文＝高橋智樹
日常を理想郷にするバンドの新たな音像
ブルース／ソウル／R&Bなどブラックミュージックをルーツに、ジャズ／ヒップホップ／シティポップなど多彩な要素を重ね合わせ、灰色の日常も憂いも目映く躍動させる異才の精鋭＝DENIMS。
軽快なスウィングジャズナンバーの①「Crybaby」の疾走感を心地好く煽るハイポジションの音遣いしかり、ワイルドなコードストロークと交感神経に絡みつくカッティングとがスリリングに交錯する④「Crush」しかり、丹念に編み上げられた釜中（vo,g）＆岡本（g）のWギターの押し引きが、作品全編にさらなる広がりと奥行きを与えているのがわかる。
前作アルバム『makuake』のタイトなミックスから一転してガレージロック的な開放感の中で鳴ることで、釜中の歌と4人のアンサンブルが持つ“ハンドメイドの楽園”感がより色鮮やかに立ち昇ってくる。②「I’m」や⑥「そばにいてほしい」でのオクターバーを駆使したおかゆのソロ・プレイも必聴。
作品データ
『more local』
DENIMS
Osami Studio／OSAMI-0005／2020年9月16日リリース
―Track List―
01.Crybaby
02.I’m
03.The Lights
04.Crush
05.Stomp my feet
06.そばにいてほしい
―Guitarists―
釜中健伍、岡本悠亮
