第17回:ピッチ・シフターってどんなエフェクター?|ギター・エフェクターの基礎知識100 第17回:ピッチ・シフターってどんなエフェクター?|ギター・エフェクターの基礎知識100

第17回:ピッチ・シフターってどんなエフェクター?|ギター・エフェクターの基礎知識100

ギター初心者におくる、ギター・エフェクターの基礎知識100連発! 意外と知らない、今さら聞けない、そんな時のペダル辞典としてもご活用あれ!

文=今西勇仁(Limetone Audio)

第17回:ピッチ・シフターってどんなエフェクター?

ピッチ・シフターはピッチ(音程)をシフト(変更・移調)するというエフェクターです。カラオケでキーを上げたり下げたりする楽器版という感じですね。

ピッチを変更するパラメーターが付いていて、±0からスタートし、+1にすると例えば手元ではドを弾いているのに出てくる音はド♯に、+2にすると出てくる音はレになります。ピアノの鍵盤をイメージしてもらうとわかりやすいですが、白鍵黒鍵問わず1つずつ上がったり下がったりするイメージです。+12で1オクターブ上、-12で1オクターブ下、-24だと2オクターブ下になります。

“でもそれってどういう時に使うの?”という疑問が出るかと思いますが、一番実用的なのは楽器の”仮想的なチューニング変更”です。例えば1曲だけ半音下げチューニングの曲がある場合、その曲用にマルチ・エフェクターでピッチ・シフトをピッチ-1にした音を用意しておくと、そのパッチを選択するだけで一瞬でチューニングが半音下がります。“カポを3フレットで演奏する予定だったけどカポを忘れた!”という場合は、ピッチ・シフターで+3に設定すれば解決です! この場合、原音の音量を設定するパラメータは0にしておきましょう。

ただ、ピッチ・シフターも万能ではありません。デジタル処理で音の波形を強制的に書き換えているので、もとの音から音質が少し変わってしまいます(劣化度合いは製品によります)。ピッチの変更幅が大きければ大きいほど、不自然さが増します。中には、ほとんど音質を変えることなくシフト可能という製品も出てきていますが、あくまでサポート・ツールとして割り切って使う場面が多くなるかもしれません。

部屋で練習する時はヘッドホン使用推奨です(生音と両方聴こえると気持ち悪いため)!

Electro-Harmonix / Micro POG
Electro-Harmonix / Micro POG
DigiTech / Drop

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Pitch Shifter

著者プロフィール

今西勇仁

今西勇仁(いまにし・ゆうじん)

ギタリスト/サウンド・エンジニア。エフェクター・ブランド、Limetone Audioのサウンド・デザイナー。 “サンレコ・ミックス・ダウン・コンテスト2006”に入賞し、その後多くのミュージシャンの楽曲のミックスを手がける。また、自身もギタリストとして、アーティストのサポート活動や、レコーディングに参加。並行してプロミュージシャン向けの機材の開発、モディファイを行なう。 2017年に開催された、“第4回エフェクタービルダーズ・コンテスト”(主催:TOKYO EFFECTOR)での優勝を機にLimetone Audioを設立。プレイヤー目線での商品開発、設計を行ない、現在多くのプロの現場で使用されている。各種製品は全国の楽器店で販売中。 2020年よりYouTubeチャンネルをスタート。メーカーの枠にとらわれずに、エフェクターや機材の楽しみ方を皆さまにお伝えします。