PRISMのギタリストであり、松原みきや阿川泰子、松岡直也の作品など、近年再評価されている和物グルーヴでも重要な場面で姿を現わす和田アキラ。そんな日本の音楽シーンを長年にわたり支え続けたレジェンドが、2021年3月28日、このを世を去った。ここでは彼の簡単なバイオグラフィとともに、必聴プレイリストをお届けしたい。
文=近藤正義 選曲=編集部(協力=近藤正義)
純粋に音だけに集中することのできるストイックな世界。
そのサウンドを前にして言葉やビジュアルはあまりにも無力だ。
2021年3月28日、PRISMのギタリストとして多くの音楽ファン、ギタリストたちから支持されてきた和田アキラが亡くなった。
1956年生まれの和田アキラは小学生でGSブームを目の当たりにした世代。12歳頃からギターを弾き始め、60年代末から70年代初期のロックにのめり込んだ。プロになることを決意し16歳で松木恒秀の付き人になり、勧められたB.B.キングなどブルースに親しむ。
さらに70年代中頃には世界的にクロスオーバー・ブームとなり、日本初のフュージョン・バンド、PRISMを1975年に結成。エリック・クラプトン来日公演のオープニング・アクトを務めて話題になったのち、1977年にアルバム・デビュー。それ以来、日本のインスト・ギター・シーンをリードしてきた。
今年でデビュー44周年となるPRISMは彼のライフワークであり、レコード会社が替わろうが、メンバー・チェンジがあろうが決して活動を止めることはなかった。その他、ソロや松岡直也グループ、KEEP、W.I.N.S、ExhiVisionなど多くのセッション・ワークでも幅広く活躍。
和田アキラのギター・プレイの魅力といえば、まず誰もが思い浮かべるのはフル・ピッキングによる凄まじい速弾き。しかし彼の魅力はそれだけではない。ソリッドな高速ソロだけでなく、メロウな鳴きのフレージング、ストレッチ・コードを駆使したサウンドスケイプを思わせる浮遊感漂うバッキングなどにおいても並々ならぬセンスを発揮している。
2018年に体調を崩し、ここ数年療養中だったとはいえまだ64歳という若さ。それだけに、その早過ぎる死が惜しまれる。謹んでご冥福をお祈りいたします。
必聴・和田アキラ名演
和田アキラによるギター名演が楽しめる15曲を厳選してお届けしよう。PRISMの初期作品や和田によるソロ・アルバムなどはまだサブスク解禁されていないので、ぜひCDやレコードを探して聴いてほしい。
PRISM official site
http://prismjapan.com