Interview|ケニー・ウェイン・シェパードがギターに求めたこと。 Interview|ケニー・ウェイン・シェパードがギターに求めたこと。

Interview|ケニー・ウェイン・シェパードがギターに求めたこと。

1961年製フェンダー・ストラトキャスターが自身のトレードマークとなっているケニー・ウェイン・シェパード。彼のシグネチャー・モデルは、61年製モチーフの1本や十字架のペイントがあしらわれたもの、レーシング・ストライプが入ったブラック・フィニッシュなど、いずれもストラトキャスターだった。今回新たに発表された1本もその点は同様だが、マッチング・ヘッド仕様でバインディング付きのネック、パーロイドのピックガード&ブロック・インレイなど、これまでにない豪華な仕様に仕上がっている。今回はそんな最新シグネチャー・モデルと近況について話を聞いた。

質問作成=福崎敬太 翻訳=トミー・モリー 協力=フェンダーミュージック


時代を超越するものにさせたかったんだ。

現在はCOVID-19の感染拡大で世界中が大変な状況になっていますが、あなたはYouTubeに「While We Cry」の“Lock Down Version”をアップしていましたね。元気付けられたファンも多いと思いますが、この動画はどのような経緯で制作したのですか?

 僕らのショウがすべて延期になってしまったので、ファンのために何か新しいことをやりたかったんだ。それに僕のバンドのメンバーはみんな遠い場所に離れて住んでいるから、僕ひとりでやることにしたんだよ。“Lock Down”のビデオを実は僕は2本作っていて、「While We Cry」だけじゃなくて「I Want You」もあるからそっちも観てほしいね。

国内の音楽シーンの現況と、あなたの自宅での過ごし方を聞かせてもらえますか?

 現在はシーンと呼べるようなものはもはやないというべきだろうね。僕のショウは全部キャンセルか延期になったし、それはほぼすべてのアーティストにもいえることだ。でも、妻と子供たちと一緒に過ごせる時間がたっぷりもらえたことはグレイトなことだね!

ケニー・ウェイン・シェパード・ストラトキャスター

このたびあなたの新しいシグネチャー・モデルが誕生しました。まず、印象的なのはそのルックスで、Transparent Faded Sonic Blueのフィニッシュやマッチング・ヘッド、ブロック・インレイや指板のバインディングが不思議な魅力を出しています。今回のデザインのテーマを教えて下さい。

 コンセプトはプレミアムなスタイルのギターを提供することにあり、ルックスもギターのプレミアムなクオリティと作りの良さにマッチしたものにさせたかった。ストラトキャスターに長年使われてきた要素を取り入れつつも、新たなスペックを組み合わせることによってフレッシュでありながらも時代を超越するものにさせたかったんだ。

私は今年のThe NAMM Showでフェンダーが開催したイベント=JAMMJAMも観に行きました。その時にあなたが使っていたストラトもブロック・インレイで気になっていたのですが、あれは今回新登場したシグネチャー・モデルでしょうか?

 そのとおり! フェンダーからあのステージへの参加のオファーがあり、あの場が初お披露目の場となったんだ。

実際に音を聴いた印象としては、ビンテージらしい荒々しさもありつつ、とてもファットなサウンドに感じました。全体的にはどういった音を目指したのでしょう?

 ナイスでファットなサウンドでありつつも、幅広いダイナミックレンジを持ったものにさせたかった。こうすることでさまざまなスタイルの音楽にマッチするものとなったんだ。

チェンバード構造のアッシュ・ボディを選択していますが、これによる弾き心地やサウンドのインプレッションを教えて下さい。

 このギターは信じられないくらいに軽量で、とても鳴るんだ。楽器のサウンドとプレイアビリティというふたつの観点でも、この仕様はとても大切だね。

ネックのシェイプはEarly 60s “C”ということですが、これはどのような握り心地なのでしょうか?

 ネックは手の中でとっても心地良いものとなっている。手が大きい人から小さい人まで、すべての人にとって快適なものとなっている。

カスタム・ボイシングされた3つのピックアップには、どのようなサウンドを求めたのですか?

 プレイヤーに対してとてもレスポンスの良いものにさせたかったし、それでいてダーティとまではいかなくともアグレッシブなものにさせたかった。このギターに搭載したピックアップはストラトキャスターのクラシックなサウンドと、モダンなブルースやロックをプレイするうえで必要なダイナミック・レンジをもたらしてくれるよ。

普段、ピックアップの切り替えはどのようにしていますか?

