それまでほとんどの友人から“イマちゃん”と呼ばれていた自分が“イマサ”と呼ばれだした18、9歳の頃、すでにその前から新宿に在って、“名前が同じだから行かなくちゃ”と通った“カレーの今佐”、場所は若干移動したものの店名を変え“カレーハウス11イマサ”として今も続いてる。
それだけでも凄いんだけど、2年前だかに「名前が同じだから、エイプリルフール企画で一緒にギター弾きません?」というお店の中のヒトからのオファーにはびっくりした。とは、関係ないけれどイカサマイマサも11回目。
チョッパーはスラップ、チョーキングはベンド、ミニサイズはディンキー、呼び方は時代と共に少しずつ変わっていくから、できるできないとは関係なく「え! それなんのこと?」と聞かずに済むようにSNSの楽器系アカウントのパトロールに精を出している。
……はずが、なぜだろう、もっぱら新しく出たエフェクト・ペダルをポチる機会を増やしているだけの気がするここ数年。これではいかん、と過日、発作的に海外ギタリストの在宅演奏動画を漁っていたところ、すごいのに当たった。キミももう観たかしら。
“ライトハンド奏法”って言い方は、もうほとんど死語だし“たしかにタッピングって呼称のほうが動きに即している気がする”なんて思っていたけれど、コレ“怪我でライトハンドが使えないから左手だけで弾ける曲を作ってやった!”っていうヴァイさんのウソみたいなプレイがサイコーで、観ていて痛快だった。最後の最後のお茶目な動き、気持ちよくわかるなぁ。
連載1回目に触れた“親指の付け根を傷めてピックが持ちにくい”問題は、優秀な施術師さんのおかげで日常の痛みはとれたものの、ときどき予想外の運動拒否宣言しやがるので、ついムキになり無駄にチカラを込めてしまうと、たまに“イテテテ!”となるのが弾いていてもどかしい。そのせいでいささか凹んでもいたのだけど、このどうかしてる動画を観ていたら“できなくなったことを嘆くより、やれることを突き詰めてスタイル自体を変えていけばいいんだよなぁ”と気持ちが楽になった。
そうすると翌日からの親指のプレイ中の反乱が、なんと激減したりするのだから人体って不思議だ。
しかし、左手のタップだけで演奏してるのに、“フレットラップなし”で余計なノイズもないし、右手だけじゃなく肩も壊していたのか、“ストラップもせず”と、それこそいろんな“トラップレス”で弾いていたなぁ。“きっと強力なノイズゲート付きコンプとか仕掛けているに違いない”と楽器系SNSアカウントのパトロールをいっそう強化してしまう自分、やっぱ懲りないなぁ。
あ、そういえば、お店のエイプリルフール企画に面白がって乗っかった自分は、11イマサの中のヒトと一緒にギター弾いて動画をアップしたんだけど、撮影後、その彼との会話。
店員 「僕、4月から就職決まったんで、このおふざけ企画が最後のバイトなんすよ」
俺 「へぇ、てっきり社員さんだと思ってた、じゃ4月からは正社員じゃん、就職おめでとう、どこに決まったの?」
店員 「えぇ、リットーミュージックなんです」
ウソ みたい。
では、また!
いまみちともたか
Profile
いまみちともたか
いまみちともたか◎1959年生まれ。BARBEE BOYSのギタリストとして1984年にデビュー後、佐野元春や井上陽水のレコーディングに参加するなど、多方面で活躍。ほかにも、椎名純平らとのヒトサライ、自身がホストとなってゲストを迎えるスタジオ・ライブ・シリーズ=“カメを止めるな”を主催するなど、精力的に活動中。