“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。先週のライブ編に続き、今回もTボーン・ウォーカー! 本連載初回に紹介したファースト・テイクののち、彼の代表曲として幾度もレコーディングされたストマン。今回は再演スタジオ録音について、書いていきます。
文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈
本家ストマンの変遷を聴く。
Tボーン自身による「ストマン」再演、ライブも多いが、スタジオ録音も少なくない。
まず聴くべきは、アトランティック盤『T-Bone Blues』収録版(56年録音)。オリジナルに近い不動の演奏ぶりだが、ピアノ・トリオによる簡素なバックゆえにTボーンのプレイがばっちり味わえる。ちなみにYouTubeで、アトランティック録音と称して、47年のオリジナル録音が上げられているものがあるのでご注意を。
73年にリプリーズ・レコードからリリースされた、ジャズ系アレンジを多く含むセッション作『Very Rare』版は、オーソドックスながら、ストリングスも加わってちょいと高尚な雰囲気。ギター・ソロはなく、間奏はサックスに任せている。
さらに変わり種が、67年のウェット・ソウル盤、68年のブルースウェイ盤に。共にアルバム・タイトルが『Stormy Monday Blues』だが、前者のものは8ビートのズンタカR&Bアレンジ。しかも女性コーラスつき。時代を感じる、なんともC調なもの。後者はオーソドックスで、1コーラス分ギターを弾いたあとに歌うのだが、なぜか“The eagle flies on Friday”の2番を飛ばし、いきなり(本来)3番の“Lord have mercy”にいって終わり。LP用録音だから、演奏を短くしなきゃならない理由はないのだが。全体が悪くないだけに、う~ん、勿体ない。