“ライン直で良い音が出せなかったら腕の問題だ”と思うようになりましたね(笑)。
ここからはアルバム収録曲のMVを見ながら、楽曲についての話を聞かせて下さい。まずは「Stay With Me feat. Monique Marian」からいきましょう!
「Stay With Me」は、リフをキーボードで作っています。基本的には構成もシンプルですね。で、この曲がシングルでリリースされてからアルバムっていう時系列ですけど、実は先にアルバムを作ろうとしていたんです。なので、アルバム全体の雰囲気を見て、ギター・インストではないイメージがあったんですけど、“もっとあなたのギターを聴きたい”っていう人もいると思って、ソロじゃないけどそういうプレイも入れようと思って作りましたね。
映像に出てくるレス・ポールはビンテージですか?
このPVに映っているのは、1954年のフル・オリジナルのゴールド・トップです。レコーディングのメインでもこれを使用しています。単純に良い音してるからってことで、基本的にレコーディングではこれを使うことが多いですね。今回のアルバムはほとんどこのレス・ポールを使用しました。ピックアップのポジションはほとんどフロントかセンターです。
続いて「Brazilian Rhyme feat. Hanah Spring」ですが、この映像はライブ・レコーディングですね。
これは、アルバム発表間近の時のライブですね。この曲は7インチですでにリリースしていた曲なんですけど、この時のライブではアルバムに収録されている曲なんかもやっています。で、この曲はミルトン・ナシメントの曲をアースがアレンジしてやっている曲(『太陽神』収録/1977年)なんですけど、フル・バージョンがアースはリリースしてないけどブートであがっているという話が出ていて。それで、“アースがまだ公式に出してないから、先にフル尺カバーしたら面白いんじゃないの?”ってことで世界初を狙っちゃおうと始まったんですよ。ちなみに、シンガーのHanahさんは昔からの仲で、彼女のお父さんがギタリストで、シャープス&フラッツ最後のレギュラー・メンバーだったんです。
この映像で手にしているギターは?
スギのDS500Cですね。ピッチ感やチューニングの安定具合、全体のバランスみたいなものがとてもいいんですよ。これはライブやテレビでよく使っていて、特にテレビでの演奏で使うことが多いですね。このギターとサドウスキーのSTタイプはライブ時の1軍で、安心して使える感じがあります。
エフェクターなどの機材は何を使っていますか?
ペダルボードはライブ用に組んでるものなので、基本的にレコーディングでは使っていなくて。録音の時は、ブースターだけとか、特にクリーンだと何もかまさないでワウだけ、ボリューム・ペダルだけ、みたいな感じが多いです。必要になったら繋ぐ感じですね。日本でお世話になっていたギターの師匠がエフェクター作りにハマっていて、自作のペダルを貸して下さったり、譲って下さったりして、それを使ったりしています。一般的な回路を載せて自分で作っているんですけど、パーツにとにかく良いものを使っているらしくて、やはりほかとは違いますね。
レコーディングで使ったアンプは?
レコーディングでアンプは使ってないんですよ。全部AVIDのEleven Rackで録っています。アメリカいた時に、“ナイル・ロジャースのレコーディングはラインだよ”と言われて、それまでずっとライン録音って苦手だったんですが、自分の好きなミュージシャンがそれでやっていると思ったら、“これで良い音が出せなかったら腕の問題だ”と思うようになりましたね(笑)。今となったらラインのほうがやりやすいですし、ライブでもアンプは鳴らさないでEleven Rackだけっていう時もあります。
それでは最後に、最新作に限らず、YUMAさんが弾いた中でギタマガ読者にイチオシの曲を教えて下さい。
もちろんアルバムも聴いてもらいたいんですが、ディストーションでソロ弾いている曲だと、KEIKO LEEさんの『The Golden Rule』(2019年)でやっているクイーンの「Another One Bites the Dust(邦題:地獄へ道連れ)」。T-GROOVEさんとアレンジをしていて、ビートは彼ですが、キーボード、ベース、ギターは僕が弾いていて、ギターもガッツリです。あとは、フィロソフィーのダンスの「イッツ・マイ・ターン(T-Groove Remix)」で弾いたソロはイチオシですね。メロウ系なプレイだったら、Friday Night Plansの「Plastic Love」のカバー(2018年)で聴けるクリーンでブルージィなギターは聴いてほしいです。
YUMA’s Guitars
YUMA’s Pedalboard
【Pedal List】
①知人作/ジャンクション・ボックス
②BBE/Ben Wah(ワウ)
③One Control/BJF Buffer(バッファー)
④Xotic/SP Compressor(コンプレッサー)
⑤FREE THE TONE/ARC-53M(プログラマブル・スイッチャー)
⑥fsp Custom/Ernie Ball VP JR MOD(ボリューム・ペダル)
⑦strymon/Time Line(マルチ・ディレイ)
⑧Electro-Harmonix/Holy Grail(リバーブ)
⑨知人作/オーバードライブ
⑩知人作/ディストーション
⑪Deziel/VH4 Pedal(ディストーション)
⑫Zoom/MS-100BT(マルチエフェクター)
⑬BOSS/TU-2(チューナー)
⑭Voodoo Lab/Pedal Power 2 Plus(パワーサプライ)
レコーディングはライン録りがメインのためほとんど使用していないが、サポートの現場やライブなどで使用するボードを紹介しよう。
ギターからジャンクション・ボックス①に入り②〜⑧へと進み、①へ戻ってアンプへ出力される。スイッチャー⑤には入力信号を最適化するHTS(Holistic Tonal Solution)インプットから入り、歪み⑨〜⑪とマルチ⑫を接続、チューナー・アウトで⑬コントロールしている。ディレイ⑦も⑤とMIDI接続して制御。
知人作の歪みは、⑨がヴェムラムのJanRayを、⑩がマッド・プロフェッサーのStone Grey Distortionをモチーフにしたもの。⑫は基本的にコーラスとして使用する。
パワーサプライ⑭はアメリカで購入したもので、120Vに昇圧して使用しているのもポイントだ。
作品データ
『Reality』
YUMA HARA
P-VINE/PTR-CD-47/2021年5月12日リリース
―Track List―
01. Wrapped In Mystery
02. City Life feat. Joy
03. Candy
04. The Way Back feat. Ruri Matsumura
05. Regret
06. Be Free (T-Groove Remix)
07. Sorry
08. Light In Our Days feat. Azumi Takahashi, JUDY, Ruri Matsumura
09. Brazilian Rhyme feat. Hanah Spring
10. Stay With Me feat. Monique Marian
11. You Are feat. Hanah Spring
12. Be Free (monolog Boogie Virus) (ボーナストラック/タワーレコード限定盤のみ収録)
13. I Feel For You feat. FiJA (ボーナストラック/タワーレコード限定盤のみ収録)
―Guitarist―
YUMA HARA