いSpringリバーブをかけていた。
Interview
ファズを使ってみたら、
普通のブースターよりもエグみがあったというか。
KOHKIさんは長年Crocodile Tail Loop(③)を中心にしたシステムを使用しています。
でもスイッチャーはプログラムしてないんですよ。

ダイレクト・モードなんですね。
そう、ダイレクトで。だからもうスイッチャーをはずして直列にしようかなと思ってるんです。
ボードの右側に置かれたFZ-1W(①)とOC-5(②)は最近導入したものですよね?
そうです。ボードに入らないので横に置いています(笑)。ファズはブースターとして使っていて、完全に単音専用ですね。前はアンプがMesa/BoogieのTriple Rectifierだったんですけど、25年くらい使ってきたのでヘタってきたんですよ。なので今作(『viraha』/2025年)のレコーディングからSoldanoにしたんです。Soldanoはマーシャル系なので、ファズとの相性も良い気がするんですよね。

なるほど。
それでこのファズを使ってみたら、普通のブースターよりもエグみがあったというか。下も膨らむでしょう? ギターがTLタイプなのでローがないので、サステインが欲しいソロで踏んでいます。
OC-5はどのように使っていますか?
僕は昔からオクターブ上が出せるBOSSのPS-2(⑫)を使っているんですけど、オクターブ下も出したくて。PS-2でも出せるんですけどね。それでOC-5を試してみたら凄く良かったんです。新しいアルバムの曲でけっこう使うことが多くて。
昔の曲では変わらずPS-2を?
うん。昔の曲は1オクターブ上が出せるPS-2ですね。なんだけど、モーターヘッドのカバーの「Ace Of Spades」のソロでは両方オンにしていて(笑)。本当はダメなんだろうけど、変な感じになって面白いです。

TSV808(⑤)もSoldanoのゲイン・ブースターとして使っているんですか?
ブースター以外にもクリーンの時にクランチっぽい感じで使ったり、アルペジオでは踏みっぱなしにすることもあります。ギター1本で弾く時はオフにすることもあるんですけど、オケ中ではオンにしたほうがクリーンでも抜けてくるので。前は普通のTS808を使っていたんですよ。でもこっちのほうが下が出るので入れ替えました。

隣のEP Booster(⑥)は?
こっちはおもに歪みで使います。もう一押し欲しい時……ミュートでゴンゴンさせたいとか、音圧を上げたい時ですね。
Lemon Yellow Compressor(④)の使い方も教えて下さい。
コンプはあんまり使わないんですけど、たまにカッティングでまとまってほしい時に使いますね。
NUXのMod Core Deluxe(⑦)も最近導入したものですよね?
それまではMXRのPhase 90を入れていたんですけど、これを最近送ってもらったんです。Mod Core Deluxeにはエフェクトが色々入ってるでしょう? 僕、フット・スイッチでエフェクトを切り替えられると思ってたんですよ(笑)。でもできなかったのでSmall Clone(⑧)も入れていますね。

そうだったんですか(笑)。
Mod Core Deluxeを入れればSmall Cloneも減らせるなという魂胆だったんです。
Mod Core DeluxeはPhase 90の代わりとしてフェイザーとして使っているんですか?
フェイザーですね。でも今はUni-Vibe系のU-VIBE CHOモードにしてるのかな。
Small Cloneはご友人にモディファイしてもらったものだそうですね。
そう。これはずっと使っていたわけじゃなくて、新しいアルバムでコーラスを使う曲が2曲くらいあって久しぶりにボードに入れたかな。

TIMELINEはもう15年くらいボードに入っているでしょうか?
2011年くらいから使っています。実はこれ2機目なんですよ。今作のレコーディング中に1台目がぶっ壊れて買い替えました。dTAPEモードだけで使っていて、ちょっとモジュレーションを効かせています。で、ショートとミディアムくらいのディレイ・タイムを使い分けるという感じかな。

プリセットは2つのみなんですね。
厳密に言うと、「俤」っていう曲用にもう1つ強めのディレイをプリセットしているんですけど、普段は使わないので。
以前、RV-7(⑩)はReverseモードで使っていましたよね?
今はReverseと、その場で切り替えてSpringでも使っています。これけっこう好きなんですよね。アコギにも良いかもしれない。

More(⑬)は常時オンでクリーンの’59 Bassman LTDだけにかかるようになっているんですよね。
ツヤが出るんですよね。めっちゃ良い。この間wash?の(奥村)大ちゃんが1回これを使って、そのあと買ってました(笑)。“めっちゃ良いじゃん!”って。

Live Information
BRAHMAN 30th Anniversary 尽未来祭 2025
<日時>
2025年11月22日(土)・23日(日)・24日(月・祝)
幕張メッセ国際展示場9-11ホール
Open 10:30 / Start 12:00
<出演>
【11月22日(土)】
・BRAHMAN
・BACK DROP BOMB
・THA BLUE HERB
・EGO-WRAPPIN’
・黒夢
・LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS
・MONGOL800
・RHYMESTER
・Riddim Saunter
・SCAFULL KING
……secret
【11月23日(日)】
・BRAHMAN
・ACIDMAN
・The Birthday(クハラカズユキ、ヒライハルキ、フジイケンジ)
・G-FREAK FACTORY
・HEY-SMITH
・MAN WITH A MISSION
・マキシマム ザ ホルモン
・ORANGE RANGE
・SiM
・10-FEET
【11月24日(月・祝)】
・BRAHMAN
・ASIAN KUNG-FU GENERATION
・BUCK∞TICK
・DIR EN GREY
・Dragon Ash
・ELLEGARDEN
・GEZAN
・LUNA SEA
・SUPER BEAVER
・04 Limited Sazabys
<チケット>
・3日通し券/スタンディング……¥29,700
・3日通し券/サイド指定席……¥38,330(※スタンディング・エリア両サイドの指定席エリア/スタンディング・エリアの利用可能)
・各日1日券/スタンディング……¥13,330
※小学生以下保護者同伴に限り入場無料、ただし座席が必要な場合は要チケット
・イープラス https://eplus.jp/sf/word/0000169902
<お問い合わせ>
公演HP https://jinmiraisai.com/
