ichiroのデビュー35周年記念ライブをレポート! 極上のブルース・ロックが鳴り響いた熱狂の一夜 ichiroのデビュー35周年記念ライブをレポート! 極上のブルース・ロックが鳴り響いた熱狂の一夜

ichiroのデビュー35周年記念ライブをレポート! 極上のブルース・ロックが鳴り響いた熱狂の一夜

矢沢永吉や長渕剛らレジェンドが絶大な信頼を寄せるギタリストのichiroが、2026年にデビュー35周年を迎えた。そんな節目にリリースされたミニ・アルバム『Burning Souls』を引っ提げ、一夜限りのスペシャルなバンド編成でアニバーサリー・ライブを敢行。管楽器も擁する豪華なバック・バンドと共に貫禄のブルース・ロックを聴かせた、熱狂の一夜をレポートしよう。

文=細川真平 写真=Hiroki Nishioka

“No.1”ストラトキャスターが奏でる極上のトーン

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ichiroが“No.1”と呼ぶ、複数のビンテージ個体のパーツを組み合わせたストラトキャスター。

日本を代表するブルース・ロック・ギタリスト、ichiroのデビュー35周年を記念して、2026年8月6日、東京・Robin Club 表参道にて、「ichiro 35th Anniversary “Burning Souls”」が開催された。

チケット販売開始後、早々にソールド・アウトとなった本公演でバックを務めたのは、斉藤ユウキ(b)、河村“カースケ”智康(d)、竹越カズユキ(k)、YOKAN(tp)、IKKEI(sax)、SASUKE(tb)という充実のメンバー。中でも、我が国トップ・クラスの名セッション・ドラマーである河村と、幅広いジャンルで大活躍しているトランぺッター、YOKANの参加が、このライブをより彩りのあるものにしてくれた。

1曲目は、リリースされたばかりの35周年記念ミニ・アルバムのタイトル・ナンバー、「Burning Souls」。ブルース・ロックを土台にしながら、卓抜した歌メロディを持ち、ラテンな味つけが効果的で、かつギター・プレイの情感とホーン・セクションによるゴージャスさを奇跡的に両立させた、まさに今のichiroを象徴する1曲だ。“No.1”と彼が呼ぶストラトキャスター(1963年製ボディ/61年製ネック/60年製ピックアップ)のトーンの極上ぶりも、客席がどよめくほどだった。

アコースティック・アルバム『Life Time』(2013年)に収録された「My Reflection」のエレクトリック・バージョンを軽快に届けたあとには、“デビューして35年、この世界でこんなに踏ん張れるとは思っていませんでした”と語り、これまで支えてくれた人たちやファンへの感謝を込めて「6月の詩」を。『Circle Scale』(2011年)に収録された、ichiroのシンガー・ソングライターとしての才能が輝くナンバーだ。

『Circle Scale』からはさらに「The Other Way」(ここではG&L ASAT Classicでのスライド・プレイが見事だった)、『Raw Vintage』(2012年)から「Wish」のあとは、1991年のデビュー・アルバム『My Soul』から「Fortune Blues」を。オリジナルはドブロで弾き語ったデルタ・スタイルのブルース・ナンバーだったが、ここでは『Burning Souls』に収録されたエレクトリックでのリアレンジ・バージョンが披露された。両バージョンを聴き比べると、ichiroというアーティストの根幹と進化形が如実に理解できるのだが、ここではその進化系のエッセンスがさらに強調された印象だった。

人気曲を“今”のスタイルで再解釈

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ギブソン・カスタムのMurphy Lab 1964 SG Standard Reissueではスライド・プレイも披露。

「I Was Born」は『Lonestar』(2018年)の収録曲で、亡くなった父親への思いを歌った曲。こうした人としての情の部分を、詞と曲の両面から見事に表現できるところがichiroだし、しかもそれを泣きのギター・プレイで自ら盛り立ててしまうところも彼ならではだ。続いて、インストゥルメンタル・バラードの「Ray’s Day」(『Circle Scale』より)。ichiroのギター・プレイの表現力の大きさを感じさせるナンバーだ。そしてここからは、若手ギタリストのRayをゲストに迎えて、ジミ・ヘンドリックスの「Purple Haze」、「Gangster At Midnight」(1993年『HANDS OF TIME』より)、「Life Time 」(『Life Time』より)で息の合った共演ぶりを見せてくれた。今後が楽しみなRayの目覚ましいテクニックと、それ以上に魂のこもったプレイぶりに客席は大きく沸く。

次の「Sunny」は『Burning Souls』に収録された、ichiroの新境地とも言える日本語詞ソウル・バラードの傑作。響き渡るホーンとギブソン・カスタム Murphy Lab 1964 SG Standard Reissueによるスライド・プレイの融合ぶりも素晴らしかった。「Chain Of Blues」(『Lonestar』より)は、彼が全国で行なっているブルース・ロック啓蒙活動的なライブ・シリーズのテーマ曲。観客の手拍子とともに、ブルース・ロック魂が燃え立つような熱演となった。

ファンから人気の高い名バラード「Tenderness」(『Raw Vintage』より)は、ホーン・セクションの参加によってサザン・ソウルのテイストが加わり、より深みが増した内容に。そして本編ラストは再びRayが入って「Colors Of Delight」( 『Burning Souls』より)を。アップテンポで、未来に向かっていく意志や希望を感じさせるこの曲は、まだまだ続いていくichiroのキャリアにおけるひとつのマイルストーンとしてのこの35周年記念ライブに、非常にふさわしいものだった。

アンコールでは、「Come And Love Me」(『Circle Scale』より)をしっとりと、しかし力強く聴かせたあと、最後にまたRayが参加して「Goes On」(『Raw Vintage』より)を。「Goes On」は、自分の生き方を雄々しく宣言したかのようなichiroのシグネチャー・ソングであり、それをこの35周年記念ライブで聴くと、その意味はさらに、はるかに大きく感じられた。

ichiroとメンバーがステージを降りていくのを目にしながら思ったのは、このライブには35周年記念ならでは特別感があり、仲間との絆や家族への思いが存分に感じられながらも、情に訴えかけるだけではなく、メンバーそれぞれのセンスも技量も超一流で、音楽的にも音色的にも最高のものを作り上げて、我々を楽しませてくれたということ。その上で、ichiroが愛しつづけ、こだわりつづけ、追求しつづけるブルース・ロックの魅力もまた、たっぷりと感じることができた。つまり、どこをどう切り取ってもichiroらしいライブだったと言うのが、一番正しいかもしれない。

Set List

  • Burning Souls
  • My Reflection
  • 6月の詩
  • The Other Way
  • Wish
  • Fortune Blues
  • I Was Born
  • Ray’s Day (Instrumental)
  • Purple Haze (w/Ray)
  • Gangster At Midnight (w/Ray)
  • Life Time (w/Ray)
  • Sunny
  • Chain Of Blues
  • Tenderness
  • Colors Of Delight (w/Ray)

アンコール

  • Come And Love Me
  • Goes On (w/Ray)

ギター・マガジン2026年9月号
『教養としてのテレキャス学』

ギター・マガジン2026年9月号では最新ミニ・アルバム『Burning Souls』について語ったichiroのインタビューに加え、レコーディングに使用したギター&アンプ、最新ペダルボードも掲載!

作品データ

ichiro『Burning Souls』

『Burning Souls』
ichiro

CP/CPMR-350725/2026年7月25日リリース

―Track List―

  1. Burning Souls
  2. One Way Ticket
  3. Sunny
  4. Fortune Blues
  5. Colors of Delight

―Guitarist―

ichiro