ナイア・イズミの基本情報 期待の新星ネオソウル・ギタリスト ナイア・イズミの基本情報 期待の新星ネオソウル・ギタリスト

ナイア・イズミの基本情報 
期待の新星ネオソウル・ギタリスト

ネオソウルのシンガー・ソングライターとして、そして独創性溢れるテクニックを有するギタリストとしても注目を集めるナイア・イズミ。2019年に来日公演を果たすなどしているものの、日本国内で手に入るナイアの情報はまだ少ない。特集のスタートは、彼の基本的なプロフィールから紹介していこう。

文=福崎敬太 Photo by Svet Jacqueline

米NPR主催の“The Tiny Desk Contest 2018”にてグランプリを獲得して以来、その独創的なギター・テクニックとセンスの高い楽曲で注目を集めているナイア・イズミ。

タッピングや細かなアーミングなど、技巧的なバッキングを弾きながら歌うシンガー&ギタリストで、Instagramでもその“映える”演奏が多くのフォロワーを生んでいる次世代のプレイヤーである。

そんな彼が、2021年7月にリリースされた『A Residency in the Los Angeles Area』で、ついにメジャー・デビューを果たした。生年は公表していないので明言は避けるが、“遅咲き”と言って差し支えない年齢だと思う。それゆえに現在に至るまでのキャリアも長いため、ここでしっかりと紹介しておきたい。

手探りで作曲を始め、12歳で神童と呼ばれる

ジョージア州コロンブスに生まれたナイア・イズミ。彼がギターと出会ったのは4〜5歳の頃だった。

ゴスペルの聖歌隊を指導していた母親に連れられ、様々な教会での演奏を観ていく中で、ステージ上に見えるギターという楽器に惹かれていく。そして聖歌隊の伴奏者からアコギを譲ってもらったそうだ。本人は“子供ながらに嬉しかったのを覚えている。人生を変えるような出来事だと思ったんだ”と述懐している。

その後、当然エレキ・ギターが欲しくなるのだが、父から猛反対をくらう。彼の父は“楽器が弾けるからって何になる! 軍隊にでも入れ!”というタイプだったそうで(本人談)、当時は買うことはできなかった。そこで、自宅にあった小さなキーボードとテープ・レコーダーを使って作曲を始める。

母がゴスペルの練習として、コーラスや主旋律を録音していたのをヒントに、テープ・レコーダーに吹き込んだドラム・ビートを再生しながら、もう1台のレコーダーにキーボードやボーカルを重ねていったそうだ。その後、コンピューターを買ってもらい、ProToolsの無料版を入れて様々な実験をくり返し、トラック・メイクについて学んでいった。

さて、当時エレキ・ギターを買ってもらえなかったナイアは、より音楽に理解のある母親を説得し、オーケストラでアップライト・ベース奏者として参加することを許される。弦楽器ということでギターの勉強になると思い、この楽器を選んだそうだ。そこでメキメキと腕を上げ、12歳で高校生オーケストラに混じって演奏するなど、地元では神童としてちょっとした有名人になる。ここで父親も折れたようで、ギターやアンプをようやく手に入れることができた。ちなみに、初めてのエレキ・ギターはピーヴィーのPredator(下写真)であった。

当時影響を受けたアーティストは別記事でも詳しく紹介するが、マハヴィシュヌ・オーケストラやキング・クリムゾン、XTCなど。そして次第にR&Bに夢中になっていき、音楽の幅を広げていくと、次は中国の二胡のサウンドに魅せられる。ボリューム奏法やアームを使ったフレットレスなサウンドは、二胡からの影響から生まれていったようだ。ほかにも、アジアや中近東、アフリカなどのワールド・ミュージックにも親しんでいた。