 頭の中で聴こえているサウンドや、ギターから得たいと願うレスポンスに応じて切り替えを行っている。ひとつのギター・ソロの中でも、ピックアップの切替を行なうことで狙ったフレーズを前に押し出したりすることができるんだ。

この新しいシグネチャー・モデルをどのようなギタリストに弾いてもらいたいですか?

 さまざまなジャンルのあらゆるギタリストたちに、このギターをプレイしてもらいたいよ! このギターは本当に多彩なサウンドを作り出すことができるんだ。

ストラトキャスターの独特なサウンドは
ブルースと完璧にマッチしている。

ブルースとストラトキャスターの相性はどのように感じていますか?

 ストラトキャスターは一発でそれとわかる独特なサウンドがあって、それはブルース・ミュージックとパーフェクトにマッチしている。だからこそ、こんなにも多くのプレイヤーたちに選ばれてきたのだと思っているよ。

ブルースという長い歴史を持つジャンルの中で、あなたもベテランの域に入ってきました。現在のブルースを取り巻く状況をどのように思っていますか?

 ブルースは今でもよくやれていて、これからの将来でも普遍的な要素として音楽の中に存在し続けるだろうね。

若いブルース・ギタリストの活動には注目していますか?

 自分が若い頃を思い出させてくれるから、これからのプレイヤーたちも常に僕は注目している。たくさんの若いプレイヤーたちがブルースに興味を持ってくれていることを目の当たりにすると、僕も元気付けられるよ。

最後に日本のギタリストにメッセージをお願いします。

 楽器に対する愛や世界中のさまざまな音楽に対する愛を持ってくれていて、日本のギタリストたちには心から感謝している。それらは君たち自身がギターをプレイするモチベーションとなっているし、ほかの人たちとギターに対する情熱を分かち合うことにつながっている。これからも楽器に対する愛を持ち、いち早く情報をキャッチして新しいプレイヤーたちに広めていってあげてほしいね。

ケニー・ウェイン・シェパード

◎1977年生まれ、ルイジアナ州出身のブルース・ロック・ギタリスト。13歳から地元のクラブで演奏を始め、高校在学中に『Ledbetter Heights』でデビュー。2020年でデビュー25周年を迎えた。最新ライブ・アルバム『Straight To You: Live at Rockpalast』が11月27日にリリース。

公式HP http://www.kennywayneshepherd.net
Twitter https://twitter.com/kwshepherd
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCAN5mDNAwdvy6giYgqKNYcw
Instagram https://www.instagram.com/kennywayneshepherd/

Fender
Kenny Wayne Shepherd Stratocaster®

【スペック】
Series: Artist
Body Material: Chambered Ash
Body Finish: Gloss Nitrocellulose Lacquer
Neck: Quartersawn Maple, Early 60s “C”
Neck Finish: Gloss Nitrocellulose Lacquer
Fingerboard: Rosewood, 7.25” (184.1 mm)
Frets: 21, Jumbo
Position Inlays: White Pearloid Block with Split Block at 12th Fret
Nut (Material/Width): Bone, 1.650” (42 mm)
Tuning Machines: Vintage-Style
Scale Length: 25.5” (648 mm)
Bridge: 6-Saddle Vintage-Style Synchronized Tremolo with Graph Tech® Saddles
Pickguard: 4-Ply White Pearloid
Pickups: Custom-Voiced Kenny Wayne Shepherd Single-Coil Strat® (Bridge, Middle, Neck)
Pickup Switching: 5-Position Blade: Position 1. Bridge Pickup Position 2. Bridge and Middle Pickup Position 3. Middle Pickup Position 4. Middle and Neck Pickup Position 5. Neck Pickup
Controls: Master Volume, Tone 1. (Neck/Middle Pickups), Tone 2. (Bridge Pickup)
Control Knobs: White Plastic
Hardware Finish: Nickel/Chrome
Strings: Fender® USA 250L Nickel Plated Steel (.009-.042 Gauges)
Case/Gig Bag: Deluxe Hardshell

【価格】
265,000円(税抜)

【問い合わせ】
フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 http://fender.co.jp