路線変更でさらに高まる評価
名門レーベルへの電撃移籍〜
2009年にマーシーと契約したジュリアンは、満を持して初リーダー作『Sounding Point』(2008年録音)をリリースすると、同年に10代半ばから演奏活動を続けてきていたピアノのテイラー・アイグスティとのデュオで再来日を果たす。この時、“サンタローザからボストンに移り住み、バークリー音楽院にいる”というので、てっきり講師かと思って聞いたら、“ピアノと作曲を学ぶために入り、音楽の単位は全部取得したのでアメリカ政府についての社会学を勉強しているところ”、とのことだった。
2011年にはセカンド作『Gladwell』をリリースすると、ジュリアンとコンスタントに演奏したいがために結成されたゲイリー・バートン・ニュー・カルテット名義で同年にリリースされた『Common Ground』、それに2013年の『Guided Tour』にも名を連ねた。ちなみに、2011年には同カルテットで3度目の来日もしている。
2016年には今度はマック・アヴェニューと契約をすると、それまでメインだったリンダ・マンザー製アーチトップ・ギターから、テレキャスターなどのソリッドをメインにしたサウンド路線に大きく舵を切り、第1弾『Arclight』をリリース。そして、2018年に第2弾『Modern Lore』、2019年に『Love Hurts』を相次いで世に送り出して、高い人気を博す。事実、2017年と2018年には自身のトリオで来日したが、東京公演はほぼソールドアウトだったことがその人気を物語っている。
また、2017年にはパンチ・ブラザーズのクリス・エルドリッジとのアコースティック・ギター・デュオ作『Mount Royal』をリリース。同年にふたりで来日公演を行ない、こちらも連日満席で大好評を博した。
マック・アヴェニューをあとにしたジュリアンは、今度は名門ブルーノートへ電撃移籍すると、今年6月に『Squint』をリリースして話題をまいた。その音楽からはベテランの風格すら漂っているが、現在まだ33歳! ジュリアンの今後の動向にまだまだ目が離せない。
作品データ
『Squint』
ジュリアン・レイジ
ユニバーサル/RCCQ-1142/2021年6月11日リリース
―Track List―
01. Etude
02. Boo’s Blues
03. Squint
04. Saint Rose
05. Emily
06. Familiar Flower
07. Day & Age
08. Quiet Like A Fuse
09. Short Form
10. Twilight Surfer
11. Call Of The Canyon
12. Granada(日本盤ボーナス・トラック)
―Guitarist―
Julian Lage