『プレッシャー・マシーン』 ザ・キラーズ
【参加クレジット】
ブランドン・フラワーズ (vo, k)、デイヴィッド・キューニング(g)、マーク・ストーマー(b)、ロニー・ヴァヌッチィ (d)
世界的ロック・バンドが辿り着いた静かな境地
ラスベガス出身のロック・バンドの7th。前作の煌びやかなシンセとギターの絡み合いはやや鳴りを潜め、今作は内省的かつ穏やかなサウンド感が軸。
「Terrible Thing」や「Pressure Machine」における歌とアコギのソフトなコード・ストロークの絡み合いも素敵だが、「Cody」のファジーなソロがクール!
『BLAST OFF!』 THE BAWDIES
【参加クレジット】
ROY(vo,b)、TAXMAN /JIM(g,cho)、MARCY(d,cho)
心躍るR&Rが炸裂!
8thアルバムはR&R愛をとことん突き進め、彼らのスタイルでさらにポップに昇華した作風となっている。
オープニングからビートルズを彷彿させる「YA! YA!」のギター・イントロに心躍る。鬱屈とした気分を吹き飛ばす「T.Y.I.A.」は、駆け巡る豪快なリフが気持ち良い。
ロックンロールが炸裂する痛快なギター・ロックが聴ける1枚!
『シャイン・ア・ライト・オン・ミー・ブラザー』 ロバート・ジョン・アンド・ザ・レック
【参加クレジット】
ロバート・ジョン・バリソン(vo,g)、ヘンリー・ジェームス(g,cho)、ウォーレン・ミュレル(b,cho)、アンドリュー・エスパントマン(d,cho)、スティーヴ・マッギオラ(k,cho)
ルーツ・ロックをポップに調理!
西海岸発の5人組ロック・バンドが新作をリリース。ゴキゲンなホーンをバックに熱いスライドが唸る表題曲など、ポップな楽曲の中にサザン・ロック的アプローチが満載の1枚だ。
オールマン・スタイルのスライド、「Brother」の男らしいソロ、「Radio」のトゥワンギーなブギのバッキングと、ルーツ・ロック好きの心をくすぐるプレイがGOOD。
『スカートになって』 細井徳太郎
【参加クレジット】
細井徳太郎(vo,g)【ゲスト】君島大空(vo,g,cho)、瀬尾高志/マーティ・ホロベック(b)、石若駿(d,cho,k)、高橋佑成(k)
ジャズ&即興界隈の新鋭による初ソロ作
ジャズとジミ・ヘンドリックスをルーツに即興/ノイズ/ジャズ界隈で活躍する細井徳太郎が初の自身作をリリース。
SMTKなどの参加バンドで聴かせるアヴァンギャルドな側面はやや控えめで楽曲もポップ寄りだが、時にはノイジーに爆発する瞬間も。
大部分の楽曲にゲスト参加した盟友・君島大空のギターも聴きどころだ。
『ジ・ウルトラ・ヴィヴィッド・ラメント 』 マニック・ストリート・プリーチャーズ
【参加クレジット】
ジェームス・ディーン・ブラッドフィールド(vo,g)、ニッキー・ワイアー(b)、ショーン・ムーア(d)【ゲスト】マーク・ラネガン/ジュリア・カミング(vo)
アンビエントに華を添える泣きのギター
英国の至宝、マニックスの新作。前作の王道ギター・ロックから離れ、ピアノから作品の着想を得たとのことで、アンビエント的な楽曲が並んでいる。
ギターはクランチにコーラスやリバーブなどを使い世界観を演出。その一方、お馴染みの泣きのソロも健在で、その器用さに脱帽する。ジェームスはもっと評価されるべきギタリストだ。
ブロウ コリン・リンデン
【参加クレジット】
コリン・リンデン(vo,g)、ジョニー・ダイアモンド(b)、ゲイリー・クレイグ(d)、ジャニス・パワーズ(k)、ポール・レディック/ミッキー・ラファエル(harmonica)、他
実力派ギタリストの硬派なブルース愛
ボブ・ディランやエミルー・ハリスとも共演してきたギタリスト/プロデューサーの6年ぶりソロ作。
モダン・シカゴやテキサスを感じさせるエレクトリック・ブルース多めで、ダーティーな歪みがカッコ良い。
テクニカルでメロディックなスライドもできるのに、あえてエルモアなどの無骨な雰囲気に徹しているのが硬派で好感度高し!
