2025年8月23日(土)に横浜スタジアムで開催された“TUBE LIVE AROUND SPECIAL 2025 TUBE × 40SUMMERS”。本公演でギタリストの春畑道哉が用意したギターを、本人の解説と共にご紹介しよう。
取材・文=小林弘昂 機材撮影=星野俊
Haruhata’s Guitars
2021 Fender
American Ultra Luxe Telecaster
新たなメインはテレキャスター
今回の“TUBE LIVE AROUND SPECIAL 2025 TUBE × 40SUMMERS”でメインで使用されたギターは、2021年製のAmerican Ultra Luxeテレキャスター。2025年に入ってからテレキャスターにハマりだし、トランスペアレント・サーフ・グリーンのカラーに惹かれて今年の6月頃に入手したもの。
American Ultra Luxeシリーズは2021年にラインナップされたモデル。本器のボディはアッシュ、ネックはメイプル、指板は22フレットのローズウッドという仕様。ステンレス・フレット、テーパード・ネック・ヒール、コンパウンド・ラジアス指板といったモダンなスペックが採用され、快適な演奏性を実現している。
春畑はテレキャスターのダイレクト感、チョーキングをしてもピッチが狂わないところが気に入っているとのこと。ピックアップはフレーズによってすべてのポジションを使い分けている。
Fender Custom Shop MBS
Michiya Haruhata Ⅲ Stratocaster Trans Pink
by Jason Smith
ハードな楽曲にハマるシグネチャー・ストラト
通算3作目となる春畑のシグネチャー・モデルで、マスタービルダーのジェイソン・スミスが製作を担当。2011年に完全受注生産で市販化もされた。
ボディはアッシュで、トップにフレイム・メイプルが貼られている。22フレット仕様のネックはサテン仕上げの1Pメイプルで、25.5インチ・スケールの“Michiya Haruhata Soft V”というシェイプを採用。アーミングを頻繁に行なうため、ロック・ナットとフロイド・ローズが搭載されている。
ピックアップはボディにダイレクト・マウントされており、DiMarzioのAir Norton(フロント)、アビゲイル・イバラによるハウンド・ワウンドのTexas Special(センター)、DiMarzioのFred(リア)という構成だ。
ハードなリフを奏でる際に手に取ることが多く、今回の“TUBE LIVE AROUND SPECIAL 2025 TUBE × 40SUMMERS”では春畑のソロ・コーナーと聖飢魔Ⅱとの「No Shark No Surf – 夏地獄 -」で使用された。
2020 K.Yairi
LO-120C Ltd.
オリジナル・シェイプの万能モデル
アコースティック・ギターはK.YairiのLO-120C Ltd.を使用。LOとはドレッドノートをサイズ・ダウンさせたK.Yairiのオリジナル・シェイプで、バランスの取れたサウンドが特徴。ボディ・トップはソリッド・スプルース、サイドとバックはソリッド・インディアン・ローズウッド、ネックはマホガニー、指板はエボニーという材構成だ。
本器は2020年製のリミテッド・モデルとなっており、木製ピックガードやGOTOH 510ペグなど、通常のLO-120とは違ったスペシャルなスペックが採用されている。
2024 Fender
American Ultra Ⅱ Telecaster
テレキャスターにハマって入手した1本
ここからはサブとして用意されていたギターをご紹介。まずはテキサスティー・カラーが映える、2024年製のAmerican Ultra Ⅱテレキャスター。これは今年の4月に入手したもので、春畑は本器を気に入っており、取材を行なった日のリハーサルではこちらをメインで使用していた。斜めに搭載されたピックアップ・セレクターがお気に入りとのこと。
2016 Fender
American Elite Stratocaster
ハムバッカーをマウントしたアーミング・ギター
アーミングを行なう楽曲で手に取るという、American Eliteシリーズのストラトキャスター。今回の“TUBE LIVE AROUND SPECIAL 2025 TUBE × 40SUMMERS”では使用されなかったが、現在開催中のホール・ツアー(“40th Anniversary Live TUBE LIVE AROUND 2025-2026”)では活躍している。
リハ・ピックアップはEVHのFrankenstein Humbuckerに交換されている。
Fender Custom Shop
Stratocaster
独特のスペックを持つカスタムショップ製
ネック・プレートにシリアル・ナンバー“CN93774”が刻印された、90年代に製造されたと思われるカスタムショップのストラトキャスター。22フレット・ネック、ロック・ペグ、2点支持ブリッジ、アノダイズド・ピックガードという独特なスペックの1本だ。
2021 K.Yairi
CE-3
プレイアビリティに優れたエレガット
こちらも現在開催中のホール・ツアーで使用されているという、K.Yairiのガット・ギター。Jose Ramirezの2CWEと入れ替わる形でラインナップに加わった。アコースティック・ギターのLO-120C Ltd.と同じく、ピックアップはL.R.BaggsのElement VTCが搭載されている。
薄いボディが特徴で、ボディ・トップはソリッド・スプルース、サイドとバックはローズウッド、ネックはマホガニー、指板はエボニーを採用。
Interview
テレキャスはアコギみたいに
ジャカジャカ弾けるのが良いですね。
横浜スタジアムのライブでのメイン・ギターは?
サーフ・グリーンのテレキャスターなんです。今年からテレキャスにハマり出しちゃって。今まで何本か持ってたんだけど、そこまで好きじゃなかったんですね(笑)。でも今やすっかりテレキャスが好きになってしまいました。
このテレキャスターはいつ手に入れたんですか?
今年の6月くらいです。テキサスティーのテレキャスターも4月くらいに手に入れました。これも凄く良くて、もっと使いたいんですよね。今日のリハはこっちでやってみようかな。テキサスティーのテレキャスの良いところは、ピックアップ・セレクターが斜めになってるところ(笑)。
テレキャスはアコギみたいにジャカジャカ弾けるのが良いですね。ダイレクト感があるし、チョーキングをしてもピッチが狂わない。フローティングしたアームだと、フレーズによっては1、2弦のピッチが下がっちゃうじゃないですか。その不安定さがないのが気持ちいいです。
テレキャスターのピックアップはどのポジションを使っていますか?
全部使います。ミックス・ポジションも最高ですよね。
今回、春畑さんモデルの赤いストラトの出番は?
春畑モデルは自分のソロと、聖飢魔Ⅱとのコラボで使います。
残りの2本のストラトはサブですか?
ホール・ツアーでは使ってるんですけど、ハマスタではサブですね。野外のライブで激しい雨が降った時、雨用と言ったらかわいそうすぎるけど、そういうギターも1本あります。多少の雨なら予想がつくんだけど、最近の雨は想像がつかないんですよね。途中で音が出なくなっちゃったら元も子もないので。
K.Yairiのガット・ギターは使いますか?
ハマスタの内容ではガット・ギターを使用するシーンがなく、今回はアコギだけですね。ガット・ギターはホール・ツアーのほうで使用しています。


















