新連載:イカサマイマサ『サムズアップに気をつけろ!』 新連載:イカサマイマサ『サムズアップに気をつけろ!』

新連載:イカサマイマサ
『サムズアップに気をつけろ!』

ギタマガWEBの新連載『イカサマイマサ』がスタート! 執筆はタイトルどおり、BARBEE BOYS、ヒトサライの“イマサ”こと、いまみちともたか。月2回(くらい)の掲載を予定しているが、気ままに更新していくので、焦らずお待ちいただきたい。内容は日記的なものからギタリストお役立ち情報までなんでもござれ! いまみちによる軽妙な文章を、何も考えず純粋に楽しんでほしい。


ひと昔前は写真を撮られるとなると、みんなが✌️ サインしていた気がする。ギタリストだもの、“そんなチャラい真似できるかい!”とポケットに手を突っ込んでソッポ向いたり腕組みしたり、と自分なりに抵抗していた70年代。

80年代に入ると、中指立て“アッキュー!”サインするヒトも増えた気がする。若気の至りで自分もそんなポーズをした写真があったかもしれない、いやだ、恥ずかしい。

だいたいが写真撮られること自体があまり好きではないのだ。あのハイチーズのかけ声に合わせ身体を硬直させるのもイヤだ。稼業がら「一緒に一枚撮って下さい」とか言われることもたまにあったから、そんな時は、かなりの我慢をしていたっけ。

2000年代に入り、イキった感じのヒトたちを中心にメロイック・サイン決めてるのをめちゃ見かけるようになると、もうなんだろ、アッキュー・サイン以上に恥ずかしい行為に思えてアレだけは絶対やるまいと決めていた。

けれど、ある時、周りの皆全員が人差指と小指でツノ作ってる集団に写真撮りましょと言われ「はーい、撮りまーす!」と聞こえた瞬間、なぜか親指立てて“グッ”とかやっていた。その時の“場の空気とのズレ感”が妙に気に入ってしまい、その日以降“「一緒に撮って下さい」だろうがチェキだろうがもうヤケクソだ、なんでも来い”とばかり写メやらなんやら、ほぼすべてのスナップでサムズアップを決めて凌いできた。もう写真も(それほど)怖くないぜ、へっへっへ。

ところで最近、右手親指の付け根が痛むのだ。スマホを親指のみで操作するヒトやピアニストに多いと言われるドケルバン病? 女性に多いと言われている母指CM関節症? どちらにもあまり関係ない筈なのに、と友人にこぼすと「オマエそりゃ加齢だろ」とつれない返し。

“箸を使っても芋の煮付けが重い、痛いっ!”、“ジャムの蓋が開けにくい、痛いっ!”とかは一時の我慢で済むとして、ピック弾きするギタリストにとって親指に力いれると痛むって症状は甚だ都合が悪い。

大振りのストロークの時は人差し指の横と親指の腹で軽くピックを挟むように弾く。

キレっキレのカッティングでは、少し親指にチカラを込めてピックを包みこむように弾く。

ヒットする弦が飛び飛びのアルペジオや速いパッセージを弾く時は、親指にグッと力を込め曲げることでピックの硬度を増してやる。

すこし柔らかめのしなるピックでそんな弾き方をしている最近の自分にとってコントロールの要の親指が思うように使えないのは大問題。

意を決し、手の施術に長けてると評判の整体師を訪ね「親指の付け根が痛くてヤバいです。やっぱ軟骨とか腱の経年劣化?」と泣きついたところ、普段どういうふうな動きが多いか聞かれたので上記の写真のような動きがほとんど、と答える。

すると、「おかしいなぁ、その逆の動きしてない?」と「たとえばさ、こんな」と差し出してきた右手は完璧なサムズアップ・ポーズだった。

あなたはカウガール・ブルースのユマ・サーマンか!

俺のこの親指の痛みの原因は、“ハイ、チーズ!”のかけ声からシャッターが押されるまでの数秒間、サムズアップ・ポーズで待機中、異常に手にチカラ入れてたことからの腱鞘炎みたいなものと判明。

やっぱ写真撮られるの苦手だったんだなぁ。鍼と灸でだいぶ楽にしてもらった帰り際、「どうすれば治りますか?」と尋ねると「ギター弾かないわけにはいかないだろうし、無理なサムズアップやめたら?」だって。

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よろしく!

……ではない。

これからしばらくギタマガWEBで連載をすることになりました。

みなさん、たくさんの👍 を下さいな。ではまた!

いまみちともたか

Profile

いまみちともたか

いまみちともたか◎1959年生まれ。BARBEE BOYSのギタリストとして1984年にデビュー後、佐野元春や井上陽水のレコーディングに参加するなど、多方面で活躍。ほかにも、椎名純平らとのヒトサライ、自身がホストとなってゲストを迎えるスタジオ・ライブ・シリーズ=“カメを止めるな”を主催するなど、精力的に活動中。

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