ZOOM/R4 MultiTrak〜ギタリストに贈るオーディオ・インターフェース13選 ZOOM/R4 MultiTrak〜ギタリストに贈るオーディオ・インターフェース13選

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ZOOM/R4 MultiTrak〜ギタリストに贈るオーディオ・インターフェース13選

青木征洋/Godspeedによるギタリストのためのオーディオ・インターフェースのレビュー。このページではこれまで紹介してきたオーディオ・インターフェースとは異なり、PC不要で録音が可能な手のひらサイズのマルチトラック・レコーダー、ZOOM/R4 MultiTrakを紹介!

解説&試奏=青木征洋/Godspeed 撮影=星野俊
*本記事は、ギター・マガジ2025年11月号に掲載した「来たれ宅録入門者! ギタリストのためのオーディオ・インターフェース・マニュアル」の一部を抜粋し、再構成したものです。

ZOOM
R4 MultiTrak

小型かつ軽量で素早く録音できる
手のひらサイズのマルチ・トラック・レコーダー

ZOOM/R4 MultiTrak
左側面
右側面
端子

AOKI’s IMPRESSION

青木征洋

ふとアイディアが湧いてきた時にそれを完成形に近い形でつかまえられる。

ZOOMは1983年に設立された日本の老舗エフェクター・メーカーです。初心者のギタリストやベーシスト向けにリーズナブルなエフェクターを作ってきたブランドということで、大変お世話になった方も多いのではないでしょうか? 私が初めて買ったマルチ・エフェクターもZOOMのGFX-707でした。

ZOOMは20年以上前から手のひらサイズのマルチ・トラック・レコーダーも作り始めていて、ここでご紹介するR4 MultiTrakもそんなレコーダーのモデルの1つです。

ZOOM R4の特徴

R4が持っている大きな特徴に、32bit floatで録音できるという点があります。文字通り整数ではなく浮動小数点で録音ができるのですが、これにより絶対にクリップしない録音が可能になるうえに、録音時にゲインの調整をする必要がなくなります。普通のレコーダーやオーディオ・インターフェースに慣れた人であれば奇妙に感じられるかもしれません。

中身を紐解くと、高感度なADコンバーターと低感度なADコンバーターの2つが入っており、入力信号の大きさに応じてこれらを上手く使い分けることで、常識の範囲内の大きさの信号が入ってくる限りクリップさせずにちょうど良い解像度で録音することができるのだとか。要するに、安全で設定が難しくないレコーダーとご理解ください。

オーディオ・インターフェースとして認識させることも可能ですが、あくまでレコーダーとして使うものなので、一般的なオーディオ・インターフェースに必ずついているライン・アウト端子は付いておらず、ヘッドフォン端子も省スペースなステレオ・ミニ・プラグが採用されています。

豊富な内蔵エフェクト

R4にはエフェクトが内蔵されているのですが、リバーブやディレイといったエフェクトに加えてマイク・プリアンプのエミュレーションといったちょっと音をいい感じにする系のものや、ギター・アンプ、ベース・アンプのシミュレーターが含まれており、かけ録りできるようになっています。

ギター・アンプはG2 FOUR譲りのマルチ・レイヤーIRというZOOMの独自技術が実装されたアンプ・モデルで、私も開発に協力させていただいていて、実際に私のマイクをZOOMのスタジオに持参してIR収録を行ないました。

従来のIRではスピーカー・ユニット、キャビネットの持つダイナミックな特性をとらえることができなかったのですが、低音量、中音量、大音量でスピーカーを駆動させた時のIRを個別に収録しリアルタイムに切り替えることで本来のスピーカーの挙動に近づけたのがマルチ・レイヤーIRです。出音もそうなのですが、弾き手のフィールに大きな変化があります。

手前味噌ですがけっこう良い音すると思うのでぜひ試してみて下さい。個人的にはFD DELUXE-RとMS800、XTACY BLUEあたりがオススメです。

肝心の音質面

さて肝心の音質面ですが、マイク・プリアンプのエミュレーションがあるのが面白くて、ここでNeve風、SSL風のキャラクターを足すことができます。エレキのライン録音にはあまり関係がないかもしれませんが、アコースティック・ギターやボーカルを録音する時にちょっとした気持ちのアガる要素として、音をちょっとふくよかにしたりソリッドにしたりと役立てていただけそうです。

抜群の携帯性

持ち歩いて使えるように単三電池4本で駆動するほか、USB-C端子から給電することもできるようになっています。ちなみに電源のON/OFFボタンもついています。

DAWを始めとするソフトウェア類は付属しませんが、R4自体が好きなだけオーバー・ダビングできる4トラックのマルチ・トラック・レコーダーなので、出先でちょっとしたアイディアを録りたい時にはパッと使えて便利かもしれません。ちょっと高性能なボイスメモのようなイメージですね。

外出中やスタジオでふとアイディアが湧いてきた時に、それを逃さずより完成に近い形でつかまえるのに向いていそうです。内蔵マイクで録音できるので、例えばUSBマイクのように配信やビデオ通話の際のマイクとして使うことができますね。

ディスプレイ
入力が2系統ありますが、それらをPC/Macに取り込む際にInput 1と2をハードL、Rにパンニングするかモノにダウン・ミックスしていずれもセンターに定位させるかを選ぶことができます。これは特に配信をする際に“声が左からしか聞こえない!”といったトラブルを防ぐために便利な機能です。
マルチトラック・レコーダーとして使う場合は、ほかのオーディオ・インターフェースとは違ってPCやスマホを使わずにR4だけで録音できます。アイディアが湧いたその瞬間に素早く録音を行なえますね。
ZOOM/R4 MultiTrak

ZOOM
R4 MultiTrak

【スペック】
●アナログ入力:マイク/ライン/楽器(Hi-Z)入力×2(XLR/TRSフォーン・コンボ)
●内蔵マイク:無指向性マイク
●ヘッドフォン出力:ステレオ・ミニ
●接続: USB-C
●ビット/サンプリング・レート:32ビット・フロート/48kHz
●外形寸法:74(W)×36(H)×138(D)mm
●重量:287g

【動作環境】
●Mac: macOS11以降
●Windows: Windows 10以降
●Smartphone: iOS/iPadOS 15以降、Android 11以降

【ZOOM STORE販売価格】
24,900円(税込)

【問い合わせ】
ズーム カスタマーサポートセンター TEL:0570-078206 https://www.zoom.co.jp/ja