『OUTSIDER』 CHIE HORIGUCHI
【参加クレジット】
CHIE HORIGUCHI(vo,g)、宮下広輔(pedal steel guitar)、北島紘行(b)、中村”MR.MONDO”匠(d)
ダーティに奏でるオルタナ・カントリー
LEARNERSのギタリストとして活躍するCHIE HORIGUCHIの初ソロ作。
自身のルーツであるロカビリー、オルタナ・カントリー愛に溢れた内容で、1曲目からギャロッピングを絡めたキレッキレなギターが炸裂している。
特に「Watch Your Back」でのペダル・スティール・ギターとのソロの掛け合いは必聴!
『キンフォーク2:シー・ザ・バーズ』 ネイト・スミス
【参加クレジット】
ネイト・スミス(d,etc)【ゲスト】ブリタニー・ハワード(vo)、ヴァーノン・リード(g)、ジョエル・ロス(vib)、レジーナ・カーター(vn)他
最強ドラマーのキレッキレなグルーヴ!
お馴染みコリー・ウォンを擁するフィアレス・フライヤーズでの活動を始め、各方面で活躍するドラマーのソロ最新作。
全体的にはコンテンポラリー・ジャズ色強めで、スナーキー・パピーやグラスパーが好きな人はハマること間違いなし。
ヴァーノン・リード参加の「Rambo: The Vigilante」は意外性があり面白い。
『ザ・クエスト』 イエス
【参加クレジット】
スティーヴ・ハウ (vo,g)、ジョン・デイヴィソン(vo,g,k,perc)、ビリー・シャーウッド(vo,b) 、ジェフ・ダウンズ(vo,k)、アラン・ホワイト (d,p,perc)【ゲスト】ジェイ・シェレン(perc)
一流のソロイスト=スティーヴ・ハウ、健在
7年ぶりの新譜。作風は期待通りのイエス流プログレといった趣。
名手スティーヴ・ハウのギター・プレイは70年代の奇天烈ヘタウマなソロをかますというよりは、ファットなトーンで丁寧にメロディを歌い上げるようなものが多い印象。
その表現力はなんら衰えず、ソロイストとしてやはり一流の人だなと再確認できる1作だ。
『SHOOT I SAY』 江上徹
【参加クレジット】
江上徹(vo,g,etc)、他
全力投球のロック&ブルース魂が光る初ソロ作
六角精児バンドで活躍してきた江上徹による初ソロ作は、ロックとブルースの魂を継承した渾身のサウンドが聴ける1枚だ。
「Chain Reaction」を筆頭に、伸びやかに鳴らすブルージィなギター・ソロが胸に沁み入る。「夜想曲」では、ワウ・ギターと煌びやかなアコギ・アルペジオを重ね合わせた鮮やかなアレンジにも注目。
『Loco』 HALFBY
【参加クレジット】
【ゲスト】ジンジャー・ルート/Mei Ehara /Ruru(vo)、リチャード・ナット(g)、サイトウ“JxJx”ジュン(k)、他
ハワイの情景が漂うトロピカル・グルーヴ
デビュー20周年を迎えたDJのHALFBY。2015年から続くハワイ三部作の完結編は、南国情緒溢れるトロピカルなサウンドはもちろん、コンテンポラリー・ハワイアンの名手リチャード・ナットによる心地よいアコギ・カッティングが聴きモノ。
「Beach Baby Be Mine feat. Richard Natto」の歌メロに寄り添うバッキングは必聴だ。
『Rhythm Motif』 おおはた雄一
【参加クレジット】
おおはた雄一(vo,g,etc)、伊賀航(b)、芳垣安洋(d,etc)、 細海魚(organ,etc)、笹倉慎介(cho)
種々のプレイに漂う見事なアメリカン・フィール!
全編バンド・サウンドで録音された2年ぶりの作品。
ブルースやフォークを軸にした品性漂う歌ものが並んでおり、メロディアスなスライド・ギターやアコギのバッキングなど、種々のプレイに漂うルーツィなアメリカン・フィールが見事だ。
「ギターの音が街に響けば」のニール・ヤング的なエレキのストロークがナイス!
※本記事はギター・マガジン2021年10月号にも掲載されています。