10代のリック・デリンジャーによる初々しい「ストーミー・マンデー」 10代のリック・デリンジャーによる初々しい「ストーミー・マンデー」

10代のリック・デリンジャーによる
初々しい「ストーミー・マンデー」

“月曜の朝にさ、皆の気分が晴れるような音楽を毎週届けたいのよ。何かアイディアない?” そんな編集長の問いに、WEB担当Fはこう答えた──“月曜は「ストマン」一択ですよ”。そうして立ち上がった企画が、この“月曜朝のストーミー・マンデー”です。今週はジョニー・ウィンターとも馴染み深い面々で構成されたザ・マッコイズ。若き日のリック・デリンジャーによる初々しいギター&ボーカルを楽しんでほしい。

文=小出斉 デザイン=猪野麻梨奈

のちの活動につながるブルースの素養

リック・デリンジャー(本名はRichard Zehlinger)と兄弟のランディZを核としたザ・マッコイズ。65年に「ハング・オン・スルーピー」の全米No.1ヒットを放って人気者に。リトル・ウィリー・ジョン~ペギー・リーの「フィーヴァー」などもヒットさせているが、基本、バブルガム・ポップとくくられがち。若い頃のリックは、確かにアイドル的人気があってもおかしくないルックスだった。

そんな彼らが、デビュー・アルバム(『Hang On Sloopy』/65年)の最後に「ストマン」を収録。ほかにもR&B曲を多く取り上げているが、このストレート・ブルース・カバーはいかにも異質。お子様バンド扱いに対する反発心だろうか。“Here’s what I say”といった言葉を入れるなど、ボビー・ブランド版を参考にしたと思われ、ギターもウェイン・ベネットを意識したコード・ワークやフレーズがたくさん。ターン・アラウンドでは、さらにチャールズ・ブラウンあたりを思い出させる小粋さも。コクはともかく、真っ当至極な演奏ぶり。

その後、マネージャーの画策でジョニー・ウィンターと組み、ジョニーの世界にポップな味わいを加えることとなるわけだが、そもそもが、こうしたブルースのルーツもちゃんと持っていたからこそ、実現できた合体ではあったのだ。

<Tボーン・ウォーカーが残した、ストマンのスタジオ録音を語る。