日本製フェンダーの人気シリーズがHybrid “Ⅱ” としてリニューアルした。ビンテージなルックスとモダンなスペックを共存させたラインナップは、コスト・パフォーマンスも抜群! ギタマガWEBでは各モデルをプロ・ギタリストに試奏してもらい、その実力に迫っていく。まず第一弾として、近年急激に市民権を得てきたジャズマスターを、ジャガーやテレキャスターを愛用する夜の本気ダンスの米田貴紀にチェックしてもらった。
取材/文=井戸沼尚也 撮影=小原啓樹
フェンダーのMade in Japan Hybrid Ⅱ Jazzmasterは、ビンテージのDNAを継承したルックスと、モダンなスペックを組み合わせた、文字どおり“ハイブリッド”なモデル。定評のあるアルダー・ボディに、新設計のピックアップ、ビンテージ・ロッキング・チューナー、9.5インチRの指板(本器のようにメイプル指板のモデルもラインナップ)などのモダンスぺックを搭載し、コントロールもよりシンプルに見直されている。
本器を試奏するのは、夜の本気ダンスのフロントマンであり、テレキャスターのリア・ピックアップを武器にエッジの効いたコード・ワークを聴かせる米田貴紀! 近年はジョニー・マー・ジャガーも使う彼の目に、同じくオフセット・ボディでムスタング・タイプのブリッジを搭載したこのニュー・モデルはどう映るのか!?
ジャズマスターという楽器のイメージは?
米田さんはテレキャスターやジャガーを愛用していますが、ジャズマスターにはどのような印象を持っていますか?
イメージとしては、僕が大好きなNUMBER GIRLやUSインディーなどの印象が強くて、ここ数年は特にジャズマスターを使う人が増えていると感じています。それ以前はテレキャスターが多かった気がするんですが、ギターにもトレンドがあるのかなと思いますし、ジャズマスターは今の時代に適した音なんだなっていう印象ですね。これだけ愛されているのは、ジャズマスターの独特の音がバンドで合わせた時にちょうどいい帯域にあるのも理由の1つだと思います。
これまでに、ジャズマスターを弾く機会はありましたか?
はい。ただ、ちょっと自分には似合わないのかなという思い込みもあって、実際にジャズマスターを弾いたのはわりと最近ですね。レコーディングでビンテージのジャズマスターをお借りして弾いたんですが、素晴らしい音でした。
今日、実際にこのモデルを弾いてみて、第一印象はどうでしたか?
僕が普段使っているテレキャスターに比べると、太く、少しだけ良い感じにマッチョな感じがします。すごくいいですね!
サウンドの印象は?
このMade in Japan Hybrid Ⅱ Jazzmasterの音について、もう少し詳しく聞かせて下さい。
まず、高域が抜けるんですけど、耳に痛くないですね。あと、僕は普段はテレキャスターのジャキッとした音でリズムを立てるように弾くので、例えば急にハムバッカーを搭載したギターを持つと、勝手がわからなくなるんです。でも、このジャズマスターなら自分の演奏にスッと入っていけますね。ハムバッカーとシングルコイルのいいとこ取りというか、アンサンブルの中で抜けてきそうないいところが出ている感じがします。普段ハムバッカーを使っている人にとっても扱いやすいと思いますし、シングル、ハムの双方から歩み寄っていけるギターだなという印象です。
以前に弾かれたビンテージのジャズマスターと比較すると、どうでしょう?
ビンテージのジャズマスターはもちろん良い音でしたが、僕はパワフルではっきりした音が好みなので、ビンテージとこのモデルの両方を聴き比べて、こちらを選ぶこともあり得るなと感じました。そのくらい、これはいい音をしていますね。
ピックアップは、どのポジションが好みでしたか?
センターポジションが一番好きです。このギターの一番かっこいい音を出そうとすると、そこに誘われる感じがあります。80年代、90年代のUSインディー的な香りもしますし、すごくいいですね。
エフェクターのノリはいかがですか?
いいですよ。けっこうパワフルに歪みますね。でも、エフェクターではあまり歪ませ過ぎずにクランチ程度にしておいて、ピックアップをセンター・ポジションにして弾きたい気持ちになります。僕が多用するショート・ディレイを掛けていつものプレイをしても、テレキャスターとは違う味わいの良い変化が感じられました。冒頭に、最近はジャズマスターを使う人が多いという話をしましたが、やっぱりジャズマスターは時代のサウンドというか、“イマ”を表現するのに適したサウンドだなって感じましたね。
どういったプレイヤーにオススメ?
サウンド以外の部分で気に入ったポイントは?
ネックですね。ネックの握りが、手にパッとフィットしました。これは僕が重視している部分で、弾きづらいギターはいくら良い音でも手に取らなくなってしまうんですよ。これなら初心者の方でも握りやすい設計になっていると思います。それとネックの裏がサラサラで、かなり気持ちいいですね。
あとは見た目です。ギターを弾いたり曲を作ったりする原動力になりますから、見た目は非常に大事ですよね。これは杢目のボディとメイプル指板のちょっと大人の雰囲気ですが、実は若い方が持ってもかっこよくなれる間口の広さを感じます。
このギターは、どのような人にオススメですか?
僕のようなギター・ボーカルにもオススメしたいですし、リード・ギターの方が持っていてもいいと思います。僕自身、将来的にジャズマスターを持ってステージに立つことも考えたいなと思えるくらい、音、弾きやすさ、かっこよさを兼ね備えたギターですね。
米田貴紀
よねだ・たかのり◎1990年、京都府出身。京都を拠点に活動する、夜の本気ダンスのボーカル&ギターとして2014年にデビュー。最新作『PHYSICAL』が好評発売中。