『RING』 TRIX
【参加クレジット】
佐々木秀尚(g)、須藤満(b)、熊谷徳明(d)、AYAKI(k)
ベテラン・フュージョン・バンドの痛快テク!
なんと“1年1作”のリリースを18年間継続中のTRIXによる最新作。今作は「メタルモンスター」や「ドライヴドンキーSP」、「パラッパラッDX」などの曲名からわかるようにどこかコミカルな雰囲気が強めで、その中でくり広げられる超絶テクニックがとにかく痛快。ムーディーなフュージョン曲「キノコ」も良い。
『音楽はおくりもの』 矢野顕子
【参加クレジット】
矢野顕子(vo,k)、佐橋佳幸(g)、小原礼(b)、林立夫(d)、MISIA(vo)
佐橋のポップなスライド・ギターが見事
デビュー45年を飾る新作。70年代シティ・ポップのムード漂う多幸感あふれる作品だ。参加メンバーは百戦錬磨のS級プレイヤーたちで、佐橋の演奏は細かなオブリやカッティングといった伴奏はもちろん、スライド・ギターによるリード・プレイが実に見事だ。まさにポップスにおけるスライドの教科書!
『Editorial』 Official髭男dism
【参加クレジット】
藤原聡(vo,k)、小笹大輔(g)、楢﨑誠(b)、 松浦匡希(d)
極上のタッチとタイム感を味わえ!
日本のバンド・シーンで今や人気絶好調の髭男による2nd。藤原による歌とせつないメロディはより凄みを増した感あり。ギターは主役という感じではないが、小笹が作曲した「Bedroom Talk」ではジャジィでネオソウルなフレーズが冴えまくっている。ピッキングのタッチやタイム感は極上と言って差し支えない。さすが!
『NEE』 NEE
【参加クレジット】
くぅ(vo)、夕日(g)、かほ(b)、大樹(d)
縦横無尽に駆ける痛快なギターが光るメジャー1st
エキセントリックなスタイルで話題沸騰の4人組のメジャー1st作。全編を通して縦横無尽に駆けていく痛快なギターにグッとくる。特にアコギのドライなカッティングから、堰を切ったようにワウを踏んだテクニカルなギター・ソロを展開していく「第一次世界」は必聴。曲中でニュアンスを変化させていく粋なセンスと確かな技量を感じる。
『ACTION!』 KEYTALK
【参加クレジット】
寺中友将(vo,g)、小野武正(g,cho)、首藤義勝(vo,b)、八木優樹(d,cho)
ツイン・ギターが呼応し合うギター・ロック
エネルギッシュなロック・バンドの7th。前作に続き、今作もリズムとリード・ギターの絡み合いが絶品だ。「サンライズ」では、寺中の爽快なバッキングに対し小野のギターはとにかく歌い続け、「流線ノスタルジック」では、リズミカルなコード・ストロークに痛快なオブリが絡む。この絶妙に引き立てあうアンサンブルは要チェックだ。
『三千世界』 yonige
【参加クレジット】
牛丸ありさ(vo,g)、ごっきん(b,cho)【サポート】土器大洋(g)、ホリエマム(b)
前作からさらに深化したシンプルさと透明感
大阪出身の女性2人組ロック・バンドによる新EP。クリアでありながらもムード感漂うサウンドが歌詞の世界観ともマッチしている。特にギターに関してはバンドの新境地を感じさせ、クリーン・トーンのメロウなフレーズがソフト・ピッキングと絡み合う「わたしを見つけて」など、彼女たちらしいシンプルさや透明感がさらに深化したようだ。
『9th&Wallnut』 Descendents
【参加クレジット】
マイロ・オーカーマン(vo)、フランク・ナヴェッタ(g)、トニー・ロンバルド(b)、ビル・スティーブンソン(d)
老舗バンドがかき鳴らす疾走感溢れるパンク
老舗パンク・バンドの約5年ぶりスタジオ・アルバム。衝動的にかき鳴らされるギター・サウンドの疾走感と、感情的な歌声は相変わらず心を掴んで離さない。ポップなメロディ・センスとパンク・ロックの攻撃性が痛快な「Nightage」のサーフ感溢れる単音リフは鬼気迫る。同曲後半のパッションをたぎらせるようなソロも必聴だ。
『GO TO FUNK』 ENDRECHERI
【参加クレジット】
堂本剛(vo,g,b,d,etc)、竹内朋康、マサ小浜(g)、鈴木渉(b)、Kenny Mosley、CHITAA(d)、gakushi、十川ともじ(k)、他
ディープ・ファンク・ギターが炸裂!
堂本剛によるプロジェクト、ENDRECHERIの新作。多くの曲で自身のみがギターを弾いており、ルーズなカッティングから単音ミュート、ワウのネットリしたリード・プレイまで、ENDRICHERI流ディープ・ファンク・ギターが全面的に炸裂している。特に「Make me up! Funk Me Up!」の32分を入れたバッキングがクール!
『Gold Diggers Sound』 Leon Bridges
【参加クレジット】
Leon Bridges(vo,g)【ゲスト】Terrace Martin(d)、Robert Glasper(k)、他
色気ある音色が漂うネオソウル・ギター
テキサス出身SSWの3年ぶり3rd。フランジャーがかかったカッティングがセクシーに響く「Steam」や、Lo-Fi感あるリフが甘く淡いメロディを引き立てる「Details」など、音色選びのセンスは色気ムンムン。ネオソウルのムードををまとったギター・プレイとユニークなサウンド使いに酔いしれること間違いなし。
『ホープ・ダイズ・ラスト』 スティーヴ・マリナー
【参加クレジット】
スティーヴ・マリナー(vo,g,harmonica)【ゲスト】ジミー・ボウスキル、スティーヴ・ドーソン(g)、ジェシー・オブライエン(k)、他
ゴキゲンなグルーヴのカナディアン・ロック
カナダ出身のSSWがソロ作をリリース。今作ではロカビリーからブルース、そして60sの空気をまとったゴキゲンなロック・ナンバーの数々を披露。「Take Me To the City」でのパワフルなソロから、唯一のインスト曲「Uptown Lockdown」のファンキーなリフ・ワークと、バラエティ豊かなギター・プレイで楽しませてくれる!
『75・アンド・アライヴ』 ジョニー・タッカー・フィーチャリング・キッド・ラモス&ジ・オールスターズ
【参加クレジット】
ジョニー・タッカー(vo)【ゲスト】キッド・ラモス(g)、他
西海岸マナーのブルース・ギターを嗜む
フィリップ・ウォーカーを支えた名ドラマー=ジョニー・タッカーの最新作。冒頭曲のゴキゲンなスウィンギン・ブルース・ギター、「T-Bone Blues Special」風イントロから始まるスロー「There’s a Time for Love」など、西海岸マナーのプレイがふんだんに散りばめられている。ギターはウェスト・コーストの職人、キッド・ラモス。
『RAINBOW』 DEZERT
【参加クレジット】
千秋(vo,g)、Miyako(g)、Sacchan (b)、SORA(d)
歌メロが生きるバッキング・アレンジ
カッティングからヘヴィ・リフへと雪崩れ込む重低音チューン「デザートの楽しいマーチ」や、ハモりがエモーショナルな激情ナンバー「Your Song」などなど、フックの効いた楽曲が並ぶV系4人組の最新作。サビの強烈なキャッチーさは全曲共通で、歌メロを生かすためであろうバッキングの足し引きっぷりはなかなかのアレンジ巧者。
※本記事はギター・マガジン2021年9月号にも掲載されています。