“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週はホワイト・ブルースの重鎮、ジョン・ハモンドJr.が若き日に残した「ストマン」を紹介します! ギターはジョンのほかに、ビリー・バトラー、ジミー・スプルーイル。名手たちによる伴奏も聴きどころです! ちなみに収録作『Mirrors』には、ロビー・ロバートソンらザ・バンドの面々も参加!
文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈
“日本のどんなアマチュア・ブルース・バンドの「ストーミー・マンデイ」よりも酷い”!?
これまで聴いた、日本のどんなアマチュア・ブルース・バンドの「ストーミー・マンデイ」よりも酷い──ということでアルバムにつけられた点数は0点! 70年代初頭、故中村とうよう氏によって、このように酷評された、ジョン・ハモンドの「ストマン」。いち早く日本でブルースを紹介してきた氏だからこその、愛のムチというべきか。
それにしても……と、その評を思い出しながら40数年ぶりに改めて聴いた、ハモンドの「ストマン」……うう、やはりヒジョーにキビしい。ビリー・バトラー、ジミー・スプルーイルら、ニューヨークの精鋭をバックにしたバンド・サウンドはばっちり。しかし、肝心の本人の歌が、へなへなで、それを隠すような力みと大仰さがツラい。プレイヤーならば、バンドの音を参考に、という聴き方もアリかもしれないが、ブルースの聴き方としては正しくないよね。
63年、当時は稀有な白人ブルースマンとして、わずか20歳ほどでデビューしたのだが、この「ストマン」(収録アルバム『Mirrors』は67年発表だが、録音は64年頃)を始め、初期の歌はちょっとなあ、というレベル。なので、古くから知っている人ほど、敬遠しがち。しかし、デルタ系弾き語りを出発点に、半世紀以上に渡りキャリアを重ね、残したアルバムは軽く30枚以上。なんだかんだ言われ続けながら、ブルースの殉教者とでもいうべき姿勢を保ち、歳を重ねるごとに歌いぶりも改善されていったもの。若き日の「ストマン」は確かに酷いが、のちの姿まで否定しないようにしたいものだと、改めて思ったのでした。(小出の「ストマン」日記より)