AJICO『接続』 AJICO『接続』

AJICO『接続』

文=尾藤雅哉

20年の時を経て待望の再始動!
退廃的で美しいAJICOの音世界

ベンジーこと浅井健一(vo,g)とUA(vo)を中心に結成されたAJICOが、2001年の活動休止から20年(!)の時を経て再始動! 新たに書き下ろされた4曲を収録したEP『接続』を完成させた。

まずはAJICOというバンドについて簡単に紹介していこう。結成は2000年。今や伝説のロック・バンドとして語られるBlankey Jet Cityを解散したばかりの浅井健一がUAのレコーディングに参加したことがきっかけとなり、メンバーにTOKIE(b)、椎野恭一(d)を加えて活動を開始。ロック・フェスティバルへの出演に始まり、名盤と名高い1st『深緑』やライブ・ツアー“2001年AJICOの旅”の模様を収めた『AJICO SHOW』などをリリースするも、翌2001年3月、1年にも満たない短い期間で活動を休止してしまう。まさに幻のスーパー・バンドだ。

そして1stアルバムの発売からちょうど20年が経過した2021年2月に過去の作品群が音楽配信サイトで一斉解禁され、さらに『ARABAKI ROCK FEST.20th×21』(※残念ながら新型コロナウイルスの感染拡大防止のため開催中止)を皮切りに全国を回る“AJICO Tour 接続”の開催を発表。多くの音楽ファンに驚きを届けるうれしいニュースとなった。

それでは気になる新作『接続』に収録されている楽曲を見ていこう。オープニングを飾る「地平線 Ma」は、ベンジーとUAのツイン・ボーカルのユニゾンが楽曲をリードしていくナンバー。ブーミーに歪んだギター・サウンドが楽曲の雰囲気をスリリングに彩っており、彼らにしか創造できない退廃的なグルーヴを生み出している。

2曲目は、「すてきなあたしの夢」(『深緑』収録)にも通じる指で爪弾くミニマルなコード・リフにトレモロがかったフレーズが浮遊感を演出する「惑星のベンチ」。ストリングス・アレンジも相まって聴き手の心にじっくりと染み渡る。続く「接続」は、ギターのアルペジオで描き出す旋律を軸にした叙情的な1曲。SHERBETSにも通じる“透き通った美しい音世界”にUAのエモーショナルな歌声が華を添えている。

ラストの「L.L.M.S.D.」は収録された中では最も明るい曲調ながら、独特な切なさが同居したナンバーに仕上がっている。一聴してベンジーのプレイだとわかる1~3弦の複弦を使ってギターを歌わせたフレージングが素晴らしい。

活動休止から20年もの間、AJICOと似たようなバンドさえ出てこなかったことを考えると、彼らがどれだけ普遍的な唯一無二のサウンドを響かせていたかということに改めて驚嘆してしまう。“名曲は時を飛び越えていく”……それを体現する素晴らしき音楽家たちが奏でるアンサンブルは、きっとあなたを夢中にさせることだろう。ぜひライブ会場に足を運んで、全身で音を浴びて体感してほしい。

作品データ

AJICO
『接続』

スピードスター/VICL-65462/2021年5月26日リリース

―Track List―

01. 地平線 Ma
02. 惑星のベンチ
03. 接続
04. L.L.M.S.D.

Guitarist―

浅井健一